【幻想物語 第2章 第4話】 | 毎日きびきび

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遂に大学生。
気を引き締めていきたいですね。

これまで出会えた全ての人に感謝を。
これから出会っていくであろう全ての人に感謝を。

どーもでっす!!


連続更新ですよぉヾ(@°▽°@)ノ



前回は2人目の鬼人が出てきたとこで終わりましたね


ライナとは全く違うタイプのアスカ、果たしてこの後どうなってしまうのか!?


ではでは、スタートアップアップ




幻想物語


第2章 第4話




鬼人。研究者たちが生み出し、使用する言葉。

そこにどんな意味が込められているのかなど、知る由(よし)もない。

鬼のような人。鬼畜のような人。人ではない存在。

様々な意味があるのだろうが、どれも良い意味で使われることなどありはしない。

研究者たちが面白半分でつけ、孤立させる。

そう呼ばれる者がどんな気持ちでいるかなど考えはしない。

ただ、自分たちの自己満足のためにその言葉を使うのだ。


そしてここにも、そう呼ばれ、苦しむ者がいる。

周りからは化け物呼ばわりされ、罪もないのに石をぶつけられる。

少し周りと違うだけで差別される。

同じ人間だとさえ思わない。

人間とはそういう生き物なのだ。

常に自分たちより下にいる者がいなければ満足できない、愚かな種族なのだ。


アスカやライナ、心に傷を負った者の気持ちを汲み取ることなど、絶対にない。

その者たちをいじめることで、自分たちが安心している。

逆を言えば、自分たちが満足するためだけに、いじめをする。

ストレス発散、なんとなく、面白半分。

いじめる理由など、どれもまともな理由ではない。


いじめられる人間よりもいじめる人間のほうがずっと・・・・鬼人に近いのかもしれない。





ライナは立ち尽くすしかなかった。

聞いてしまった真実。

知ってはいけなかった真実。

開けてはいけなかったパンドラの匣。

触れてはいけなかった、心の傷。


それに触れてしまった・・・・・

そのことが、ライナを深く、暗い闇へと突き落とす。


目の前で泣き崩れ、暴言を浴びせられる少女に、なにもしてやれない自分が腹立たしくてならなかった。


目の前にいる少女が、自分と同じ鬼人なのだ。

仲間がいた。その気持ちよりも、ここにも苦しむ人がいる、という気持ちの方がはるかに勝って(まさって)いた。


声をかけなければいけない。

しかし、言葉が見つからない。

俺も鬼人なんだ!そう言っても、アスカを救うことにはならない。

元気出せ!それも、アスカをより傷つけることに繋がってしまう。

もっと根本的に、アスカを救う方法、それを見つけなければならなかった。


アスカを傷つけずに、救う方法。

自分よりも深い心の傷を持つ者を救いだす方法。

何をすればいいか、何度も自問した。

自分に問いかけ、答えを探る。

しかし、返ってくる言葉など・・・・ありはしないのだ。


大きな隠し事、ケルベロスが言ったこととは、このことだったのだ。


次の瞬間、立ち尽くし、呆然としているライナの目の前で、信じがたい現象が起こった。

アスカが立ち上がり、大声で怒鳴り始めた。

しかし、ライナだけはわかっていた。

あれはアスカ本人ではない、と。


アンタ達!!いつまでもふざけたことしてっと、アタシが黙っちゃいないよ!!

アスカの中にいる魔神が、ク―エリアなのか、グランなのかパルドなのかはわからない。

だが、今喋っているのはアスカでない。


その証拠に、左腕が変化を始めていた。

ライナの変化とは違い、表面が水気を帯びている。


手全体が水に覆われ、ヒレのように変化している。


このままだと、自分と同じ過ちを犯してしまう。

誰かを傷つけてしまう前に、アスカを元に戻さなければならなかった。


「アスカ!聞こえてんだろ!魔神なんかに飲み込まれてんじゃねぇよ!言いたいことがあるなら、自分の口で言いやがれ!運命に抗ってみせろよ!」

今はただ、アスカを元に戻さなければならない。


アンタのせいで、この子は余計心を閉ざしてんだよ!黙りな!!


魔神は、ライナに向かって怒声をあげた。


「嫌だ!!」ライナは反論した。


「俺のせいで心を閉ざしたなら謝る!ただ、その体はアスカのモノだ!返せ!」


アンタに何がわかるの!!自分の父親にアタシを容れられ、化け物呼ばわりされるこの子の気持ち、アンタにわかんのかい!?アタシは確かに人間を滅ぼすためにこの地球にやってきた。けどね、この子の中から色んなものを見てるうちに、情が移っちゃってね。今、アタシはこの子を護る!


