「日本の黒い霧」は数年前に図書館で借りて読み、感想を下書きしてました。

松本清張がいくつもの日本の怪事件の真相に迫った本で、相当な調査と取材に基づいた内容となっています。

この本は上下巻に分かれていますが、全体を通しての感想としては、戦後の怪事件や不可解な事件の背後にはGHQが絡んでいたんだなぁ、というところ。

未だに日本がアメリカの属国のようになってるのはその影響が続いているから。
今の官僚や政治家やマスコミが悪いとかって、そんな単純な話じゃないのです。
でも、そういう裏事情を多くの方々が知ることで、陰謀的なことが出来なくなり、ガラス張りの時代へ移行していくんじゃないかと思います。


ちなみに、GHQが作った日本軍の隠し財産を探すための組織が、のちの
「東京地検特捜部」ですから、アメリカの意向に沿って動く組織です。

中国と独自外交を行い日本の自主独立路線を進もうとした田中角栄を捕まえたのが
その「東京地検特捜部」
それ以降も捕まっているのはほとんど田中派系の政治家達です。日本を属国状態にとどめる為ですね。

ゴーンさんを捕まえたのも「東京地検特捜部」ということは、日産のクーデターではなくアメリカの意向です。
それはわかっていましたが、なぜアメリカがと思い、ネットで検索したら、三菱・日産の技術流出に関したもっともらしい説があるにはありました。
でも、先月ある方から捕まった本当の理由を聞きましてちょっとビックリ。
オフレコなので書けませんが、想像を超えてます。もちろん、お金のことは表向きの理由ですよ。

同じ冬場に拘置所に入ってた(私はスピード違反の罰金の代わりに労役を自ら志願したので特捜部とは無関係ですが)身としては、ゴーンさんの大変さがどれほどかよくわかります。
東京地検特捜部出身の弁護士が、拘置所は留置場よりましとかって発言してましたが、全くわかっていません。
冷暖房完備の警察の留置場と違って、拘置所は刑務所と同じように冷暖房なしで冬はメッチャ寒いです。白夜の部屋に書いたように、12日間でも厳しかったですから、冬場に100日以上なんて絶対に嫌です。
ようやく保釈が認められて良かったと思います。

日本では検察に起訴されたら99.9%有罪となる中、小沢さん(やはり田中派系)を無罪に導いた敏腕弁護士に担当が変わった途端に保釈も認められたので、今後どうなるかわかりませんね。


では、本に戻って簡単に各章についてご紹介します。


昭和24年の「下山事件」

名前くらいしか知らなかったですが、国鉄の初代総裁山下氏が謎の死を遂げた事件です。

実は当時はまだ日本はGHQ(連合国司令部)支配下にありました。

GHQの狙いは、日本を骨抜きにしてアメリカの支配下に置くこと。

具体的には旧日本軍や右翼的軍閥や財閥の解体でしたので、そのために共産勢力を使いました。

しかし、予想以上に共産勢力が力をつけ、日本最大の労働組合の国鉄も急速に赤く染まっていきました。

実はGHQの内部にも右翼的な部門と左翼的な部門があって勢力争いをしており(保守的な情報機関のG2とリベラルな民政局GS)、それぞれが日本の政府や官僚の中にスパイを送り込み、警察、マスコミなどを実質的に支配していました。

GHQは直接共産主義者と接触できないためG2の防諜部であるCIC(米国陸軍情報部)がその任務に当たりました。

最終的にはそれらはCIAに取って変わりますので、未だにアメリカの支配下にあるのは仕方ないのだということがわかります。

日米合同委員会などが明るみになったのは原発事故以降ですが、ずっと官僚のトップは政府も知らないところでアメリカの指示を受けていたのです。

それはいいとして、国鉄の人員削減計画は、経済的な理由だと日本側は考えていましたが、アメリカにとってはアカ狩りだったのです。

自分達で共産勢力を使っておきながら、今度はそれを追放しようとするんですから、9.11とかベトナム戦争や太平洋戦争のような意図的な自作自演ではないにしろ、マッチポンプに変わりはありません。


次は「もく星号遭難事件」

これは昭和27年日航機の旅客機が三原山で遭難して乗客乗員全員死亡した事件です。

あの坂本九が亡くなった日航機墜落事故は生存者が数名いましたが、同じようにおかしな点がたくさんあります。

当時はまだ管制塔も米軍に管理下にあり、機長もアメリカ人でした。

しかし、米軍は管制塔がどういう指示を出していたのか記録されているテープレコーダーの提出を拒否しています。
日航機墜落事故でもブラックボックスはいつまでも提出されず、出た時は改ざんされてました。

