ギャングスター・ナンバー1
あの「ロック・ユー」のポール・ベタニー主演のギャング映画。 映画自体のセンスは抜群。そして品良くクールでかっこ良い男達の映画だ!
しかし内容はギャングという名の舞台の上で「アメリカン・サイコ」的なものを感じる。
55歳になったギャングスター(マルコム・マクダウェル)はフレディ(デヴィッド・シューリス)が30年ぶりに出所すると聞き、かつてチンピラから彼の仲間、そして彼を刑務所に送り込んだ60年代後半を回想する。
若き日のギャングスター(ポール・ベタニー)はチンピラから当時警官殺しと名を馳せていたフレディに目をつけられ仲間入りをはたす。それからがの苦しみの始まりだった。
最も尊敬する男、フレディ。憧れ・親しみ・嫉妬・愛情彼に対し全てを抱き、やがて破滅という形でフレディを落としいれ自分がトップに立ったはずだった。しかし55歳になってあるのはなぜか惨めな自分だけ。奴と何が違うのか?なぜ奴を越せないのか?苦しみが狂気になり変わる男の人生。
‘破滅’の二文字は深くはギャング映画に付きまとう。街の一角で認められて成り上がり成功するがその先に待ってるのは虚しさや儚さだけだった。と、これもそんな流れを汲むもののギャング映画というよりはその狂気と渇望、飢え、苦しみをむき出しになって描かれている。
サディスティックな殺しのシーンや狂気むき出しの表情がスパイスとすれば他はそれを和らげる前菜。そして破滅でメインディッシュ!
品目:軽めのメインディッシュ
評価:★★☆☆☆
ミラーズ・クロッシング
この映画にはスキと甘さが無い。
駆け引きの面白さと期待に満ちた緊迫は感最後まで途切れる事はなかった。展開に詰まった所で主人公がいかにも映画っぽい、漫画っぽい、演出に「逃げ」を使うとその瞬間緊迫感が切れてしまう。頭の中で感情に膜ができ「これは映画であって俺の魂は紙の上の黒インクさ」と主人公が囁いてしまう。そんなスキも甘さも見せず主人公は完璧までに悲しいギャングだ。
映画を映画らしくするのは脚本なのか演出なのか。そのどちらもがこの映画にはある。ガブリエル・バーン演じる男は優雅で品がありケンカは弱いが頭はキレる。弱さの中に優しさと冷酷さを持ち合わせその全てが彼を引き立てる。
彼の人間らしさが、町に、森にこだまする。
ちなみにマシンガンぶっ放す男にあのサム・ライミがカメオ出演してるとの事。
品目:メインディッシュ
評価:★★★★☆
フェイク
この映画にマフィア映画特有の激情はない。むしろ胸の内で広がる波紋のような感動とやりきれなさが待っている。ジョニー・デップ演じるドニー・フラスコ、潜入捜査官の彼は私情を挟まない。しかし心の静かなハズの水面は投じられた友情で揺れてしまった。
その友情を芽生えさせるのはパチーノ演じるレフティ、うだつの上がらない男盛りを過ぎた下っ端組員だ。出世はしてないもののこの世界には忠実で真面目な男。今まで彼が演じたギャング達のように華やかさも激しさもないが情けなさやケチくささ、優しさといった人間味に溢れている。時には相棒、時には家族、時には父親、彼の側にいるとほっとけない、それでいて頼りにもしたいこの道以外には生きられない男なのだ。
J・デップ演じるドニーは見た目通り真面目で信頼できそうな男である。捜査で家にはめったに帰らず愛する家族と疎遠になりがちになりながらもレフティの事がほっとけなくなる。失敗の許されない過酷な任務故にレフティとの友情は唯一の心の置き場だったのかもしれない。
そして彼らのボスを演じるM・マドセンは彼のキャリアで「レザボア・ドッグス」よりも適役ではないかと思わされるくらいのハマり役!貫禄のある背の高い体つき、ハスキーは声、時折みせる優しさ。しかし掟には厳しく裏切り者は許さない。暴力的で粗悪でこの映画で最もギャングらしく、最も自分と欲に正直な男だ。 魅力的な悪役を3人挙げろと言われれば迷わずM・ローク、G・オールドマン、そして彼と答える。
人にとっていい映画とは何度も観たくなる物だと思う。何かあった時にふと思い出して観たくなる。この映画にある人間味は、ギャング映画らしい欲深さの中にあるらこそその素朴さが温かく感じる。人間関係に疲れきった時、夜酒を飲みながらその味わいを楽しんで欲しい。きっと観る人の心に残る名作だと思います。
品目:メインディッシュ
評価:★★★★☆
ネバー・ダイ・アローン
| 久々に味わいのある余韻の残る映画を楽しめた。DMXの回想録をモルトとするならばテープを聴く白人が水。刺した男が氷。ちょっと薄くなったのでオン・ザ・ロックでも良かったかと思うがこれはこれで香りのある実にいい味になっている。 原作は74年に凶弾に倒れた伝説のストリート系作家ドナルド・ゴインズの小説との事。知らない名だけど有名な作家らしい。 話は麻薬でひと儲けしたキング(DMX)が古巣に帰ってきた所から始まる。かつてのボスに借金を返し身をキレイしたいと願うが金の受け渡しに派遣された男と言い争いになり刺されてしまう。たまたまそこに居合わせた白人の男に身に付けていた物・車等全てを譲り渡しもう目を開く事はなかった。白人の男は遺品の中にテープを見つける。それがキングの自伝録だった。 そのテープを聴く白人と、ボスの命令に背きキングを刺してしまい組織の中で窮地に立たされた男の話が平行に進んでいくのだが、なるほど、最後はキングが言っていたようにカルマだ。典型的な話であるように思えるが何故か引き込まれていく。あぁ、なんてこった!人生まだこれからだってのに! 映像に関する知識がないので何と言っていいが分からないが「ソード・フィッシュ」の黄を暗くしたような、「トレーニング・デイ」の夜のシーンのような映像が実にこのフィルム・ノワールに似合っている。 真っ暗な夜、カルマに住む蝶が黄色い鱗粉を振りまくような恍惚感を刺激する映像と、その闇に染み込んだ哀愁がたまらない。 |
