Kelly's Another Story

Kelly's Another Story

文系大学院生からパン屋さんに就職した夢見る愚か者の話
Here's to the fools who dream, here's to the hearts that break, here's to the mess we make.

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大学院を辞めて、製パンの仕事を始めてから、この4月でまる6年が経つ。同時に、社会人になってまる6年、実家を出てまる6年。当時のことを思い出すと、なんというか、悲しい気持ちになる。応援してくれる友達も何人かいたけど、反対する人の方が多かった。とくに家族を説得するまで1年はかかった。私の研究を最も応援してくれていた当時88歳だった祖母は落胆し、母親は多分、泣いていた。当たり前だろう。それまでの勉強や研究生活にかけた費用と時間をすべて台無しにするのだから。それになにより、それまでお世話していただいた先生や先輩達にはどういう顔をして去ればいいのか分からなかった。

 

そんな周りの目を気にしつつも、一度決めたら止まらない性分なので、大学に通いながらアルバイトでパンの勉強を開始。それと同時に、10代の頃にバイトしていたパン屋さんに行って頼み込み、実習させていただいた。ほんと、今考えるとよくあんなことしたなぁと恥ずかしくなる。そんな私を受け入れてくれた店長は、今でもずっと恩師である。

 

就職先として選んだ場所は名古屋。友達もいたし、普段は合わないが父親も名古屋郊外にいるし、実家を出るために大阪から離れた所にしようという単純な動機であった。第一希望だった小さなベーカリーのオーナーさんは、人柄もよく専門学校の講師でもあり、とても働いてみたかったが、それまでの学歴にびっくりされたのか警戒されたのか、不採用だった。第二希望のベーカリーカフェでの面接は、本当に名古屋に引っ越してまで働く気があるのかと再度確認され、採用された。ただ、採用が決まって働き始めて1週間が経った時、第一希望だったベーカリーのオーナーさんから連絡があり、他に採用した子がすぐに辞めたのでどうかという連絡だった。時すでに遅し。働くまでなら受けていたが、働き始めて1週間でたくさんのことを教育されていた最中だったので投げ出すわけにはいかず、お断りした。

 

初めてのベーカリーでのお仕事は仕込みと仕上げ。ミキサーでひたすら生地を作ったり、焼き上がったパンのトッピングや仕上げをしたり、翌日の具材の準備をしたり。それはそれはしんどかった。31歳未経験の私は上司や先輩にケチョンケチョンにされ、毎日悔しい思いをした。10代からこの道で働いてきた彼らからすると、30過ぎてから始めるやつなんて、いじめる対象以外何者でもないですよ。腕の力がなかった私は、「ジムにいけよ」と嫌みを言われたり(ジムに行く経済的な余裕もないので毎日ダンベルで手の力を鍛えたけど)、「勉強ばっかしてきた人は仕事できない人多いんだよね」、とか言われたり。「(仕事じゃなくて)パン教室にでも行けば?」とか言われたり。そんなことを言われても淡々とした表情を崩さない私はどこか生意気に見えるんでしょうね。しまいには、「俺は上司なんだよ!」と怒鳴られたり・・・笑。なんやねんこいつは・・・と思ったわ(笑)。

 

私はほんと、かわいくない。だから、プライドの高い男性上司とは相性が非常に悪い。上司をうまく立てて、上手に甘えている女子社員たちを見ていると、ああこういう人が世の中うまく渡っていくんだなと思った。だからといって真似ようと思う気なんてわくはずもない。そんなアホくさいことに付き合うくらいなら、不器用でも、いじめられても、嫌われてもいい。そんな感じだった。

 

ただ、腕の力なんて毎日仕事仕事していたら自然とついてくるし、毎日仕事終わりに破棄されたパン生地を使って練習していたら、なんとか周りについて行けるようになった。できたらできたで、態度が気に入らないと言われたり。もう辞めよかなーと思っていたら、「辞めたら承知しないからな」って中学生のガキかと思うような脅され方をされたり(笑)。辞めていったのは周りの社員だった。だから私まで辞められちゃ困るってわけだ。そうこうしているうちに、そのお店は閉店になったけどね。アディオス。