夏休み~♪
しかし、思ったより部活が多かったり、講習があったりで、暇な時間が少ないです。
とりあえず、夏休み前半で宿題を全て終わらせ、8月12日からの休みを存分に使いたいと思います。
まずは、新しい服を買って、んでもってガトーキングダムに泳ぎに行きたいですww
さぁっ!
早速本題に入りますよぉ!!!
前回、ようやっと決着した対ディーガ戦!
ディーガを倒したバレットに、ライナが放った言葉とは―――!?
そして、新たなる戦いの幕が開く。
幻想物語
第6章 第12話
Laughter-最後の、笑み-
ドサッ。
ディーガが倒れた直後、バレットも同じようにして仰向けに倒れた。
既に体は限界を超え、全身が悲鳴を上げている。
「ば、バレット――!!」
2時間もの間ライナ達を束縛し続けた重い殺気がフッと解かれ、ライナ達はやっと自由になった。
同時に、ライナ達はバレットの下へと急いで駆け寄る。
バレットの容態は、ライナ達の想像を超えて、ひどいものだった。
パッと見ただけで、骨折が3カ所。
全身は擦り傷にまみれ、血が滲んでいる。
「へっ・・・・ライナ・・・・。見たかよ・・?俺、勝ったぜ・・・・!」
呼吸も整わないうちから、右の拳を天へと掲げ、ニッと笑みを浮かべた。
だがライナは、バレットの勝利を賞賛することはせず、その場で叱咤した。
「バカ野郎ッ!!無茶ばっかしやがって!!体ボロッボロじゃねぇか!」
「ちょっ、ライナ君――!?落ち着いてよ。バレット君頑張って――」
「違う!バレットと俺たちは違うんだ!!」
アスカのセリフを遮って、ライナは意味深なセリフを口にする。
「えっ・・・・・?それってどういう・・・・・」
アスカのセリフを聞き、ライナの表情は更に曇った。
「バレット・・・・・まさかお前、アスカ達に何も言ってないのか・・・・・・!?」
バレットをギロリと睨み、半ば脅しのようにセリフを投げつける。
「うっ・・・・・・」
しまった。そういう顔を、バレットはしていた。
悪戯がバレた子供のように、ライナと目を合わせようとしない。
「ら、ライナ君・・・・?『何も言ってない』ってどういうこと?何か内緒にしてることでもあるの?」
ライナの顔を覗き込み、アスカが不思議そうな顔をする。
どうやら冗談などではなく、本当に分からないようだ。
「あ、あぁ・・・・・」
言いづらそうな表情で、ライナは声を絞り出す。
「先天性魔動器不完全症。それが、バレットが先天的に罹患している病気の名前だ」
「先天性・・・・・何?」
ライナの言葉を復唱しようとして、諦めた。
「先天性、魔動器不完全症だよ」
「それって・・・・どういう病気?命に関わったり・・・・・」
「しねぇよ」
アスカのセリフの末端を、バレットが引き継いだ。
アスカの質問とは別に、バレットが自分からその病気について語り出した。
「先天性魔動器不完全症ってのは、魔力発生器官と出力器官の両方が異常をきたす病気なんだ。普通、発生器官で発生させる魔力は、俺達が自分の意志で制限できるし、その魔力は更に出力器官でも制限をかけることができる。ようは、蛇口の栓みたいな役割をしてんだ。ただ、俺は生まれつき、その『栓』の部分がないんだ。簡単に言うと、魔動器が不完全なんだよ。だから、魔力量の調節はできねぇし、細かいコントロールもできねぇ。放つ魔法がぜーんぶフルスロットルになっちまうもんだから、すぐに全身の魔力は枯渇しちまうし、体がついていかないほどの膨大な量の魔力は、俺の体を傷つける。まっ、命に関わるってわけでもねぇし、一生付き合っていかなきゃならん病気だよ」
ニシシと白い歯を見せて笑うバレットの表情に、先ほどまでの陰りは見られない。
「じゃ、じゃあ・・・・・・・・」
驚きの表情を露わにし、両手で口を塞ぐ。
「俺の場合、どんな初歩的な魔法でも、100%フルスロットルで発動しちまうんだよ」
「そ、そんな・・・・・・。じゃあ、バレット君はずっとそんな状態で戦ってたの・・・・・!?」
驚いている、というよりは、怒っている、に近い表情を、アスカはしていた。
真実を知ったことによる驚きよりも、隠し事、それも重大な隠し事をされたことに対する怒りの方が圧倒的に強いのだ。無理もない。
「悪ぃな、黙ってて」
そう言うバレットは、面目なさそうな顔で、小さな声を絞り出すようにぼそりと謝った。
「・・・・・ゲホッ・・・・・ガハッ・・・・・!!!」
安穏とした空気を破るかのように、ディーガの咽返る声が響き渡る。
げほげほと咳き込むディーガの体からは、夥しい量の血が溢れている。
しかしそれでもなお絶命しないのは、ディーガの強い精神力があってこそ成せる芸当だ。
「嘘・・・・・だろ・・・・・。まだ・・・・生きてるってのか・・・・・!?」
