スミマセン!!!
学校の課題とかの関係で予想外に忙しく、予告通りの更新ができませんでした!!
ですんで、今日の更新以降も、停滞しがちになるかと思いますので、温かい目で見守って下さいw
遂に決着した対ウィッズ戦!虫の息のウィッズに止めを刺そうとするバレットに放った、ライナの驚きの言葉とは!!?
仲間の敗北に、アポロンが下した決断とは一体・・・・!!?
幻想物語
第6章 第5話
Companion killing
バックリと裂けた傷からドクドクと血が溢れ、砂地が紅に染まっていく。
体の四肢から血が溢れ、地に片膝をつき肩を激しく上下させている。
ウィッズとライナ、紙一重とも云うべき決着だった。
勝者は、ライナ。
いや、ライナ達。
その後方で、脇腹を押さえるバレットと、負傷からか、片足体重になるアスカ、左肩を押さえるイディン。
皆が苦しげな表情をしている。
が、そんな表情の中にもどこか柔らかな笑みが見て取れる。
第4神官の撃破は、ライナ達の心に一筋の光を、希望を齎した。
そして、来る第3神官との決戦が頭をよぎる。
この戦いの終わりは、新たな戦いの始まりを告げる。
そしてその新たな戦いは、対ウィッズ戦よりも激戦となるであろう。
それは、対ディーガ戦。
上から数えれば3番目の実力、ということになる。
つまり、その上にまだ2人、強き存在が君臨していることになる。
そしてその更に上に、太陽神アポロンが君臨している。
一体どれだけの血を流せば、ライナ達に真の勝利は訪れるのだろうか。
「おいライナ・・・・。そいつ、まだ死んでねェだろ・・・・?」
「あ、あぁ。」
「さっさと止め、刺しとくぞ。」
冷酷な口調でライナの横を通り過ぎ、右拳に炎を宿す。
当然と云えば当然の行動に、ライナはこともあろうに異論の声を上げた。
「ま、待てよバレット。」
「あぁ?何だよ?」
自分の行動に茶々を入れられたことに苛ついたのか、口調が乱雑になっている。
「とりあえず、ちょっと待て。」
ライナの目に本気を感じ、バレットはチッと舌打ちをし、右手に宿した炎をフッと消した。
「どう・・・いう・・・・つもりだ・・・・・?」
砂漠に吹く風に掻き消されてしまうほど小さな声が、砂漠の空間に響き渡る。
その声の主は、紛れもなくウィッズだ。
瀕死の重傷にも拘らず、その身体を起こし、立ち上がった。
「おいやめろ。お前、自分の体が今どういう状態か分からないわけじゃないだろ?」
体が動く度にその巨大な傷から血が噴き出し、衣服や砂を真っ赤に染める。
「何故止めを・・・・刺さない・・・・・?」
ギロリと鋭い眼光でライナを睨んではいるが、息が荒い。
意識を保つだけでも辛いのが、見ているだけで分かる。
「殺せッ!負けた私に意味などない!!さっさと殺せッ!!」
胸を晒し、自らの死を懇願してるウィッズに、ライナはフッと笑った。
「アンタには伝書鳩になってもらわなきゃならない。だからアンタに止めは刺さない。」
「ふ、ふざけるなッ!!負けた者を生かして帰すなど、これほど屈辱的なことなどない!!戦いに出た戦士は、勝って帰るか戦死するかのどちらかだ!!負けた者に、生きる意味などない!」
「その通りだぜ、ライナ。戦士への情けは、ただの冒涜だ。」
初めてウィッズに賛同したバレットが、ウィッズのセリフに補足する。
「情け?これは情けじゃねぇよ。ただの『お願い』だ。アポロンに伝えろ、俺たちは、どんな逆境だろうと乗り越えてみせる。だけど、奇跡なんてものに期待はしない。奇跡は起きるもんじゃない。奇跡は、起こすもんだ。そう、アポロンに伝えろ。」
ライナのセリフを聞き、ギリギリと歯軋りをして拳を固めるウィッズが、ずりずりと後退しながらケラケラと笑いだした。
「私を生かしたこと・・・・・後悔・・・するぞ・・・!!!!!お前を殺すのは、この・・私だ・・!!ディーガにはやらん!」
ダンと勢いよく地面を蹴ったウィッズの姿は、あっという間に遥か上空へと消えていった。
「ライナ、アイツの言ったこと、現実になったらどうする気だよ?」
ライナの行動に苛立ちを隠せないバレットがライナに尋ねた。
「問題ないさ。次来たって、俺たちは勝つ、だろ?」
「ハッ、そうかもな。」
根性論は聞き飽きた、そんな表情でバレットはニヤリと笑い、ただただ勝利の余韻を噛み締めていた。
-同時刻 地下シェルター入口-
肩を激しく上下させる流星は、目の前で起きている現実にただただ驚いていた。
今まで自分達に殺意を剥き出しで襲いかかってきた敵が、突然尻尾を巻いて逃げだしたのだ。
