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ケルリズム

ケルピィの頭の中、公開します。

今一番ライブが見たいアーティストと言われたら、迷いなくBruno Marsと言ってただろう。

なにせ曲がいい。

踊りがうまい。

なのに背がちっちゃくて、ふざけた高校生みたいな面影が残る彼は、

手が届かない雲の上の人というより、学年で一番イケてるけど優しい男の子みたいな親しみやすさがある。

Uptown Funk以降、ガラリとファンクやR&B色を強めて、

24K MAGICでグラミーを7部門受賞し、

21世紀のマイケルジャクソンと言うにたがわない、大ポップスター。

 

去年の秋頃来日公演が発表され、あたしは先行抽選も、追加公演も、席が追加された時も全部申し込んで、全部落ちた。

日本以外の公演だったら取れるんじゃないかと思っていた矢先、

たまたま友達のチケットが一枚余っているとの情報A.K.A.神からの思し召しがあり、幸運にも行けることに。

 

自分のワードローブで叶う限りの90s感を醸し出しつつ、会場に向かった。

オープンから10分で着いた物販は既に全部売り切れ、パンフレットしか残ってなかった。

まさかCross Coloursが未だに存在してたとは思わず、でもBrunoの写真入りのTシャツより、

Brunoが着てるようなやつの方が需要ありそうなのになと思った。

 

前置きが長くなった。笑

 

10分ほど押しで(多分普通に客入れ)前方中央の四角いステージのぐるりにかかった幕があがると、

しょっぱなは先日Cardi Bとのリミックスを出したばかりのFinesse。

正面の席からは、ステージのライトの前に立ってるBrunoとバンドのHooligansのシルエットがバン!って出てたらしいんだが、

サイドのスタンド席だったあたしたちからは彼らが横一の板付きで出てきたように見えて、

あれ?もっと派手な登場を期待してたんだけど既にステージにいたのね笑 って感じだった。

そして24K MAGIC、Treasure、Perm…ちょっと待ってこの人テンション上がる曲しか作ってない。

イントロが鳴るたびにお客さん全員ブチ上げ。

しかも案外メドレーとかにはせず、一曲一曲結構たっぷりやってくれて、曲間も少し間があるという心地よいテンポ感。

 

するとBrunoがエレキ片手に出てきて…ロックバラード風のイントロからCalling All My Loveliesへ。

ギターソロも。てかめちゃくちゃ上手いんですけどなんなのこの人。

すると電話の呼び出し音が鳴って、バックトゥザ・フューチャーに出てきそうな電話の子機を片手に持った彼は

「ピーッ」と鳴った留守電にこう呟いた。

 

「キミニ会イタイヨ、トテモ」

トテモ!かわいい!お客さん大喜び。

するとコーラスと一緒にメロディーに乗せて、

「キミニ会イタイヨ、トテモ」

「トッテモトッテモ」

と歌うではありませんか。

トッテモトッテモ、かわいい。

 

からのガラッと雰囲気を変えてChunky(あたしはこの曲に因んでホットパンツ履いてきた。フープピアスはさすがにもう持ってなかった)。

からのThat’s what I like!

曲の最後に「片足を前に出して、こうやって(腰を)前後に揺らして。

簡単だから!ここにいる全員がこれやんないとこの曲終わらないよ!」と言うと、

腕を振ってとかじゃなくて体を前後に揺らすという地味な共同作業にいささか動揺つつ、

さいたまスーパーアリーナに集まった4万人弱が言われるがままに半笑いで片足を前に出して揺れ始めた。

 

ア、アリーナ全体がゆらゆらしてる笑

 

「アイシテマス・・・アイシテマス・・・

アイシテマス、アイシテマス、アイシテマス、アイシテマス」とまくしたてるBruno。

途中で本人もウケて笑い出す始末笑

 