自身の手に確かな手ごたえを感じたバレットとしては、驚くしかない。
痛む体を無理に起こし、足を引き摺りながらディーガの下へと歩みを進める。
「チッ・・・・・。俺の・・・・・負け・・・・・かよ・・・・・」
悔しげな表情で天を仰ぐディーガには、何かが吹っ切れたような清々しさを感じる。
「あぁ、俺の、勝ちだ」
「ケルベロス、お前、良い・・・・・仲間を・・・・持ったな・・・・・」
ディーガがそう言った直後、ライナの背後が歪み、ケルベロスが姿を現した。
「テメェがそれを言うのか?」
そう言うケルベロスは、ニヤリと不気味な笑みを浮かべていた。
「ハッ・・・・・・爽快・・・・・・だな・・・・・」
その言葉に、バレットは耳を疑った。
「爽快?残念、じゃなくてか?」
「あぁ、爽快だ・・・・・・。最後の・・・・・最後に、心の・・・・底から・・・・・戦いを楽しむ・・・・ことが・・・・できた・・・・・・。それだけで・・・・・十分満足さ」
悔しげだった表情は、いつの間にか温かな笑みへと変わっていた。
「俺も、久し振りにゾクゾクしたぜ。楽しかった」
素直な本音を告げると、バレットはフッと頬の筋肉を緩める。
「俺を・・・・・倒したんだ・・・・・。最後に、良いことを教えて・・・・・・やる」
途切れ途切れの声で、懸命に口を動かすディーガ。
そんなディーガの発する言葉を一語も逃さず拾うバレット。
そこには、敵と味方を越えた、ある種の絆が生まれていたに違いない。
「マリアは、性格が・・・・悪ぃから、気ぃつけろ・・・・・・」
「えっ?『良いこと』って、それだけか・・・・・?」
あまりに拙く短い言葉に、バレットは驚きを隠せない。
「あぁ、そうだ・・・・・・」
先ほどより更に語尾が弱くなる。
最期が近づきつつあるのだ。
「二度と、あんなに・・・・・・楽しい思いはできねぇと・・・・・思ってた・・・・・。だが、人間にもこんなに面白ぇ・・・・・奴が・・・・いる・・・・・・なんてな・・・・・」
「ま、待てよディーガ!!お前には、まだ聞かなきゃいけないことが山ほどあンだ!」
あまりにも早いディーガの死に、バレットは慌てふためく。
ディーガの傍へと駆け寄り、肩を軽くゆする。
「あり・・・・・がとよ・・・・・・人間・・・・・・!お前との・・・・・・・一戦・・・・・心に・・・・・染みたぜ・・・・・・・・!!」
「待てよ!ふざけんな!意味分かんねぇことばっか言って、それで死ぬとか、ふざけんな!!」
バレットが幾ら声を荒げても、遠ざかっていくディーガの命を繋ぎ止めることはできない。
「あば・・・・・よ・・・・・人・・・・・間・・・・・・・・・・・・!!」
この上なく幸せな笑みを浮かべたディーガは、そう言い残し、錆とも、灰とも分からぬ姿となって、消えた。
ディーガの命の灯火が、消えた瞬間であった。
「バカ・・・・・・やろお・・・・・!!!人間、じゃなくて、バレット・フィルダだ・・・・・!!」
一筋の水が、バレットの頬を伝って、流れ落ちた。
-同時刻 地球衛星軌道上-
「ウィッズに次いで、ディーガまでもが破れたか・・・・・」
玉座に腰かけるアポロンは、悲しみを表に出した声で呟いた。
誰に言ったわけでもなく、ただただ哀愁に浸るために発した言葉だったのだが、マリアは違った捉え方をしていた。
「も、申し訳ありませんっ!」
「何故、お前が頭を下げるのだ、マリア」
悲しげな声で訊ねるアポロンに、マリアは跪いて答えた。
「わ、私が彼らの代わりに地球へと赴いていれば、アポロン様を落胆させる結果にはなりませんでした!全て、私の責任です!!申し訳・・・・・ありません!!」
「ならば・・・・お前は私の期待に添う結果を・・・・・?」
「はっ、必ずや!!」
炎が滾る眼を輝かせ、マリアは王宮を後にした。
ツカツカと音を立て、王宮の廊下を歩む。
「ケルベロス・・・・・・。アナタは一体、何がしたいの・・・・・・?」
拳を固く震わせ、口を歪めた。
第6章 完
第6章にやっと終止符!!!!
次回からは、第7章が幕を開けます!!
マリア、タナトス、アポロン!
3連戦をノンストップでお送りします!!
第1部最終決戦に向けて最終加速!!
是非、楽しんでくださいヾ(@°▽°@)ノ
【第7章第1話】から、早速、対マリア戦がスタートです♪
でわでわ、次回予告☆★
遂に姿を見せた、第2神官マリア!!
圧倒的な存在感と、威圧感で佇む姿は、正しく生源神!
マリアがその力の片鱗を見せしその時、ライナ達は驚愕の姿を目にする・・・・・・
ライナ達の相手となるのは――――
自分自身!!
果たして、ライナ達に勝ち目はあるのか・・・・・・・!?
「人の人生は、次の瞬間何が起こるのか分からない。分からないからこそ恐ろしく、分からないからこそ怯え、されど、分からないからこそ、面白い」