【幻想物語 第7章 第13話】 | 毎日きびきび

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遂に大学生。
気を引き締めていきたいですね。

これまで出会えた全ての人に感謝を。
これから出会っていくであろう全ての人に感謝を。

新年一発目の小説更新ですw



前回、アポロンを強くし過ぎてしまった・・・orz



こんなん、どうやって倒せばいいんだ・・・?ww



大丈夫!

ライナなら、主人公補正で強くなれる!!ww



じいちゃんの家があまりにも暇で、第2部第2章第7話まで詳細を考えてしまったのはここだけの話ですヾ(@°▽°@)ノ



あえて言おう!


暇人ですたwwww



それでは、スタートです♪






幻想物語


第7章 第13



-俺が、ライナ・ウェルドだ!-



努力。才能。知力。


おおよそ、これまでのライナを創り上げてきた、全てのものだ。


それだけで、ライナは上へ上へと上がってきた。


そしてそれは、ガイア達も等しく同じ。



ライナは、心のどこかで「今回も何とかなるんじゃないか」、そう思っていた。


事実、これまでの戦いがそうだったからだ。


レオとの戦いも、ウィッズとの戦いも、ディーガとも、マリアとも、タナトスとも・・・。


全てにおいて、絶対的不利な状況から、ライナ達は立ち上がっていった。


そうしてきたからこそ、今の今まで生き残れたのだ。


故に、「なんとかなる」という、何かに縋りつくような願望が生まれてしまったのだろう。



だがそれも、アポロンとの僅かなやりとりで、脆く崩れてゆく。


「なんとかなる」という願望は、「なんともならない」という絶望に、姿を変えていく・・・。



目からは、生気がスゥっと抜けていく。



だが・・・


「どうした?もう終わりか?」


そのアポロンの声で、ライナはハッと我に返った。



そうだ、諦めてる場合じゃねぇ。

俺は、まだやれる・・・。

まだ、立てるじゃねぇか。

体が塵になるまで、やってやるさ・・・。




「バカ言うなよ?テメーをブッ倒さなきゃ、終わるに終われねェだろぉが!!」



「なるほど。人間とはよほど諦めが悪い生き物のようだ。ならば、これでその望み、断ち切ってやろう―――」


アポロンは、その紅い眼でライナを真っすぐ見据えると、再度、口を開いた。


その口から零れるは、詠唱。


その体から溢れるは、緋色の魔力(ディーガ)。


「一対の焔。幾千の動乱。大海を捉えし五対の火柱。朱雀と烈火が互いを紡ぎ、二対の牙が、血雨を降らす。黒き光が月を照らし、日輪二つが、白く染める。黒白の月夜を紅く染め、無数の龍が、暁を駆ける。天馬が踊り、龍が舞う。業火が狂い、劫火が笑う」



