「アノマリー」は松岡圭祐の水鏡推理シリーズ4巻目にあたる作品で、1巻はある問題が解決したら次に問題が起き、という感じで短編集的に進行しましたが、これは長編です。

山に消えた「非行」少女たち……世にも珍しい〈気象ミステリ〉命危うい遭難少女たち。近づく72時間の壁! 1分1秒を争うタイムリミットサスペンス。天才エンタテイメント作家の最高傑作。霞が関の常識は世間の非常識! 遭難少女の身の安全も二の次か?

と本の紹介にはありますが、子供の更正、天気予報、人工降雨、ねつ造、親子問題、天下り、補助金、予算問題などが複雑に絡み合う深い作品でした。

アノマリーとはなんなのか、最後の方に出てきますが、そんな用語を知らなくても全然問題なく楽しめます。

ちなみに、アノマリーとはある法則や理論から見て異常(例外)、または説明できない事象のことです。

1巻のようにただ謎解きするだけではなく、失踪に監禁など絶体絶命の危機に陥いりますし、謎も簡単には解けませんから、最後までハラハラする傑作でした。


そして「ジェームス・ボンドは来ない」は実際にあった出来事を松岡圭祐が取材のうえ小説にしたもの。
作り話は一切加えておらず、人名だけ仮名にしたりした部分があるだけだと著者自ら前書きに書いていましたが、創作か? と疑われてもおかしくないほどドラマチックな展開でした。

二〇〇四年、直島が挑んだ映画『007』ロケ誘致活動に、島を愛する女子高生の遥香も加わった。手作りでスタートした活動は、やがて八万人以上の署名が集まるほど盛りあがる。夢は実現するのか?それでも立ちはだかる壁、そして挫折...。遥香の信念は奇跡を生むのか!? 知られざる実話にもとづく涙と笑いの青春小説。

と本の紹介にありましたが、007の映画と小説、配給会社、製作会社についての込み入った話や、町と県と民間団体なども巻き込んだ活動に女子高生が深く関わっていたっていう話もは興味深いものでした。

ただ、「ジェームス・ボンドは来ない」ってタイトルだから、誘致に失敗した話なんだろうな、と想像はつきますよね。
でも、著者が前書きに書かれてましたが、実はボンドは来たんです。
想像してた形では無かったですが、最後の方はちょっと感動して泣きそうになりましたよ。


どっちの本も映画化されてもおかしくないな、と思いました。