モーターサイクルの走行技法
解説でも何でもないごくごく
初歩的な基本事項について。
ギア付きオートバイでは、信
号停止や減速時にはシフトダ
ウンをするのが当たり前だ。
停止した際の発進ギアまで減
速させながら下げる。
あるいは走行中の減速領域か
ら再加速するためにギアを適
切シフトまで下げる。
これは二輪の運転の基本中の
基本だ。

だが、現代においては摩訶不
思議な現象が全国至る所で見
られる。
それは、二輪を運転していて
減速して信号や一時停止で停
止したとき、ギアポジション
が高いままで、停止してから
ギアをカチャカチャ下げよう
としている人たちがゴマンと
いる現象。
本当に教習所で免許を取って
来たのか?と思える程に多い。
基本から、基礎からして✖。
つまり、二輪には「乗れない」
人たちが簡単な免許制度下で
簡易に免許を取得してバイク
を買って公道を走り回ってい
るのである。
そら恐ろしい。
四輪車がMTではなくほぼAT
車が主体となった時期から、
「ギア付き車両に乗るのは二
輪が初めて」という層が激増
し、基本的な操作と仕組みを
理解しないまま二輪車に乗っ
て道路を走り始める人が増え
た。
四輪でもオートマのみなので、
ギアの適切選択の概念自体が
存在しない。
そら恐ろしい。
理解が及ばず、わけわからぬ
ままで車両を出鱈目に運転し
て公道を走っているのだ。

なお、減速時の制動は全てブ
レーキを主軸に使用する。
「エンジンブレーキ」などは
制動の主軸とは考えてはいけ
ない。逆負荷や過回転でエン
ジン壊れますよ。
そして、最新式のクラッチ構
造ではない古いオートバイで
は、ブレーキングしながらの
シフトダウンでは、エンジン
回転を瞬間的に上げてからシ
フトダウンでギアを繋ぐスロ
ットルの「ブリッピング(煽り)」
操作をするのが適切だ。
クラッチを切ってシフトダウン
する瞬間にフロンブレーキをか
けながらファンとかパンとかア
クセルを絞ってエンジン回転を
上げて、シフトダウンした瞬間
のエンジンの過回転負荷を消滅
させるのだ。四輪でいうならば
ヒール&トゥの操作と同じ目的
で二輪ではシフトダウン時の
ブリッピングを行う。
最新システムクラッチの電子機
器が搭載されている新しい二輪
でも、回転数によってはブリッ
プを使ったほうが安全だろう。
さらに、バックトルクリミッタ
ーが無かった時代には、特に4
ストマシンでは、シフトダウン
でクラッチを繋ぐ際には半クラ
状態を瞬間的に作ってバック
トルクを逃がしてエンジンの負
担と後輪のキックバックを消滅
させる技法もあった。レーシー
でスパルタンな走りの時にはそ
の技法は必須だった。公道でも。
但し、スポーティーな走り、レ
ーシーな走りをする場合、サー
キットのコースではクラッチを
使わずにポンポンとギアを落と
す事もある。
特に2ストレーサーで減速比が
クロスしているミッションの
マシンの場合に、コーナー進入
での競り合いの時などはクラッ
チを使わずにポンポンと落とす
ケースもある。

そして、コースでは鉄則だが、
シフトアップの時にはクラッチ
は切らない。ロスだし、スロッ
トルオンのままクラッチを切る
と一瞬でもエンジンがオーバー
レブになるからだ。サーキット
でシフトアップでクラッチを切
っているのはド素人。レーシン
グライダーにはいない。いたと
したら昏きド素人。
例外的に、コースイン直後あた
りはエンジンが完全に温まって
いないのでクラッチを低速ギア
では切ってシフトアップする事
もあるが、本チャンではシフト
アップではクラッチは一切切ら
ない。スロットル操作の同調の
みでパァーンポン、パァーンポン
とシフトアップしてくのがレー
シングマシンの乗り方だ。
それゆえ、レーシングライダー
のレーサーの加速音は「パァー
パァーパァー」と切れ目なく聴
こえる。
公道でもスパルタン走行の場合
は同じだ。4ストならばクォー
クォークォーと音が連続して途
切れない。
ただし、レーサーなどのカウリ
ングモデルでは加速時の全伏せ
の際はモーター音しか運転者に
は聴こえない。ウィーンウィー
ンと。排気音はカウルから起き
た時のみ聴こえる。

公道においても、レーシーな
走りをする時は私はシフトア
ップではクラッチを切らない。
逆にシフトダウンではクロス
レシオ段数のギアだろうと低
速ギアだろうとブリッピング
を必ずやる。
ブリップの回転上げ具合はそ
の時々の走行速度と回転数に
見合った回転数だけ上げる。
だからこそ、1/120開度を任
意に自在に使える技能が必須
なのだが、一般的な通常走行
ではそこまでの競技用技術を
保有しなくとも二輪の運行は
できる。ただし、レーシー&
スポーティーでスパルタンな
走りはそれではできない。

 


そうした高度な二輪走行技法
ではない、ごくごく基本的で
初歩的な基礎として、「減速時
には順次シフトダウンする」、
「完全停止時には、停止した
瞬間にギアは既にローに入っ
ている」というのが正解だ。
(私は完全停止時前にNに入
れるが、これはコースの乗り
方をしているだけで、あくま
でイレギュラー。これのみは
積極的には推奨はしない)


そうした基礎、基本を無視し
て勝手に自己流で二輪車を公
道で走らせている人が現代は
多すぎる。
カッコ悪いとかダサいとかの
問題ではなく、二輪車の物理
性を無視する行動であり、危
険だ。
減速時にはギアは順次下げて
行く。
停止時にはギアは既にローに
ある。
これは基本中の基本の基礎だ。