             アトミシア・ドラグリーゼ

「―――神龍豪焱弾」



アポロンの体を取り巻いていた、緋色の魔力(ディーガ)は、アポロンが魔法名を唱えた直後、黒く色づき、その後、鮮やかな炎へと姿を変えた。



その炎は、アポロンを中心に二つに割れ、彼の左右で、巨大な球となった。


その球は、ゆうにアポロンの身長を越え、黒き闇で、紅く瞬いている。



全てを焼かんとする烈火の炎は、ライナの思いをも、焼こうとしていた――。


「なんだよ・・・それ・・・!!」



神々ノ巨壁(ヘカトンケイル)にはほとんど動じなかったライナが、神龍豪焱弾(アトミシア・ドラグリーゼ)を見た瞬間、小刻みに震えだした。



「どうした?寒いのか?」


ニヤリと嫌な笑みを浮かべ、皮肉を発するアポロン。


「ならば、温めてやろう」



左手をスッと前へ突き出し、パチンと指を鳴らす。


乾いた、無機質な音が、辺りに無音の空間を創り出した――。



その直後、アポロンの左右の巨大な火球から、小さな―と云っても大きさはライナよりも遥かに巨大な―火球が、マシンガンさながらの勢いで、飛び出してきた。


その数、速度、まさに神の域。



対するライナも、これに即座に反応し、魔力(ディーガ)を込める。


    エターナル・ウォール

「聖なる防壁!!」




白く、神々しい光を放つ、巨大な壁が、ライナとアポロンを隔てる。



分子結合破壊能力を持った、光属性最強クラスの、防御壁。


それが、アポロンの放った火球を、容赦なく無に帰していく。



ドドドドドドドドドドド。


凄まじい勢いで、神龍豪焱弾(アトミシア・ドラグリーゼ)がヒットする。


ある意味では、最強の攻撃と、最強の防御。


このまま、消耗戦に持ち込めるかと、ライナは一瞬錯覚した。


しかしそれも、あくまで“一瞬”の出来事であり、事実、それを裏付ける現象が、彼の目の前で起こった。



ピシッ。


神龍豪焱弾(アトミシア・ドラグリーゼ)が引き起こす爆発音に混じり、一瞬だけ響いた、小さな音。


ライナは、その音を聞き逃さなかった。


不幸にもそれは、ライナの耳にははっきりと聞こえ、それ故、ライナは激しく落胆する。


あぁ、また今度もダメなのか、と。



音の発生元である、小さな小さなヒビが、みるみるうちに大きくなっていく。


ミシミシ。


軋むような、壊れるような、そんな音。


それが、限界まで大きくなった時、ヒビの大きさも、同じく最大となった。


聖なる防壁(エターナル・ウォール)の分子結合をも上回る、アポロンの攻撃力。



ドガッ。


嫌な音を立て、ライナの目の前で、盾が、崩れた。

その奥からは、ゴウゴウと燃える、巨大な火球が顔を覗かせている。




          ソニック

「――瞬風!!」




落胆があまりにも大きかったのか、一瞬ではあるが、挙動が遅れる。


だが、何とか火球を回避することに成功し、横へと跳んだ。

ライナがいた場所は、神龍豪焱弾(アトミシア・ドラグリーゼ)の猛攻を受け、黒煙を上げている。


あと一瞬、判断が遅れていたら、間違いなく、五体満足ではいられなかっただろう。



「ほう、避けたか」





感心しているのか、悔しがっているのか、声に感情がこもっていないため、定かではないが、恐らくはその両方が込められている台詞だ。



「当たり前だろ」


やや強気な口調で、アポロンへと返す。


しかし、口調とは裏腹に、地に着いた片膝が、僅かながら震えている。

口では強気でいられようとも、体が、心が、無意識の内に反応してしまう。

アポロンは恐ろしい存在だ、と。


それは、怖じであり、恐怖であり、同時に、葛藤でもあった。



俺は・・・まだ・・・ッ!!



震える膝をパンと叩き、気を鎮める。

呼吸を整え、肩の力を抜く。



もういちど攻撃をしかけようと立ち上がった、丁度そのとき、ライナの耳に、音声が飛び込んできた。



[ライナ君かい!?イディン君がやってのけたよ!!タナトスを、倒した!!]


それはあまりに突然に、ライナの心を高揚させた。


「ホントか・・・?」


思わず、聞き返してしまう。


[あぁ!!僕達も、今からそっちに向かう!!]


「おう、早く来い!」

それは、ガイアを頼る言葉ではなく、ある意味で、皮肉。


俺はまだ戦ってるんだぜ?サボってんじゃねぇよ。

そういう想いを込めた、皮肉だ。


ガイアも、それを感じ取ったのか、


[サボる気なんかないさ。すぐに行く]

