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クレストゲート

武相国境の相州側より俳句を発信してゐるダムマニア俳人です。
初心者でも楽しめる俳句がモットーです。
HNはけんG、俳号は耳目

第66回角川俳句賞は岩田奎さんの「赤い夢」に決定されたとのことです。

おめでとうございます。

 

岩田奎さんは21歳と、史上最年少受賞とのこと。凄いな、、

僕が俳句と出会ったのは20代最後の年だから、岩田さんと同じ年のころは俳句なんか興味なかったな

どんな作品か凄い楽しみです。

 

 

ということで

 

僕の落選が決定!

予選の是非もありますが、僕の作品も日を見せてあげたいのでいち早くUPします。

今年はなー・・昨年と違ってまる一年費やしたからやり切った感はあったのですが…残念!!

 

LED 落合耳目

 

子を高く担ぎ初日を持ち上げ

あをぞらを大盛りにして大旦

初富士といふ大いなる晴れ男

出初式みづ如意棒のやうに伸ぶ

大寒の香辛料として日差し

浮寝覚め少し気不味くなりにけり

葉牡丹美しき鼻炎の昼の中

蝋梅を鼻孔に入れて持ち帰る

湯に浸かるやうな貌して春の鴨

富士の嶺を見飽きてしまふほど長閑

別れてもまた三椏の花として

落暉はや春分の日をうらがへす

うづしほの螺子がなかなか締まらない

たんぽぽを遊牧民と思ひけり

座禅草とは学生のワンルーム

桜まじ円周率は外回り

片栗の花の寝癖が直せない

野良猫は孤高の詩人花月夜

レタス噛むとき奥歯まで眩しがる

うらうらと鳩鈍感つてゆく

新聞を翼のやうに広げ夏

こどもの日首から提ぐる社員証

夏草といふ牧草の食べ応へ

ジャムとなるまで夕焼を煮詰めゆく

飼猫のやうに扇風機を運ぶ

傘小さくして夕立に立ち向かふ

常緑の影固くなる暑さかな

忠犬のごと空蝉を待たせおく

甲虫夜は黒船の炉を燃やし 

鷺草の空を知らざる白さかな

秋日傘かるく絵柄を見せて閉づ

鶺鴒の足を車輪にして進む

バリウムの甘き勤労感謝の日

台風の怒りを捨ててゐる河口

風の端に秋風鈴の音ひとつ

桐一葉尻を押し出すすべりだい

店閉めて誠に勝手ながら秋

秋風の結び目となるジャンクション

稲雀とはしたたかな民主主義

腰かける案山子に物凄い気配

きのこにもなだらかな頂のあり

野に梱包されてゐる心地

秋の灯をLEDに取り換へる

ラーメンは悪魔の食事秋深し

鳰潜るときわたくしも息を止め

大根の白出たがつてゐたりけり

裏鬼門から恵方まで雪囲

無駄遣ひして煤逃げを咎めらる

ゆく年の落日といふ後頭部

まなぶたは世界のふすま年流る