雨が降ってます。
現状維持で良いんだと思う。
それはまだ僕が中学一年生の時で、最初は本当に良くある少女漫画みたいな出会いだった。
同じクラスで、僕の目の前の席。
漫画の世界から抜け出してきたか、はたまた僕が迷い込んだりしたような光景だった。
まだ日差しは強くなくて、春の柔らかな光がノートに懸命に文字を綴る彼女のうなじを包んでいた。
彼女の名前は堀田みかちゃん。
みんなからは「ミケちゃん」と呼ばれていた。
少し外ハネ気味の髪がなんとなく猫のようで、人と話すときの仕草なんかが猫っぽいらしい。
僕にとってミケちゃんは「一緒にいたら思わず眠ってしまいそうなくらい落ち着く子」という所だろうか。
しかしながら、僕には女の子と話すなんて到底出来やしないから、いつも後ろ姿を眺めるだけ。
でも僕は満足だった。
中学一年生の恋なんてそんなものだ。
もしかしたら他の奴らは違うのかもしれないけれど、少なくとも僕はそうだった。
「ミケちゃん。」
一度だって呼んだことのない名前を、地元から遠く離れた街で呼んだ。
僕はもう34歳になっていた。
ミケちゃんに告白することなく中学時代を終えて、ミケちゃんは地元の高校ではなくて、遠く離れた街の私立の高校に進んだ。
僕は志望校に落ちて、滑り止めで受けた地元の私立に通った。
僕とミケちゃんでは頭の良さが全然違っていたから、もう会うこともないんだろうなと思った。
しかし、運命って奴は気まぐれで、僕の初恋の人にこうして会わせてくれたりする。
彼女も僕と同じで、年をとっていたし、外ハネだった髪は今は長くのばされてしまって、あのハネはない。
けれど、僕は一発でミケちゃんだとわかった。
あの日と同じ、後ろ姿は変わっていなかったから。
彼女は僕の方を一瞥して、何事もなかったかのように歩いて行ってしまった。
そうだろう。
だって僕はミケちゃんとまともに話をしたことなんかなかったんだから。
ゆったりと、昔と同じ猫のような眠たげな動きをして、彼女はあるいて行った。
彼女の視線の先には、二人の男の子と、僕より一つ2つ上の男性が彼女に笑いかけていた。
僕は幸せな家族が更に笑顔を世界にばらまく前に、背中を向けて僕の家族のもとに帰る事にした。
余りにも淡すぎた恋だった。
それはまだ僕が中学一年生の時で、最初は本当に良くある少女漫画みたいな出会いだった。
同じクラスで、僕の目の前の席。
漫画の世界から抜け出してきたか、はたまた僕が迷い込んだりしたような光景だった。
まだ日差しは強くなくて、春の柔らかな光がノートに懸命に文字を綴る彼女のうなじを包んでいた。
彼女の名前は堀田みかちゃん。
みんなからは「ミケちゃん」と呼ばれていた。
少し外ハネ気味の髪がなんとなく猫のようで、人と話すときの仕草なんかが猫っぽいらしい。
僕にとってミケちゃんは「一緒にいたら思わず眠ってしまいそうなくらい落ち着く子」という所だろうか。
しかしながら、僕には女の子と話すなんて到底出来やしないから、いつも後ろ姿を眺めるだけ。
でも僕は満足だった。
中学一年生の恋なんてそんなものだ。
もしかしたら他の奴らは違うのかもしれないけれど、少なくとも僕はそうだった。
「ミケちゃん。」
一度だって呼んだことのない名前を、地元から遠く離れた街で呼んだ。
僕はもう34歳になっていた。
ミケちゃんに告白することなく中学時代を終えて、ミケちゃんは地元の高校ではなくて、遠く離れた街の私立の高校に進んだ。
僕は志望校に落ちて、滑り止めで受けた地元の私立に通った。
僕とミケちゃんでは頭の良さが全然違っていたから、もう会うこともないんだろうなと思った。
しかし、運命って奴は気まぐれで、僕の初恋の人にこうして会わせてくれたりする。
彼女も僕と同じで、年をとっていたし、外ハネだった髪は今は長くのばされてしまって、あのハネはない。
けれど、僕は一発でミケちゃんだとわかった。
あの日と同じ、後ろ姿は変わっていなかったから。
彼女は僕の方を一瞥して、何事もなかったかのように歩いて行ってしまった。
そうだろう。
だって僕はミケちゃんとまともに話をしたことなんかなかったんだから。
ゆったりと、昔と同じ猫のような眠たげな動きをして、彼女はあるいて行った。
彼女の視線の先には、二人の男の子と、僕より一つ2つ上の男性が彼女に笑いかけていた。
僕は幸せな家族が更に笑顔を世界にばらまく前に、背中を向けて僕の家族のもとに帰る事にした。
余りにも淡すぎた恋だった。