品目:メインディッシュ
評価:★★★★☆
http://www.foxjapan.com/movies/neverdiealone/
コラテラル
世界経済都市第5位の街、ロサンゼルス。その街の拡散した並みと共に映像は始まり、やがて主人公の生活、殺し屋へと話は進んでいく。殺し屋を乗せてしまったタクシー運転手がこれから5人を殺すツアーに出発する羽目になりそこに警官やらFBIも絡んでくる。銃撃戦等のエンターテイメントも散りばめられているが、メインは運転手と殺し屋との交流だ。それは「スパイ・ゲーム」のように派手さはないものの噛み締めるような面白さが詰まっている。2時間という上映時間を長くは感じるが次第に味が出てきて実にクールに仕上がっている。
ただ見所の一つであるトム・クルーズの悪役について文句はないがはまり役!と言うほどではなく、彼の違った印象を観られたという点では満足。あのトレードマークの笑顔を人を殺すシーンで使うとか、どう悪役で生かすかと期待してたのに使わないので彼の魅力を悪役で生かせないのは残念。この役をミッキー・ロークやデンゼル・ワシントンがやってくれればな。
映画を観る上でこれほどまでに監督色の強い作品はそうはないと思う。ただ単に他の映画を観ても監督らしさに気づいていないだけかもしれないが、少なくともこの映画はマイケル・マン監督一色に染まっている。コッポラ監督の映画に舐めまわすようなカメラワークがあるのと同様マイケル・マン監督の映画には人物の息遣いと気迫と心情を映す接写と、背景の中に人物を取り込む二つが印象に残っている。「ヒート」ではまり、「ラスト・オブ・モヒカン」であれ?と思ってしまったが「インサイダー」の渋い事。「コラテラル」を観た事で好きな監督がまた一人増えてしまった。この監督の映画なら次も観たいと思う。
全てを通し実にうまく街という物の殺伐として乾いた表情を見せてくれる一方、その中に映る人の生活感や人物がある事で無表情にならずスタイリッシュな映像に仕上がっている。空に向かって吐く息が白い夜の様な冷めた空気と都会のにおいがたまらない。
品目:メインディッシュ
評価:★★★★☆
2046
先入観なくして見たので「SFでないからハズレ」と思わないのは良かった。後からチラシや宣伝を見ればなるほど、SFと書いてある。だがトニー・レオンの書く小説の中の舞台設定をSFにしただけであってそこに描かれているのは愛なのだ。それも悲しく、何とも言えない静かな水面のような孤独がSFという不思議な未来にマッチしている。
ウォン・カーワイの作品は初めて見たけど観た後ですっかりはまってしまった。「イノセンス」的な近未来の風景やミステリートレイン、アンドロイドといった要素が彼の中で見事に溶け合っているし誰一人として目が離せない。メインとなる香港の男女の話も生き生きとしていて華やかで、それでいてちょっとした影に男女の虚しさも添えられている。背景に佇むタバコの煙や音楽にまかれたレトロでゆったりとした空気は古き良き時代の味を振りまいている。こんな時代だからこそ彼の胸に一人の女性の思いが生き続き、男女の儚さがしみるんだろう。山場や結末の楽しみはないがその全てが小説に投影され、そこに彼の心を観えた時胸の中に広がる何かは言葉ではいい表せられない。そんな意味でSFなのかもしれない。
2時間を越えるのは長いし、物語の展開にメリハリがないので色のある淡々さのイメージを持ったがうっとりと流れる甘美な歌と男女の協奏曲を胸に余韻に浸りたい。この監督の音楽のセンス、好きだな。
品目:メインディッシュ デザート
評価:★★★★☆
ターミナル
スピルバーグとトム・ハンクスの手にかかれば空港で立ち往生してしまった男の話だってこんなになってしまう。128分という宝箱に丁寧に敷き詰められた物語に心はすっぽりと包まれてしまった。
映画の中の角が取られ、穏やかにまんべんなく散りばめられたドラマを一つ一つ観て行くとトム・ハンクスという役者に乗ってスピルバーグという監督の顔が見えてきそうだ。非常に完成されたドラマであると同時に彼らの味もちゃんと含まれている。ツボを押さえ、ドラマの教科書的な話なのに感動してしまうのはくやしい気もするが仕方ない。ハンクス演じるまっすぐで純粋な男に出会った時、きっと何かが心の中で生まれると思う。
人にもまれ疲れた時、誰かとケンカして後悔した時、道端で1500円拾った時、この映画で彼に会ってほしい。
余談だけどきゃキャサリン・ゼタ=ジョーンズがめちゃめちゃかわいい!!「シカゴ」の印象で見たら全く違う。全然気にしてなかった女優なんだけど少女の様なかわいらしさと大人の艶っぽさを振りまいて・・・、はまった♪
旦那のマイケル・ダグラスが羨ましいね、ホント。
品目:メインディッシュ
評価:★★★★☆