エモーショナルなサックスソロが始まると、お客さんたちがスマホでライトをかざし始めた。

Versace on the floorの間中、クリスマス時期に木に乗っかってるのとは違う、

一つ一つのライトから意思と羨望と恍惚が滲むイルミネーションがキラキラして綺麗だった。

 

そしてMarry You。お客さんめちゃくちゃ歌ってる。

この曲の ”No, no, no, no, no”しかり、他の曲でも、フーとかイェーとか、

歌詞の意味が全部わからなくても一緒に歌える、覚えやすいメロディが沢山あるアーティストだなと改めて思った。

だからこそ愛されるんだろうなと。

 

Hooligansのドラマー、Brunoの実兄のドラムソロからのRunaway baby。どこまで上げてくんだ!

この曲でこれぞファンクなブリッジ。まさかこの曲でこんな感じで来るとは。

Brunoはmash potato (James Brownの十八番ダンスムーブ)やったり、ステージを縦横無尽に行き来する。

ただ、Hooligansのメンバーと合わせて踊ってるとこも、一人で踊ってるとこも、

なにせ自然というか、まったく力が入ってない。

音に合わせて踊ってるというより、水に石を落としたらそこから波が立ったのに似てる。

4歳にはステージでパフォーマンスをしてたというんだから、

言葉を覚えるのが先か歌と踊りを覚えるのが先かって感じだったんだろう。

あたしたちが会話をするくらい、彼には歌って踊ることが自然に違いない。

こんな何万人が自分を見に来てるステージの上ですら、彼には気負ってる感じがちっともなかった。

 

そしてWhen I was your man。あたしは家でこの曲を流すだけで顔が歪むくらい泣いちゃうから本当にやってくれて嬉しかった。

ピアノソロでキーボーディスト以外は一旦いなくなり、戻ってくると再度テンションマックスでLocked out of heaven。

締めの曲はJust the way you are。

最後はお客さんにサビを歌わせて、会場が多幸感に包まれる中、

なんとも昭和のテレビの音楽番組のアウトロ感漂うリプライズの上でバンドメンバーを紹介して幕が閉じた。

 

当然のお客さんからのアンコールにほどなく”Tokyo do you want one more?”と答えたのはUptown Funk!! 

Mark Ronson名義だからやらないかなと思ったけどまさかのアンコールで来てもう会場は轟く轟く乱痴気騒ぎ。

地震起こったとしてもわからないくらい会場が揺れてた。

 

正に飛ぶ鳥を落とす勢いの、脂が乗りに乗った今を時めく最高のアーティストのライブは、

良くないはずがないんだけど、本当に見れてよかった。

なんの躊躇もなくかかりにいった24カラットのMAGICは未だに解けない。

 

 

Finesse

24K Magic

Treasure

Perm

Calling All My Lovelies

Chunky

That’s what I like

Versace on the floor

Marry You

Runaway Baby

When I was your man

Locked out of heaven

Just the way you are

Encore: Uptown Funk

バンドメンバーが入ってくる。ドラム、ベース、キーボード。パーカッションにDJにコーラスは3人。

会場が暗くなる。緊張が走る。

デジタルのみでリリースされた”But you caint use my phone”の“Caint use my phone”が流れ、バンドが重なる。歓声とともにエリカが入ってくると、”Hi”で挨拶。

出てきてすぐに”Out My Mind, Just In Time”でしっとりと聞かせたかと思うとデジタルパーカッションでフリースタイルのビートを叩き始める。もうこれだけでかっこいいんだが、最後にあの印象的なキックを叩くと”On & On”が。からそのまま”…& On”へ。

