猫の腎不全の症状と治療 | 猫の漫画とケモナーの漫画が見れるブログ

猫の漫画とケモナーの漫画が見れるブログ

猫あるあるを主に描いた猫の日常4コマ漫画と猫に関する豆知識を掲載。他にも無料での似顔絵の請負や獣人漫画も見れます。

野生で生きていたころの猫は、砂漠や高山などの水の少ない場所に生息していたため、
少ない飲み水の量で効率よく生活をおくれるよう、腎臓の機能が強いのです。
が、猫の腎臓はよく働きすぎるため、歳をとると共に大きな負担がかかってしまいます。
そのため、たいていの猫は高齢になると腎臓機能が低下します。
さらに、腎臓は1度壊れると再生できない臓器です。

ちなみに、腎臓の役割は、
老廃物の排泄、
水分の再吸収、
血液を作る指令を出す、
ホルモンの分泌、
ミネラルバランスの調節、です。

この腎臓の機能が低下してしまうと、
老廃物を体の外へうまく排泄できなくなり、
体内に溜まって「尿毒症」を起こしてしまいます。
少しずつ元気や食欲がなくなっていき、重症化すると他の内臓の機能にも悪影響を起こしてしまい、最悪死に至ることも。

また、腎臓は老廃物をこしとった液体から、体に必要な成分を再吸収する機能があり、
特に水分は大量に再吸収して体に戻す必要があるので、
この機能が落ちてしまうと、尿として水分が大量に流れ出てしまって、脱水してしまいます。
血液の大部分は水分ですから、脱水すると血液の流れが悪くなり、
体内にたまっている老廃物を腎臓に届けることも難しくなって、より体調は悪化してしまいます。


・慢性腎不全と急性腎不全
慢性腎不全を「慢性腎臓病」、急性腎不全を「急性腎障害」とも言います。

慢性腎不全は、老化などが原因で少しずつ腎臓の機能が落ちていきます。
完治することがなく、上手に病気と付き合っていく必要があります。

急性腎不全は、突発的に発症して急激に体調が悪化し、1日で亡くなることもあれば、数日で元気になることもあります。


・腎不全の原因
猫が高齢になると発症しやすく、
8歳前後で約8%、10歳前後で約10%、12歳前後で約24%、15歳前後で約30%の発症率と言われています。

また、偏った食生活を続けていたり、慢性的な炎症疾患、ウイルス疾患などが原因となることもあったり、
品種によっては、かかりやすかったりすることもあります。


・腎不全の症状
高齢猫の死因で最も多いもので、
メインクーン、アビシニアン、バーミーズ、ロシアンブルーは、他の猫の2倍以上の確率で腎不全になることがあると言われています。

まず初めに現れる症状は、尿量の増加。
腎臓での水分の再吸収が不十分になるため、飲み水が増え、ニオイの少ない薄い尿が出るようになります。

進行するとさらに尿量は増えてしまい、飲水だけでは体の水分が補えない"脱水状態"になります。
体がだるくなり、活力が落ちてきます。

脱水状態の進行とともに現れるのが、"尿毒症"です。
腎臓から排泄できなくなった老廃物の蓄積により起こります。
気持ち悪くなって食欲が落ち、嘔吐の頻度が増えます。

造血ホルモンの欠乏に伴って"貧血"が起こり、ふらふらしたり、食欲の低下を起こします。

老廃物が排出しづらくなってしまったので、
腎臓は血圧を上げることで腎臓に流れる血液を増加させ、老廃物をこしだそうとします。
腎臓で昇圧ホルモンが分泌されることで、腎臓への血流を上げ、その結果全身性の高血圧が見られるようになります。

そしてさらに腎臓への負担が増え、腎臓の寿命が短くなってしまいます。

他にも、
毛ヅヤが悪くなる、
口臭がきつくなる、
貧血により、舌の色が白くなる、
便秘、
下痢、
体重減少、
消火器の出血、
傷が治りにくくなる、
眠る量が増える、
浮腫、
骨の脱灰、
口内潰瘍、
といった症状も表れます。


・診断
定期的な検診によって、体の状態を常にチェックすることはとても大切です。
7歳を過ぎるころから年に1回、10歳を過ぎたら年に2回の検診を受け、早期発見が重要です。

ただ、定期検診を受けても、
その猫の年齢やライフステージに合わせた的確な検査をしないと、病気が発見できない可能性もあります。
腎不全に対していろいろ調べて知識を持ち、獣医師さんに検査について相談することも重要かと思われます。