しかも、日航機墜落事故と同じく、墜落地点をウソの情報を流し、すぐに救出に行けないようにしているのです。

いったい何を隠そうとしていたのでしょうか。この本ではそれ以上の追求はありませんので、私も書きませんが、都合の悪い事実があったことは間違いありません。


次は昭和電工と造船疑獄という汚職事件ですが、いずれもGHQ内部の勢力争いが絡んでいます。
そこにアメリカのマスコミも絡んだ事件でした。


次の白鳥事件は、警察官が射殺されたもの。

犯行声明は共産主義者から出されています。

これには国の警察と市の警察がそれぞれGHQのG2とGSの支配下にあって反目しあってる構図が出てきます。


次はラストヴォロフ事件。日本にいたソ連のスパイがアメリカに亡命した話。

この事件により、アメリカだけでなくソ連のスパイとも繋がっている日本人が多数いることや、反共の法律をアメリカが可決するのに利用されました。

ちなみに、スパイ疑惑を向けられた日本人は遺書なしで多数自殺してますが、死人に口なしってとこでしょうか。


上巻の最後は「革命を売る男 伊藤律」

はっきり言ってこの本の事件について少し知ってたのは日航機墜落事件(事故ではありません)を調べていた時に出てきた「もく星号」事件のみ。

日航機墜落については真相が闇の中ですし、下手に真実に迫ると危ないので、SF小説として書こうと思って数年前に大量の資料を集めてはいます。

そういう構想段階で止まってるものはいくつもありますが、小説家にでもならないと書く時間はとても取れませんね。

脱線しましたが、この伊藤律って人のことも何も知りませんでした。

ゾルゲ事件とかも名前しか知りませんでしたが、戦後のスパイの事件です。

アメリカは各省庁やマスコミ政治家にスパイを潜り込ませていましたが、ソ連のスパイもいました。

そして伊藤律はいわゆる二重スパイだったようで、共産党に所属しながら、警察(バックにはアメリカ)にも情報を提供してたようです。



下巻の最初は日銀の地下室にダイヤモンドが大量にあることが、GHQの担当が横領してたことが発覚してわかった話。

戦争中に全国から工業用に必要だとダイアモンドを買い上げてたそうで、相当な量が集まったそうですが、アメリカだけでなく、日本人もその一部を横領したようです。

M資金とかって聞いたことはありましたが、戦争が長引いても大丈夫なように、金とかダイヤとか集めてたんですが、占領軍の押収を恐れて、いろんなとこに隠したようです。
でも、大半は摘発されたようですが。



次は帝銀事件。

これも名前しか知りませんでしたが、毒物で銀行員を殺し、お金をだまし取った事件です。
犯人が捕まりましたが、どうやらえん罪か身代わりだったようで、実際にはGHQがバックにいて旧日本軍が研究していた細菌兵器を使った事件だったようです。
GHQがバックにいたら追求できないので、適当な犯人を仕立てあげたとのこと。


鹿地亘事件は全く聞いたこともなかったですが、GHQが直接拉致誘拐した事件です。
ソ連のスパイ容疑ですが、これもえん罪ですね。
テロやスパイのキャノン機関とか、アメリカの裏の顔が暴かれています。


松川事件。

これも知りませんでしたが、列車の脱線による死亡事故で、やはりえん罪のようです。
労働組合や共産主義つぶしのために暴力行為を働く危ない団体というレッテルを貼るための。
証拠もないのに自白強要して犯罪者を作り上げています。
その後ろにはCIAがいます。CIAは諜報活動以外に破壊活動も行い、中東や中南米の政権転覆を実績として誇って報告しています。
実際この事故の手口は戦時中大陸で行われていたのとほとんど同じで、証拠とされたスパナとバールだけでは無理なようです。


追放とレッドパージ

GHQの目的は日本の弱体化でしたので、旧勢力である政財界軍部の主要人物を20万人ほど追放したのですが、実は追放係はGSで、G2とは対立してたので、追放された者はG2にすりより、結局アメリカの手先となっていきます。
ちなみに追放は反省を促す意味で元々4年の時限措置だったとかって話もあります。


「謀略朝鮮戦争」と「なぜ『日本の黒い霧』を書いたか」
という章もありましたが、ここで下書きは終わっているので、終了です。