「ここってお酒出してくれるの?じゃあバーテンダー、ここにいる全員にあたしから一杯ずつ出してくれる?」そう冗談を飛ばしてはまたビートを叩き始める。反対側のパーカッションスタンドに被っていた背の高いシルクハットをかけ、着ていた茶色のコートを脱ぐ。するとここで”Love of My Life”!これには絶叫するお客さんも。Aaliyahの”Rock the boat”のフレーズやFugeesの”Killing Me Softly”でも使われたRotary Connectionの”Memory Band”のシタールのサンプルが入る。かと思えば打って変わってWeldon Irvineの”Morning Sunrise”。こういうカバーをちらっと入れてくるのが私は大好き。1曲丸々やらなくても、こういう曲を通って来てるんだな~ふんふん、と同じものを共有している気がしてほくそ笑むのが好きなのだ。すると「Baduizmが発表されてから今年で20年。また東京に来れてとても嬉しいし、みんなに会えてとても嬉しい。」そう言って今度はGraham Central Stationの”Happ-E-2-C-U-A-Ginn“をドゥワップでお礼代わりに歌うと、”apple tree”、”I want you”から“All Night”,”Cleva”を。”Cleva”の終わりでは、歌詞のalrightにかけてZapp & RogerのAlrightを乗せ始め、お客さん全員に歌わせる。バンドを止めてお客さんだけにすると、その声の大きさに「Sh*t!!」と驚き、彼女が煽った会場がひとつのクワイヤになったかのようだった。

”Back In The Day”では、Puffという歌詞に合わせてエリカが親指と人差し指に挟んだ葉巻を空に掲げる格好をするたびに彼女自身の声ネタが”Puff”とこだました。お客さんたちも真似して親指と人差し指をくっつけ、上に掲げる。最後に「あと2分45秒しかないんだけど、2曲詰め込まなきゃいけないから・・・速いテンポの”Call Tyrone”やりましょ」そういうと本当に速いテンポでエレピが流れ始める。そこに冒頭の”Caint use my phone”をマッシュアップ。そうか、これ同じメロディだったのか!

ステージに集まってきたファンたちが差し出すレコードやCDにサインしてあげ、花束を受け取り、ハイタッチをしながら彼女は出て行った。

一番有名であろうあの曲や、MVが物議をかもしたあの曲、あの曲もあの曲も、今回はお預けだった。でも、どの曲も新しいアプローチで、曲の途中でグルーヴが変わったり、コーラスのアレンジが凝っていたり、次は何が出てくるのかわからないステージだった。そのうえ、エリカが身振り手振りでバンドを仕切っている。最初にメンバーが多いな、と思ったのは即興性が高いからなのか、と妙に納得した。同期(コーラスや、小編成で足りない音を流しながら演奏する)も最近かなり多いとは思うが、それはアレンジがきっちり決まっていて曲の長さも決まっていなければ成立しない。彼女の沸き出てくる自由度を実現するには、彼女のリードについていけるメンバーがその場にいることが必要なんだと思った。こっちが期待していた曲目が聞けなくてしょんぼりしたのは事実だが、彼女は自分のリスナーに迎合したりしない。彼女は縛られない感性の赴くままに表現してきたし、時にはそれが批判や誤解の対象になったとしても、動じずにその姿勢を貫いてきたからこそ(本人が嫌がっても)ネオソウルの女王と呼ばれ続けてきたのだろう。それが彼女らしいのかもしれないと逆になんだか嬉しくなってしまったライブだった。

 

 

Caint use my phone

Hi

Out My Mind, Just In Time

On & On

…& On

Love of My Life

Morning Sunrise

Happ-E-2-C-U-A-Ginn

Apple Tree

I want you

All Night

Cleva

Back in the day

Danger

U don’t have to call

Next Lifetime

Call Tyrone

ベーシストでかつ歌う人は、ピアニストで歌う人より、ギタリストで歌う人より圧倒的に少ない。だからこそ、印象に残るもんだ。

ブラックミュージック好きなら、Bootsy Collins、Larry Graham、Meshell Ndegeocelloと通って来て、きっと今はEsperanza SpaldingとThundercatあたりにワクワクしてるに違いない。