尿検査:
腎臓での尿濃縮力を確認したり、尿タンパク有無の確認を行うことで、腎臓機能の低下を早期に発見することができます。


血液検査:
血液中のBUN(血中尿素窒素)、*クレアチニンを測定することで、
腎障害および尿毒症の程度を確認することができます。
その他に、貧血の有無、血液中のリンやカルシウム、カリウムなどのミネラルバランスを確認することで、
より細かい病態の評価が可能です。

*クレアチン
体内に自然に生成される窒素含有有機化合物。
アミノ酸のグリシン、アルギニン、メチオニンを使って、
1日に1~2gほど体内で生成される。
そのうち約98%が骨格筋内に貯蔵。残る2%は心臓、脳、睾丸に蓄えられる。


・治療と管理
腎臓は1度壊れると再生できなので、まだ動いている腎臓機能をいかに壊さずに長く使っていくかが重要となります。

食事療法:
食事中に含まれるタンパク質、リン、塩分は腎臓に負担を与えます。
腎臓処方食はこれらの成分の調節が行われ、
初期の腎不全から食事を切り替えることは最も重要な腎不全の管理です。

一般食を食べている腎不全の猫に比べ、腎不全用の療法食を食べた猫は余命が倍以上になるというデータがあるそうです。

ちなみに、このフードを健康な猫に与えても腎不全を予防できるわけではありません。
療法食を使う場合、かかりつけの獣医師に相談しながら与えましょう。



飲水量増加:
水飲み場を増やしたり、常に新鮮な水を用意してあげたりすることで飲水欲を刺激します。
なかなか飲水量が上がらない猫の場合、スポイトやシリンジで直接飲ませる方法もあります。


投薬による尿タンパクの漏出抑制:
腎臓はザルのような作りになって老廃物をこし出すのですが、
腎臓が悪くなると、このザルの網目が大きくなり、老廃物だけでなく体に必要なタンパク質までこし出してしまい、
尿に漏れ出てしまうことがあります。
体にとっては必要でも、タンパク質は腎臓には悪影響を及ぼしてしまいうので、
漏れ出たタンパク質により腎臓がダメージを受けないよう、薬によってたんぱく質の漏れるのを防ぎます。


吸着剤:
食事中の毒素を吸着する薬です。間接的に腎臓の負担を軽減させます。
腎臓処方食を食べてくれない子には非常に有効です。
腎臓処方食との併用も可。


ACE 阻害薬(降圧剤):
高血圧の薬です。
腎不全初期から投与を行うことで、数年単位での寿命延長が期待できます。


点滴:
投与が難しい水分量を注射で補うことで、脱水改善、尿毒症をやわらげることが可能です。
状況に応じて、血管点滴、皮下点滴の二種類を選択します。
症状がひどくて入院治療を行う場合は血管点滴を、
通院での管理は皮下注射を用います。

点滴治療は即効性があり、非常に有効です。


造血ホルモン投与:
貧血状態も血液検査にて定期的に確認することで、貧血の症状が出る前に造血ホルモンの投与が行えて、治療が可能です。
1クール2~3回の投与で2~3ヶ月の効果が期待できます。


・治療

初期~中期腎不全:
尿毒素により胃液の分泌が多くなり、吐き気、潰瘍になりますので、胃液の分泌を抑える薬を服用します。
さらに過剰な尿毒素を抑えるため、タンパク同化ホルモンの定期的注射、食事中のリン、ナトリウムの制限などで維持します。

初期の腎不全では、極端なタンパク制限はそれほど重要ではなく、通常の高齢用キャットフードを与えましょう。

さらにクレメジンという薬を内服すると、尿毒素を吸着させて便と共に排泄してくれます。


末期腎不全、尿毒症:
点滴で循環血液量を増やして、尿毒症と脱水を改善していきます。
ある程度改善したら、"初期~中期"同様の対処を行います。

食事は尿毒症を抑えるため、尿毒素の原料であるタンパク質をできるかぎり制限し、良質なタンパクを必要分だけ摂取します。
さらに、リン、ナトリウムを制限し、失いがちなビタミンを強化した腎疾患専用のフードもあります。


予防:

食事内容:
塩分を控えめにして、良質なたんぱく質を含んだ食事を中心に与えること。
幼年期からしっかりと食事管理をすることが大切です。


人の食事は塩分が高いので、与えてはいけません。

また、ビタミンDの摂取にも注意が必要です。
ビタミンDは腎臓に悪影響を与える"リン"の吸収を助けてしまいます。
けれど、ビタミンDは食品成分表示に記載されていないことが多いので、
獣医師さんに食事のアドバイスを聞くことも大切となります。


飲水量を増やすことも、予防となります。
水の飲ませ方について、こちらのサイトに詳しく書かれていますので参考になれば↓

https://nyanpedia.com/post-3930/