エイトは、まだしゃべることは出来ないので、要求のほとんどをクレーン現象か第6感で伝えてくる。
しかし、詳細には伝えることは出来ないので、その時のエイトがどう考えているかは、未だに知ることは出来ない。
で、そんなエイトの本日の行動。
大好きな夜景の動画を見ながら、動画中の楽曲に合わせて、おもちゃの楽器でセッション中。
茶目っ気たっぷりな日常の一コマである。
でも、動きを見ていると、たぶんエイトは大真面目にしているのだと思う。
エイトは、この曲がどんなふうに作られているか知らないけれど、楽器を鳴らすことによって作られている事は知っているのでしょう。
それがどんな楽器か知らないのと、おもちゃと本物の楽器の区別もまだついていない事から来るこの行動なのだと思う。
しかし、音楽に合わせて、おもちゃの楽器を鳴らすことによって、同じ音を出そうとしているのは良く伝わってきた。
この時の集中力は、凄いものがあるので、この時に要求に見合うことを教えてやれれば、すぐに覚えてくれるのでしょうが、なにぶんにもこの集中期間は、突然始まって突然終わるので、何もできずに終わるのがほとんどなのである。
ウィリアムズ症候群の感覚は、聴力に限らず、嗅覚や味覚も敏感な子が多いのである。
エイトは、それがどんな感じかは、教えてくれないけど、会に行くと他のお喋りが大好きなウィリアムズ症候群の子がいろいろ教えてくれることがある。
ある時の事、エイトはパンは食べないのですが、給食のパンを食べない事をその子に聞いたら。
「うーん、分かる気がする、パンが硬いのも嫌だけど、一番嫌なのは臭いかな、例えるなら、雑巾を口に押し込むような感じ。」
雑巾である、雑巾。
非常に独創的な比喩表現であるけど、非常にわかりやすい。
その子の言っているのは、たぶん酵母の臭いなのだと思う。
それが、エイトがパンを食べない理由とは限らないけど、感覚の違いって事を感じた一幕でした。
日常的には、音だけではなく、臭いや光など、五感を刺激する物はたくさんある。
その中で、僕らは、情報を得て、判断しているのだけど、ウィリアムズ症候群の子が感じている情報は、聴覚を中心に少し違った情報を得ているのでしょう。
ウィリアムズ症候群がよく不思議な感じがするっと言われるのは、同じ空間に居ても、入ってくる情報が共有できていないために、ちょっとだけ違う世界を感じているせいかもしれませんね。