あれから1時間たっても、杏果はボクの隣から動かないでいた。
「ねぇ、あの曲かけて~」
「ん?どれ?」
「この前、車の中で聞いたやつ!」
「あれな!」
…..♪
「やっぱりいい曲だね」
「そうやな~」
「次はあの曲かけてよ!」
「また?気に入ってるな~」
……♪
アイドルと恋をする。
それは非日常で特別なことかもしれない。
けれど幸せに、非日常も特別もない。
至極当然の当たり前なことがなにより幸せなんだ。
「次はあれにしよ♪」
「これ?」
「そうこれこれ!!」
大切な人が側にいる。
それだけで十分に幸せである。
つづく