合同で結婚式を行うカップルというのは、

ままある話である。


親友同士が、ダブルで海外ウエディングや、

結婚式だけを予定していたお二人が、

式を挙げていない両親と合同で行ったなど。



双子の場合はどうだろう。


たまたま結婚の時期が重なったとき、

結婚式、ご披露宴を合同で行えば、

ご両親、ご親族の手間は1回となる。

続けて2回より、まとめて1回、合理的ではある。



しかし、はたして新郎新婦の心情はいかがなものか。


人生最大の大イベント。


お二人が主役のはずのご結婚ご披露宴が

ダブルキャスト、ダブル主演で行われることとなるのだ。



おそらく、プロポーズの時には想像し得なかっただろう。

そんな双子の合同結婚式の司会をした。


11月22日にご結婚ご披露宴を

行うこととなった二組のカップル。

イイフウフというゴロ合わせで人気の日である。


現れた二組のカップルの新郎は、一卵性双生児。


まさに瓜二つである。

背格好から姿勢、しぐさ、顔までそっくりのお二人。

かけている眼鏡までも良く似ている。



これで似たようなブライダルスーツをお召しになられたら、

どちらがどちらか見分けがつかないであろう。


本当に司会者泣かせである。


しかし、花嫁は全く違うタイプであった。

通常、披露宴では新郎新婦は必ずペアで動く。



たまにお色直しで別々に退場することはあっても

入場の際は必ず一緒。



移動もあいさつも着席も二人は同時に行う。

つまり、花嫁を見て新郎を見分けるのだ。



これなら簡単。


お兄ちゃんのお嫁さんはしっかり者タイプ。

職業が看護婦ということもあってかハキハキと簡潔に話す。



だけど口数は多いほうではなく、化粧化もない。

大きな丸い眼鏡が印象的。



一方、弟のお嫁さんはかわいいタイプ。

小さい顔に大きなクリクリの目。

声は小さいけどキャッキャとよく笑う。

淡いピンクの頬とピンクのグロスが愛らしい。


どこまでもそっくりの双子の新郎、

女性の好みは全く違ったわけだ。不思議。



ご三家のご結婚ご披露宴は十時から開宴。

比較的早い時間から宴が行われるのは、

ハネムーンの都合らしい。



もちろん、旅行もニペア四名様でご出発。

お嫁さんたち、ねえ本当にそれでいいの?



開宴前、ロビーでみかけた新郎は

想像どおりのそっくりさん。



親族にペコペコ頭をさげている姿は

合わせ鏡のようだった。


「本日は、おめでとうございます。」


と挨拶する私に同じタイミングで


「よろしくお願いします。」


この段階で、どちらがどちらか

見分ける必要がなかった私は気楽なものだったが、

困っていたのは新婦のご親族。



「えーと、○○家の叔父ですが、めいがどうも・・」

などと、二人に向かってさぐりながら話しかけていた。


<続く>