と返してきた。


プツッと音を立て、ガイアからの通信は途切れた。


だが、ライナの心は、逆に高ぶりつつある。

その証拠に、彼の顔には、先程まではなかった、笑みがある。



その笑みは、これからアポロンへ立ち向かうと云う、決意。


そしてその笑みは、アポロンへと伝わり、事の全容を把握させた。


「なるほど・・・な。タナトスが・・・」
一瞬、悲しみが浮かんだように見えたアポロンだったが、すぐにその表情は、無へと変わる。


「これで残るは、テメー一人だ!!」


「・・・・・・あくまで私に立てつくというか、ケルディア」


その言葉を受け、ケルディア、もといケルベロスが、幻影という形で、アポロンの前に姿を現した。


いつものごとく、フードを目深に被って・・・。



「あたりめーだろ?アポロン。随分久しぶりだなァ。元気か?」


「見ての通りだが?」


ケルベロスとの再会を喜んでいるのか、アポロンの表情が、無から笑みに変わる。


「どうだい?俺の宿主様は


「拍子抜けだな。お前の選んだ『器』がその程度だとはな」



「まァそう言うな。それでも、お前を止めるくらいはやってのけるぜ?」


強気なケルベロスの発言で、アポロンは初めて、クスッと笑った。


「フフ・・・面白いな。やってみろ」





「いくぜ・・・ライナ・・・」


アポロンに聞こえぬよう、彼は小声で、そう言った。


「おう・・・!!」


ドクン!



ケルベロスの幻影が消えた瞬間、ライナは、体の中心に熱を感じた。


まるで、何か別のモノが、そこに現れたかのように。



「ケルベロス・・・これが・・・」


「あぁ、そうだ。『第三の力』だ」


優しげに、ライナは微笑んだ。


声に出さず、ケルベロスに礼を言う。



ありがとな、と。



目を見開き、カッとアポロンを睨む。


その眼には、先程の怖じや恐怖は、ない。





「いくぜ・・・アポロンッ!!!」





ライナを中心に、粉塵が巻き上がる。


彼が発する、膨大な量の魔力(ディーガ)の影響だ。



   デーリティ・サード

「鬼憑型・参!!!!」



白い光が、ライナを包む。


暖かな光が、ライナを覆う。


全てを、浄化せんばかりに――。



光の中から現れたのは、紛れもなく、『天使』。



背からは、二対の翼が生え、体は、純白の衣と、鎧に覆われている。


白銀に輝くその瞳が、白く瞬くその鎧が、銀に揺れるその髪が。


全てが、アポロンへの敵意を剥き出しにしていた。



「ケルディア・・・。お前はどこまでヒトに肩入れするのだ・・・」


このとき初めて、アポロンの表情が陰り、怒りが垣間見えた。


だが、それもすぐに引っ込み、あとには、例の如く、無が残されていた。



  ライジリーディ・ヴィマーリア

「雷神爆尖光」



ライナに向けられた、一本の指。

それが一瞬、凄まじい光を発した。


それに僅かに遅れて、耳を劈く爆音が飛び込んでくる。



バチバチバチバチ!!!



「・・・・・・逝け、絶望の世へ」



その瞬間、ライナは全てを理解した。


アポロンが雷撃を放つよりも速く、彼は動く。


  サーキュレイズ

「引動針!!」


ライナの腕から、2本の針が出現し、アポロンを中心に、左右の地へ突き刺さる。




同時に、地を蹴る。


  ヴェル・ソニック

「光瞬動!」



彼の足が淡い光を持ち、彼の姿を、消す。


アポロンへ向かって、一直線に、飛ぶ。



対するアポロンは、構わず雷撃を放つ。


光線のように、霆(いかずち)のように、“それ”はライナに迫る。



が、それも途中で潰えた。



突然、雷撃が二つに割れ、地に刺さった二つの針に向かっていったのだ。



要は、避雷針。


雷を引きつけるための、布石。



それにより生まれた、一瞬の隙。

その隙を、ライナは見逃さない。



    レギロ・グランヅァ

「雷爪ノ強撃!」




右腕にバチバチと雷光を宿し、アポロンの元へと、飛ぶ。


目にも止まらぬ速度で、アポロンの心臓部目がけて、腕を放つ。



ドッ。



ライナの腕が、手ごたえを感じた―――。



だが、それは・・・。




「どうした?痒いぞ?」


不敵に微笑む、アポロン。


その大男は、ライナの一撃を、腕を貫かせる形で、受け止めていた。


当然、その箇所からはドクドクと血が溢れ、地に染み込んでゆく。


紅い鮮血が、ライナの衣に伝い、白を赤へと変える。



「な・・・に・・・!?」



驚嘆するライナを余所に、アポロンは、自身の腕を貫いたライナの手を引き抜き、ライナを宙吊りにした。



「なっ、てめぇ、放せッ!!」


足を揺らし、必死の抵抗を示すライナだが、アポロンの腕力は強く、脱出は敵わない。




「つまらん・・・」




「あァ?つまんねぇ、だと?ぬかしてんじゃねぇぞ、三下ァァ!!!



