→前回の続きです。
途中、バイクが赤信号で停止することもあったけど、Kは一度も振り返りませんでした🏍️
一言も言葉を交わすことなく夜景の見える丘に到着し、ヘルメットを取って2人で柵の方へ向かいます。
辺りはもうすっかり暗くて、自分の泣き顔をハッキリ見られないことに私は安堵しましたが、
Kが何を思っているのか、どんな表情をしているのかを知るのが怖くて、私はKの方を向くことが出来ませんでした。
2人で夜景を見つめて、どれ程時間が経ったんだろう。
Kが唐突に口を開きました。
「今から、俺が◯◯に惚れてるところを言うわ。」
私は全く意図していなかったKの言葉にびっくりして、思わずKの方を向きました。
「まず、天真爛漫なとこ。一緒にいると楽しいし元気になれる。太陽みたい。でも月みたいに静かに照らしてもくれる。優しくてあったかいよな。そこがめちゃくちゃ好き。」
私は、Kの口から「好き」という言葉が出たことに、思わず息をのみました。
付き合って2年間、私が何度「私のこと好き?」と聞いても、照れ笑いしながら「分かってるだろ」としか言わなかったから。
「あとは、すげー頑張り屋で自分に厳しいけど、他人には厳しくないよな。そこは凄いと思ってるし好きなとこ。あとは…」
Kはずっと私の目を真っ直ぐ見ながら真剣な顔で続けます。
熱を帯びたKの熱い眼差しに射抜かれたように、私の身体は固まって身動きが取れずにいました。
でも、Kの想いが一気に身体に流れ込んできて、私の心臓はうるさく音を立て、血液がもの凄い勢いで流れたような感覚の後、頭がクラクラして身体がカッと熱くなりました。
あの感覚は今でも忘れられません。
気が付いたら、私は泣いていました。
今まで私の好きなところを聞いても、「強いとこ(笑)」としか答えず、
挙句の果てには、鉄の女と呼び声の高いマーガレット・サッチャー首相(英)と私の名前を足して、私のことを◯ッチャーと呼ぶ始末
そんなKがこんなに一生懸命、真剣に伝えてくれてる…。Kの2年間分のi love youでした。
「ありがと。もういいよ…」
私は胸がいっぱいで、やっとの想いで声を振り絞ると、Kは力一杯私を抱きしめて、震える声で「今まで言ってなくてごめん。」と言いました。
「ホントだよ。」と私が言うと、Kは苦しそうな表情で私の頬を両手で包み、「愛してる。」と言ってキスをしました。
「私もだよ。Kありがとう。」
2人で抱き合いながら泣いて泣いて
ひとしきり泣いた後、
「私の好きなとこもっと言って。全然足りない。」
「いや、残念ながらもうない(笑)」
なんていつもの私達に戻って
「明日から猛勉強しなきゃね。」
「数学とかもう忘れてるわ〜(笑)…でも、俺頑張るから。◯◯、ありがとう。」
こうして、Kの受験生活が幕を開けました。
→続く。