「ヴォルスさん・・・・・一体・・・・何が・・・?」
息を荒げながら途切れ途切れのセリフで流星はヴォルスに尋ねた。
「砂漠の方にあった巨大な魔力(ディーガ)反応が消えた・・・・。ライナ君達部隊長がやってくれたようだ。」
ヴォルスはそう言うと、片手に握られた計器を見て微笑を浮かべている。
「やりましたわね、ライナ第1部隊長。」
「ったく、いいとこ全部持って行きやがって。」
シェリル第5部隊長とサンダサ第6部隊長両名も、流星と同じように笑みを浮かべている。
ライナ達の勝利の知らせに歓喜するシェルター内の様子を見ていた流星の耳に、無線の音声が入る。
[あぁ~、聞こえてるか~。こちらライナ。応答せよー]
「ライナさん?やりましたね!」
[あぁ、そっちもな。]
「当たり前じゃないですか。それに、『70億人の命、任せたぞ』って言ったのはライナさんだし。」
[あぁ?そうだったか?ま、いいや。とりあえずそっちに戻る。]
「じゃあ、お祝いの準備して待ってます。」
普段なら、『お祝い』という言葉に真っ先に喰いつくはずのバレットが今回は何も言わない。
代わりに、溜め息交じりの皮肉を言う。
[お祝いだぁ?流星ぃ、戦いはまだ残ってんだよ。『お祝い』なんて甘っちょろい言葉を使うのは、アポロンをブッ倒してからにしろってんだ。]
「は、はい・・・。分かりました。」
半ば説得されるような口調でバレットに言われ、語尾が小さくなる。
第一大戦 対ウィッズ 勝利
-数時間後 地球衛星軌道上衛星-
足を引きずり、息を荒げ、ウィッズはやっとの思いで王の間に辿り着いていた。
傷の回復は進めているが、何分傷が大きすぎる。
『回復魔法をかけて、はい治りました』というようなレベルの傷ではない。
そして、ウィッズの帰りを待ちわびていたかのように、アポロンは玉座に腰かけていた。
「戻ったか、ウィッズ。」
頭を殴られるような衝撃がウィッズに走り、抗う間もなく地に片膝を着かされた。
「あ・・・アポロン・・・様・・・。申し訳・・・・ありま――」
「もうよい、ウィッズ。分かっている。」
ウィッズを圧迫していた巨大な衝撃が、フッと消えた。
恐る恐るウィッズが顔を上げると、ニッと笑うアポロンの顔があった。
「し、しかしながらアポロン様!私は・・・・。」
負けたのです、ウィッズが言おうとしたそのセリフをアポロンの声が遮った。
「分かっている。ウィッズ、お前はよくやってくれたな。」
その優しき言葉に、ウィッズは思わず涙を流しそうになった。
「では、傷が癒え次第、再び地球へ――」
「いや、次はディーガに行かせる。」
「し、しかしアポロン様、私はまだ戦えます!今一度、私にチャンスをお与えください!!」
「もうよいのだ、ウィッズ。お前は、しばし休め。」
アポロンの優しき笑みに、ほんの一瞬だが曇りが現れた。
しかし、それは本当に一瞬の出来事。
ウィッズに気付く余地などない。
「私に、休めと?私は戦いたい!!アポロン様のためならば、この命、惜しくなどありません!」
「そのセリフに、嘘偽りはないな?」
アポロンの意味深なセリフの意図が分からないウィッズは、素直に答えるしかない。
「もちろんでございます!!」
「ならば、休め。」
これまた意味深なセリフに、ウィッズは首を傾げる。
「?そ、それはどういう意味でございますか?」
「休んでいろ、ウィッズ。」
満面の笑みで、しかしどこかに闇を宿したそのセリフの後、アポロンは冷酷に告げた。
「永遠に、な。」
ウィッズが異論の声を唱えようとした直後、ウィッズの首と、体が何の音も立てずに分離した。
ゴトッ。
ウィッズの首が地面に落ち、同時にウィッズの体が倒れ込んだ。
アポロンは、二度と動くことのないウィッズの体を見下すと、スッと立ち上がり、ツカツカと歩み出した。
「よくやったな、ディーガ。」
「はい、アポロン様の、その御心のままに。」
跪いたディーガがニヤリと笑みを浮かべ、その場を去るアポロンを見届けた。
「随分とえげつないことをやるのね、ディーガ。」
「マリアか。アポロン様の命に従ったまでだ。」
「じゃあアポロン様が『死ね』と仰ったら、アナタは死ぬ?」
皮肉を言うマリアのセリフに、ディーガはフッと微笑を浮かべ、立ち去った。
「当たり前だ。」
と言い残して。
第6章 第5話 完
久しぶりだったなー!!
描写力が著しく低下しているのが分かります・・・・orz
とりあえず、次回の更新は、【特別編】を書きたいと思います
では、あでゅー( ̄▽+ ̄*)