自民党の「たるみ」具合はひどいものでした。都議選で、さっそく「しっぺ返し」を食らってしまいましたね。そして、内閣支持率が30%台とは!絶句です。

大臣を大幅に入れ替えて、シロウト大臣ではなく、専門家をしっかり配置する必要があると思います。いまこそ、たとえば、民進党を離党した長島昭久を防衛大臣に任命するくらいの懐の深さ、度量の広さを見せるべきでしょう。

 

唐突(とうとつ)ですが、嫉妬(しっと)には2種類あると思います。

赤い嫉妬と紫の嫉妬です。

英語で説明すれば、おそらく、

赤い嫉妬がジェラシー(Jealousy)で、紫の嫉妬はエンビー(Envy)ということになるだろうと思います。

 

他人に嫉妬しても、「よーし、あんな奴に負けるものか」と、赤い炎を燃やしながら自分も努力するのが「赤嫉妬」。一方で、嫉妬したあげく、「よーし、あんな奴は足を引っ張ってやれ」と、紫の怨念を燃やすのが「紫嫉妬」です。「良い嫉妬」と「悪い嫉妬」と言い替えてもいいでしょう。

 

横並び性向の強い日本人は、突出する人に対して、もともと嫉妬深い人種かもしれません。それでも、かつては「赤い嫉妬」が多かったように思います。ですから、ジェラシーという言葉はふつうに使っても、エンビーとは言わなかったはずです(これはけっこうコジツケです)。

 

戦後の日本人は「あいつに負けるものか」と、競争意識を持ちながら切磋琢磨(せっさたくま=お互いに励まし合い、努力すること。一人の場合は一生懸命、学問、スポーツなどに励むこと)して、瓦礫(がれき)の中から立ち上げってきたのです。

ところが、嫉妬深い日本人の一部が、今や「紫の嫉妬」を異常なほど燃え上がらせています。その最たるものが「安倍降ろし」と「小池叩き」です。

 

都議選が終わったので、まず、「小池叩き」から行きましょう。

これを自民党がやって、大失敗しましたね。

本当はスキャンダルネタを見つけ、小池叩きをやろうと思っていた共産党でさえ、小池の強さに怖れをなし「協力できるところはしていく」と言っていたのに、自民党は小池を敵視しました。本来、身内だった人間の進める都政を否定したのは、年寄りたちが、小池人気に「紫の嫉妬」をしたからです。

おかげで、多くの自民党都議会議員が「冷や飯」を食うことになりました。若年寄りならぬバカ年寄りは「冷や麦」でも食らって、頭を冷やしなさい。ことわざも「年寄りの冷や麦」と、言っています。

 

小池百合子は内田茂を「都民の敵」にして、都知事選に大勝したのです。それをすっかり忘れたかのように自民党は千代田区の選挙応援に内田を出してきました。

テレビでその姿を見た瞬間、私は自民党大敗を予測しました(これは、あとづけではありません。私のカンは相当鋭い)。

 

これが、大失敗の元凶です。「自民党は何も反省していない」と誰でも思いますよ。

小池人気を認めつつ「赤い嫉妬」を燃やせばよかったのに(この場合、誹謗中傷の言動はありえない)、「紫の嫉妬」をムダに燃やしてしまったのです。

下村博文以下、自民党都連の状況判断の甘さと公明党の「機を見るに敏」というか、賢さが対照的だった都議選でした。

 

ま、自民党にとっては、今回の結果は、将来的に見れば、よかったのではないかと思います。これで、無能なくせに議員歴だけが古い、周辺で吼えている老犬たちを排除して、本当に「仕事師」だけの内閣改造を一刻も早く始めるべきでしょう。

 

そして、老害といえば、「安倍降ろし」です。

自民党のバカ年寄りたちが、安倍若造のやることがことごとくうまくいき、アジアでも欧米でも中東でも大きな評価を得ているのに嫉妬して、盛んに、中国、韓国を大事にしろという発言をしています。そのほとんどの老人が、両国から「おいしい思い」をさせてもらい、「頭をナデナデ」されていると思います。

 

また、憲法改正を急ぐなという忠告も目立ちます。これは中韓をおもんぱかっているだけではなく、自分たちが何十年もかけてできなかった憲法改正(自民党の党是であり、悲願でもある)が、なんだかできそうになってきたことに、メラメラの大嫉妬を燃やしているのです(誰も認めたがらないでしょうが)。情けないかぎりです。

 

さてさて、またまた茶番劇を見せられることになりました。やれやれ。

賢い方は、よく分かっていると思いますが、今回も、前川元事務次官による「引き分け」大作戦です。

籠池氏と同じ手法ですが、籠池氏が、ある意味で、家族だけが味方の戦いだったのに比べて、今回は文科省の反安倍勢力が味方になりえますから、かなりのうそをついても、それを真実に近い、という人が出てくるはずです。

 

しかし、考えてもみてください。教育を司る官庁のトップでありながら、いかがわしい店にひんぱんに通ったあげく、ぬけぬけと「貧困調査だ」と開き直っている人の証言が信用できますか。

籠池氏の人格もひどいが、前川氏の性癖も異常だと思います。人格は関係ないと思う人もいるでしょう。しかし、真実を語るかどうかは、やはり人格にかかってくると思います。

 

天下り問題で、解任された「逆恨み」も尋常(じんじょう=正常、まとも)ではありません。エリート官僚は「自分こそ世の中を動かしている」と考えるほど自意識過剰ですから、自分の「縄張り」(岩盤規制)を崩された安倍ごときに辞めさせられてたまるか、という激しい怨念と紫の嫉妬が渦を巻いていたでしょう。エリートが不本意にその地位を外された(ほんとは自業自得ですが}ときの復讐心はわれわれの想像を超えると思います。

 

でもね、それに、マスコミまでが乗るとは!

前川氏の受け答えが、しっかりしているという声を聞きましたが、しっかりしているのは当然です。元文部科学省の事務次官ですよ。高い席から何千回もあいさつをし、教訓もたれて(どの顔して、と言いたくなりますが)いたからです。「しっかり」というより、「ぬけぬけと」という表現がふさわしいと思います(籠池手法)。

 

それにしても、みっともないのは、民進党、共産党です。

かつて、森毅(数学者・評論家)は、悪い奴を見つけて出して糾弾し、権威をおとしめるというやり方を「元凶還元主義」と言って、厳しく批判していました。

民進党や共産党は、なりふりかまわず、安倍首相を悪者に仕立て上げ、引きずり下ろそうと、必死です。ただ、「紫の嫉妬」はやはり、醜いものです。

 

 こういうのは、自民党の支持率がいくら下がっても、自分たちへの支持が広がらないダメ野党の「うさばらし」(この言葉も森毅が使っています)に過ぎないということです。

「うさばらし」で政治が動くとしたら、とんでもないことです。

 

 本来、前川氏がやっていたいくつもの「不祥事」と安倍政権がやった数々の「成果」を比較すれば、こんな問題に時間を浪費するのは愚の骨頂です。マスコミも野党も森友茶番から、何も学んでいません。これを一般的には「飲み込みが悪い」と言います。

 これほど飲み込みの悪い人間たちは、一生いい仕事ができず、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん=食道に入るべき飲食物が気管支に入り、肺炎に)を起こし、死の恐怖を味わうことになるでしょう。

 森友事件を参考書にして、最も学んでいたのは前川氏かもしれません。

 

 世界がこれほど激変しているのですから、私たちは茶番劇を笑い飛ばし、視野を目いっぱい広くしていかなければならないと思います。