妊娠初期における深部静脈血栓症の症例1(診断編) | つるのブログ

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ウィリアムズ症候群の長男や自閉症の次男の事、それと子ども達にに野菜を食べさせるために始めた家庭菜園について書いていきます。

 エイトが生まれる時の話しなので、いまからもう8年前の話になります。


 事の始まりは、嫁さんの右足の膝から下が原因不明に腫れるって症状でした。


 当時、スポーツ整体に通っていたので、激して動きが原因でもないし、筋肉や筋の動きにも問題無かったので、EMSやテーピング対処してました。



 翌週に前々から計画していた海外旅行を控えて、治癒の傾向どころか、痛みが悪化する傾向が見られたので、訪れた地元の病院で出された診断は「深部静脈血栓症」でした。


 効き慣れない名前でしたが、要するに深部静脈に血栓が出来たために、足からの血液の環流に深部静脈が使えなくなり、行き場を求めて、深部静脈と比べて細い表在静脈に大量の血液が集まったために起きた腫れでした。



 嫁さんが言うには、この痛みは、陣痛よりも痛かったそうですが、血圧によって血管が限界まで膨れ上がるのですから想像を絶する痛みでしょうね。



 「エコノミークラス症候群」のような安易な名称が付けられたために、軽視されがちですが、下肢切断や死に至る事も珍しくない病気です。


 注意喚起できるように名称を変更しようっとした動きもあったようですが、僕的には俗称ではなく本来の名称で呼ぶべき事例だと思うのですけどね。


 ともあれ、診察からそのまま入院。


 治療の方針もすぐに決定され、完全閉塞を起こしている深部静脈の通すために、血栓溶解剤(ウロキナーゼ)の持続点滴と抗凝固剤(ワーファリン)の服用を入院管理下で行うために、とりあえず1週間の入院となりました。


 幸運にも、田舎の病院で有りながらも地域の拠点病院としての役割を果たすべく導入された、超音波検査機の存在と診察した医師の機転で助かったわけです。


 一人自宅に帰った僕は、入院用品の買い集めや、旅行のキャンセルに奔走していたのでした。


 そこまでが、6月20日のお話。




 翌21日に、前日決定したすべての事が無に帰す事が起きた。


 入院検査で妊娠が判明したのである。


 血栓症治療においては、妊娠をしているしていないには大きな差。


 特に、管理がしやすく薬価も安いワーファリンは多くの血栓症患者を救ってきたが、妊娠初期と後期においては使用は禁忌なのである。


 点滴も錠剤もすぐに回収され、再度医師との話し合いの場がもたれました。




 要点はこう。



 妊娠していると、通常の治療は行えない。


 深部静脈は完全閉塞しており、このまま時間を稼ぐことは出来ない。


 血栓は急性期にあり、不安定な血栓が飛べは死ぬ。


 

 以上の点から、もっとも安全なのは、このまま治療をして、急性期を抜けたら中絶をして、再度治療に戻るっと言うもの。


 言いにくそうに説明する医師の発する文字列の中からでも、それだけは明瞭に見えた。



 基本、妊娠は母体の安全が確保できた上での話なのだから、この話は至極当然。


 僕が考えるに、今までで、エイトの命はこの日が一番危なかったのだと思う。


 どちらかが同意すれば、それで決まりなのだから。



 しかし、結婚6年で初めての妊娠だった我々夫婦は、揃って妊娠継続を希望。



 この状況でも受け入れてくれる病院を探してもらうことにしたのである。



 続きは、また今度。