そんなベーシストでかつ歌う人(だけではないんだけど)、Thundercatのライブに行ってきました。東京公演は恵比寿リキッドルームで早々にソールドアウト。

開始時間から間も無く、白と黒のマスターヨーダみたいなローブを着て登場。そもそも一曲目の前に袖を肩に巻き上げてるけど、それ絶対弾きづらいっしょw



楽器はIbanezのセミアコ(うちのNU minorのベーシスト玉ちゃんもこれだから知ってた)。

なんだけどなにか様子が…ピックアップが…



説明しよう!ピックアップとは、エレキギターやエレキベースの弦の下に設置されている超小型マイクみたいなもので、弦を弾いて出るかすかな音を拾い上げ(そうだからピックアップ!)それをアンプリファイヤーで増幅することにより音量を上げるのである!通常はせいぜい2〜3枚、札みたいなものがついている程度である!



サンダーキャットのベース、黒いピックアップが横並びにびっちり配置されててのり弁当みたいになってるのwww

のり弁当に見えて仕方ないw



さて早速新譜Drunkの1曲めRabbit Hoから始まったライブ。声綺麗だな〜指がめちゃくそテクニカルなのに対して歌声が素朴でメロディラインがキャッチーだからすごいバランスいいんだなー



そしてあたしが大好きなA Fan’s Mail、ネコはいいよ!って曲。「ミャーオミャーオ」だけでメロディ取るから、ついうっかり出先で口ずさんでしまう曲。これは是非サンダーキャット知らない人にも聴いてほしい!一緒にミャーオミャーオ言いたい。



ここでローブを脱ぐ。早いよ。w



元々1曲が短いのが多いから、テーマ以外はソロやら結構なインプロ。時折キーボードの人がどんどんモードなコードを入れてくる。ドラム、キーボード、ベースのスリーピースどれもがテク過ぎてかっこよすぎてテンションダダ上がり。かと思えば浮遊感漂う曲にうっとり。そして曲をつなげまくってもはや原形をとどめていない。



Them Changesのドラムパターンが鳴り始めると観客が騒ぐ。それを見てサンダーキャットが「やるよ?いいの?」みたいな顔でふざける。そもそもアルバムのブックレットがふざけすぎだからきっとふざけてる人なんだろうなぁと思ったけどほんとにおもしろい人っぽいな。ライブを通してほとんどMCなく歌いっぱなし弾きっぱなし。MCするかと思いきや「あー・・・」だけで終わったり。何言いかけてなんでやめたのw



唯一くらいちゃんと喋ったのが「TOKYO、愛してるぜ。愛しすぎて、曲作ったんだよ」と、きっとやるだろうなーと思ってたTokyoを。曲中に悟空やらケンシロウ出てくるんだけど、この人ほんとアニメ好きなんだなーと思う。w

Oh Sheit it’s Xで本編終わり。アンコールに応えてたっぷり3曲。お客さんもぴょんぴょん跳ねてアリーナの真ん中とかモッシュになりかけてた。そっか、この人Suicidal Tendenciesとかもやってるんだっけ、そういうオーディエンスにも刺さるのか。



あー楽しかった。踊ったしニヤニヤしたし興奮した。ありがとうサンダーキャット。また東京おいでね。



セットリスト

Rabbit Ho

Tron Song

A Fan’s Mail (Tron Song Suite II)

Jethro

Where The Giants Roam/Field of the Nephilim

Inferno (の後半から)

Hard Times

Song for the Dead

MmmHmm (Flying Lotusでfeaturingされてる曲)

Is It Love (Outroの部分だけでセッション)

Heartbreaks + Setbacks

Them Changes

Bus In These Streets

I Am Crazy

3AM

Drunk

Tokyo

Lone Wolf and Cub

Friend Zone

Lotus and the Jondy

A Message for Austin/Praise the Lord/Enter the Void

Without You

Walk On By (ほんのちょっぴりだけ)

DUI

Oh Sheit it’s X

(encore)

Captain Stupido

Daylight

The Turn Down