「わかるさ!!!!」これまでにないほどの大声で怒鳴った。


「俺も・・・・・鬼人だから!!!!」


えっ・・・・・」魔神は、言葉を失った。

同時に、変化していた腕や体は元に戻り、ガクンと膝を落とした。


肩を上下させ、息を荒げているのは、間違いなくアスカ本人だった。


アスカを背負い、急いで家の中に駆け込んだ。


ベッドに座ったアスカは呼吸が整わないうちに、顔をあげ、ライナに尋ねてきた。


「ライナ君も・・・・・・鬼人・・・・・なの?」


「あぁ」短く、そう答えた。


「そっか・・・・・。ク―エリアが言ってた、『アンタは独りじゃない』っていう言葉の意味、やっとわかった気がする・・・・」


ク―エリア・・・・・それがアスカの中にいる、魔神なんだな・・・・・」


「うん・・・・・・・。ほら」


そう言って、服の肩を外し始めた。


目の前で起こっていることに驚き、全力でアスカから視線を逸らした。


「ライナ君・・・・・見て・・・・・」

ゆっくりと振り返ると、アスカの左胸部に刻まれた、大きな文様が目に止まった。

だがそれも、すぅっと消え、元の、肌色に戻っていった。


「俺も・・・・・ほら」

そう言って、袖を捲りあげ、力をいれた。

肌色の右腕に黒い、大きな文様が浮かび上がった。


文様が消えると、袖を元の位置に戻した。

アスカも、崩した衣服を戻していた。


「ライナ君はさ・・・・・自分が鬼人だって知ったのはいつ?」


「俺か?俺は・・・・・2週間前だ」そう言って、ニッと笑ってみせた。


「2週間前?えらく最近だね・・・・・・。アタシは・・・・・7歳の時だった。」


「7歳?アスカって確か・・・・」


「うん、ライナ君と同じ15歳。だから、8年前」


「8年も前から・・・・・。知った時はどうだった?どんな気持ちになった?」


「別に何もなかったよ。ク―エリアはアタシの体を乗っ取ったりしないし、むしろアタシの声に耳を傾けてくれるもん。ね?ク―エリア」


そう言った直後、アスカの背景が歪んだ。

少しずつ歪みが強くなり、半透明の幻影が現れた。

その姿を、ライナは幾度となく見たことがある。


イルカ。その姿に酷似していた。

だが、細部は異なっている。

イルカを模した、というところだろう。


初めまして。さっきは怒鳴ったりしてゴメンなさいね。アタシがク―エリアよ

イルカによく似たそれは、ライナ達と同じ言葉で話しかけてきた。


「なっ!?なん・・・・・だと」


「あれ?ライナ君の魔神はこーゆーこと、できないの?」


「できないっていうか、ケルベロスの姿を見たこともないし・・・・・・」


「ケルベロス?」ク―エリアが尋ねてきた。


あぁ、と短く返し、右腕を触った。

「ここに、封印されてるらしいんだよな・・・・」


すると、ライナの背景が歪み、すぅっと半透明の幻影が浮かび上がってきた。

らしい、はねぇだろうが

突如背後から声がしたので驚き、振り向くと、そこには人間によく似た、しかし細部が異なるものがいた。

背中からは灰色に近い色の羽が生え、鋭く尖った耳があり、体は羽織を羽織っている。


ケル・・・・・べロスか


「初めまして、になんのか」

ライナが口を開こうとすると、それよりも先にク―エリアが話を始めた。


久し振り、ね。まさかアンタだとは・・・・・。グランとかのほうが1000倍よかったわよ。


黙れババア。俺だって好きでコイツに封印されてる訳じゃねぇんだよ。


でも、乗っ取ったりしてないじゃない。本気で嫌なら容赦なく宿主を殺してるけどね。


皮肉を言ったらしく、ケルベロスはぐむぅと黙り込んでしまった。


というわけよ、ライナとかいう坊や。アタシ達は人間を根絶やしにするためにやってきたけど、今はアンタ達の味方。アタシらはアンタ達を護る。安心しなさい。


「でも・・・・。俺はこの前、コイツに体を乗っ取られたし・・・・」


それって・・・・ピンチだったりした?」その問いかけに対し、ライナは首を縦に振った。


ケルベロスはね、言葉づかいは乱暴だけど、アタシ達5人の中じゃ誰よりも優しい心を持ってるの。でも、あからさまにそんなことをするのは恥ずかしい。だから体を乗っ取ったようにみせたのよ。


5人という部分はひっかったが、深く追求しても意味はないと思ったので、忘れることにした。


ね?と言ってケルベロスのほうを向くと、ケルベロスは目線を逸らし、消えてしまった。


ク―エリアの言ったとおり、根はやさしい奴なのかもしれない。そう思い、クスッと笑みが零れた。



ハードな1日だったため疲れたのか、いつの間にか、2人とも寝てしまっていた。



そんな中、不穏な影が徐々に2人に迫っていた。



第2章 第4話  完



つ、疲れた・・・・・・

なんか短かった気がするが、気のせいっすねヾ(@°▽°@)ノ


あれ?5人?って思った貴方!!細かいところに目がつきますね。この後の展開でわかるので期待していてください


別に何とも思わなかった貴方!!洞察力がありませんww 常に目を光らせましょう


ではでは、勉強したいのでここら辺で失礼しマッスル( ̄▽+ ̄*)




ではо(ж>▽<)y ☆


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