アポロンを激しく罵倒し、ライナは足に力を込める。



  ヴェルストーム・レグリッド

「風嵐脚撃破!!!!」



薄い藍色の風が、ライナの右足を取り巻き、ゴウゴウと唸り声を上げる。


ライナはそれを、体を無理矢理捻る形で、アポロンのこめかみへとヒットさせた。



あまりに突然の出来事に、アポロンは面食らい、体勢を崩す。



当然、ライナは宙へ放り出され、自由となった。



「貴様・・・!!」


アポロンの顔に、激しい怒りが生まれた。

人間に対し、初めて抱く、激昂心。



それを、ライナは嘲笑した。




「情けねぇなァ!!アポロン!!自分で生み出した人間に、手を噛まれるなんてなぁ!!!」



「ほざけ・・・。たかが一撃、何の意味もない!!」





「だがテメーは、俺達人間を見下してた!見下してたはずの存在に、一撃喰らっちまったんだ!!こいつは苦痛だよなァ!!」



「ライナ・ウェルド・・・ッ!!」



燃えたぎる、怒り。


激しい怒りが、アポロンから湧き上がる。



「初めて・・・まともに名を呼んだな・・・」


初見で、アポロンはライナの名を呼んでいた。

だが、それは形だけのもので、中身は一切詰まっていなかった。


故に、今のアポロンの言葉が、ライナにとっては初めて、“名を呼ばれた”に値するのだ。



「そうだ!!俺が・・・ライナ・ウェルドだ!!!テメーが見下してた、“ゴミみてーな存在”だよ!!どうだよ、アポロン!!そのゴミに、一杯喰わされた気分ってのは!!!」



ニッと微笑を浮かべ、アポロンへ言葉を投げつける。




「そうか・・・よほど気分が良いようだな・・・」



先程までの怒りは、いつのまにかどこかへいってしまったようで、既に表情は無へと戻っていた。



腕の傷は、これまたいつのまにか、塞がっていた。




ライナは、冷や汗が滴るのを、肌で感じていた。


だが、それを拭うわけにはいかない。


アポロンの、一挙手一投足を見据えることに、全神経を注ぐ。





「“この程度”のレベルに一撃を浴びせたことが、そんなにも嬉しいのか・・・」


顔は無で、声は笑い。


不気味な声色で、ひっそりと、そう言う。




「ならば・・・」




アポロンは、そこで言葉を切った。





ライナは、その理由を、懸命に考える。


が、結論には至らない。







次の瞬間だった―――。



ライナの目の前に、アポロンが現れたのは―――。


つい先程まで、ある程度の距離をとっていたはずが、今、目の前にいる。



ライナは、目を丸くした。





「なっ・・・!?」





驚嘆の声を漏らすライナだが、アポロンは全く反応しない。








右腕をゆっくりと動かし、胸の高さまで振り上げる。




ライナが、それに反応しようとした、刹那の時・・・。



アポロンは、その反応速度を余裕で上回り、行動にでた。



人差し指を立て、ライナの胸の中心に、突き立てる。


無論それも、刹那の時の内。





フッと微笑を浮かべ、口を開いた・・・。






             エンド・オブ・ワールド

『―――終  焉―――』




黒き空間が、球となり、ライナを覆う。











ライナの世界が、暗転した。











第7章  第13話   完









アポロン・・・やべぇ・・・(;^_^A



これが、太陽神の力です・・・。





暗転、とは何なのか。


『終焉(エンド・オブ・ワールド)』とは、如何なる魔法なのか。


ライナは、どうなったのか。


色々気になるかと思いますが、そこは次回!!




では、次回予告です♪


~次回予告~


ライナを取り囲む、“絶望”。


それは、あまりにも強大で、巨大。


黒き闇が満ちた世界で、ライナは、何を見るのか・・・。



そして、遂にガイアが、アポロンと相見える・・・。


物語は、終幕へと加速する・・・!!




第7章第14話

-終焉-





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