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兄貴分のベンベンが死んでいなく
なってから、遺されたネコはベン
の寝ていた毛布から日中離れない。

潜り込んで静かに寝ているが、夜

になると、自分だけのお気に入り

の「ロフト」に移動して虚ろな感
じだ。

 

猫に変化があった。

それまで、猫と犬以外は私の母に

しか懐かず、身体を触らせなかっ

たのに、兄貴分ベンベンがいなく

なってから、私にも妻にも娘夫婦

にも身体を撫でさせる。

気落ちしたような様子で。

呼ぶと返事を猫語で答えるのは以

前のままだが、対応に如実に変化

が現れた。

ただ、猫なりに気落ちしているの

はよく判る。

自分にとって、やはり重要な存在

だったのだろう。

人間たちが感じでいるのと同じよ

うに。

保護されて物心ついた時からずっ
と一緒だったから。
厳密には保護というより、保護し
た母猫が私の会社の屋内で生んだ
子だけど。

ベンベン♂とキジトラのココア♀
は、子猫ココアがうちに来た時
からとても仲が良かった。初日
から。

生まれた翌日のココア(左側)。


もうすぐ家にお迎えの頃。


2ヵ月過ぎまでは母乳で育った。

一番左の子はうちで育てる
事にした。他の子はすべて
知り合いの里親さんに。

お迎えの日。すぐに獣医さん
のとこに行って検診。




うちに迎える日に動物病院にて。
2020年6月。生れは4月下旬だ
った。
疫病等すべてクリアで既存在
住猫とも同居が可能になった。


うちに来てから、すぐに兄貴
分のベンベンとは仲良しにな
った。












先住者のワンコとも仲良し。
このワンコはワンコで黒猫
ベンベンと同じく誰にでも
フレンドリーだ。この時は
目を自分でこすって傷つけ
たので、ワンコはエリザベ
スカラーを装着している。




日常的な光景。




何されてもベンベンは怒らない。






黒猫ベンベンはワンコとも本当
に仲良しだった。
この写真はヤラセではない。
二匹ともいびきかいて寝てる。












うちの庭で生まれて保護し
てずっとうちで暮らしてい
た先住おばちゃん猫は、あ
とから来たワンコ(レオン)と
猫(ベンとココア)には慣れ
なかった。
自分が子猫の頃の先住犬の
アーク♂にはじゃれついて
ベタベタに懐いていたが。


昨日死んだ黒猫ベンベンと
子猫のココアは実に仲良し。
それは、まるでおばちゃん
猫の子猫時代の先住ワンコ
との姿を見るようだった。


夜も


朝も


こうした仲のよさは、片方が
死んでサヨナラするまで続い
た。本当のきょうだいのよう
に。
今、遺された猫は5才になっ
たが、兄貴猫のベンベンがい
なくなってとても寂しそうに
している。
生まれて物心つく前からずっ
と一緒にいたきょうだいのよ
うな存在が突然いなくなって、
きっと戸惑っているのだろう。



東京駅から新幹線に飛び乗
った娘夫婦が、ベンベンの
死に際に間に合って11時間
程一緒に過ごせたのがせめ
てもの幸いだった。
もう死ぬ寸前に家族で声を
かけて覗き込むと、ベンベ
ンは虫の息の中、家族を目
で追って視線を移動させて
しっかりとそれぞれの人間
の顔をじっと見て、また視
線を移して顔をじっと見る
というのを繰り返した。
老衰ではないので、最期ま
で意識は朦朧としながらも
しっかりしていた。
胃腸の内容物も漏らす事も
一切無かった。
最期まで綺麗な生き方、死
に方をした猫だった。
家族の命が、10月4日の昨
朝6時21分、ひとつ消えた。
ベンベンは死にかけていた
子猫の時にうちに保護され
てから12年と約8ヵ月精一
杯生きたが、遺された5才
になる妹分の猫の様子を見
ていると、不憫でならない。
人も動物も、かけがえのな
い存在というものはこの世
にはあるのだ、という天が
与えた理を今改めて深く感
じる。