こんばんは!!
久しぶりの小説更新ですーーーヾ(@°▽°@)ノ
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では、スタート
幻想物語
第1章 第6話
黒く変色し、もはや人間のそれとはかけ離れた姿形をし、場の空気を淀ませ、禍々しい魔力(ディーガ)を放つ右腕。
肩の部分までは人の姿をしていたそれは、もはや原型など分からないほど変化し、表皮に浮き出た血管は不気味に脈打っていた。
人、というよりは遥かに魔獣に近づいた右腕は場の空気を掌握し、見る者の息を詰まらせた。
淀み、くすんだ空気の中、キースが重たい口を開いた。
「なん・・・・だ・・・そりゃ・・・?」
驚き、恐れの表情がはっきりと浮かんだキースの顔を見るやいなや、ライナは高らかに笑いだした。
「なんだ、だと?笑わせんじゃねぇぞハゲが!!その顔(ツラ)には恐れしか見えねぇぞ!!」
「お前は、ライナ・ウェルド、なのか?」額に浮かんだ脂汗を拭いながら、キースが恐る恐る尋ねた。
「しいていうなら、不正解だ」
「俺はライナ・ウェルドじゃない。確かにこの身体の『持ち主』はライナ・ウェルドだが、現時点での『支配者』はライナ・ウェルドじゃねぇ。」
「持ち主?支配者?コイツ、何言ってんだ?」アトラスという名の男は横から会話に乱入し、首をかしげていた。
「お前らの次元で話をしたって無駄だ。お前らには一生かかっても理解なんざできねぇさ。俺はただコイツの体を『支配』しているだけだ。お前らを喰い殺すためにな。」
「はっ・・・・・大したもんだな・・・・・さっきまで死の一歩手前まで踏み込んでた奴のセリフとは思えねぇな・・・・」キースは苦笑いし、言った。
その言葉を言い終わった瞬間、ずっと視界に捉えていたはずの『ライナ』が突然消えた。
次に彼の視界内に『ライナ』が入ったとき、変化した右腕が下腹部を貫き、大量の血が流れていた。
その突き刺さった右腕は彼の体内から幾つもの臓器を引きずり出した。
何が起こったのか判断がつくまでに、キースは教室内に倒れこんでいた。
「な・・・・なに・・・を・・・・した・・・・・」消え入りそうな声を出し、顔を上げる。
彼の前に立っていたのは、引きずり出した臓器を踏みつけ、頬に飛んだ返り血を舌で舐める、醜い獣の姿だった。
僅かに開いていたキースの眼は何が起こったのか理解できないままゆっくりと閉じた。
その直後、教室内から一斉に悲鳴が上がった。
女子に限らず、男子もパニックを起こしていた。
中には、担任のそばに寄り添っていたがために、返り血をモロに浴び、引きずり出された臓器を直視してしまった者もいた。
悲鳴は怒声に変わり、精神錯乱を起こす者も出始めた。
破壊の影響で開かなくなった後ろのドアを必死に魔法を使って破ろうとしている生徒の姿もあった。
そんな動乱の中、『ライナ』だけはキースの死体を見下ろし、次に残ったイルダに獣の視線を向けた。
「き、き、キースゥゥゥ!!!!!いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」マーサはアトラスとアルベルトに両手を塞がれながら、キースの下へ歩み寄ろうと地面を蹴った。
しかしその蹴りに力はこもっておらず、地面をかすっただけだった。
「随分とレベルの低いリーダーだったな。次はお前達の番だ、ゴミ蟲ども。」
「コイツの『体内(なか)』から見てたんだが、レベルの低い死聖宝剣(リリール・オブ・タナトス)だったな。本当の『剣』ってのを見せてやるよ。」
そう言い終わるとゆっくりと息を吸い、どす黒い魔力(ディーガ)を右腕に集中させ始めた。
だがその魔力(ディーガ)は、禍々しいながらも、どこか『光』を感じさせるものだった。
「汝、消滅する者。我、創造する者。生を司る神、マリアよ。汝の宝剣ティブラにて、眼前の者を消滅させよ。我に勝利よ、汝に死を、この世に希望と平穏を!!!」
ティブラ・オブ・・・・・・
「粛清宝・・・・」
魔法名を唱え終わる直前に、右腕が突如として爆ぜた。
「くそがっ!!ライナぁ・・・・邪魔すんじゃねぇよぉぉぉ!!!」
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ライナが次に目を覚ました時、そこは見たことのない場所だった。
痛む体に鞭打ち、無理矢理体を起こした。
辺りを見渡すと、どこもかしこもパソコンだらけで、そのパソコンも意味不明な文字を液晶に表示しながらカタカタと動いていた。
窓が一つもない―― それはライナが一番先に思ったことだった。
「地下・・・・・か・・・・・」思わず声を出していた。
「やっと目を覚ましたか」その声はライナの背後から聞こえてきた。
あまりにも唐突だったため、飛び上がって驚いた。
後ろを振り返ると、そこには父が立っていた。
「父・・・・さん・・・?父さん・・・・なのか?」おかしな質問だということは分かっていたが、尋ねずにはいられなかった。
「あぁ、そうだ。」父は笑って答えた。
「俺・・・なんでこんな所(とこ)にいるんだ・・・・・?」
その問いかけに対し、父はあまりにもあっさりした答えを出した。
「あぁ、ここか?ここは我が家だぞ?」
「えっ、ここ俺ン家(ち)!?家にこんな地下室あったのかよ!?」その大声に対しても、父はあっさりと答えた。
「あぁ、あったさ。随分前から、な。」
改めて室内を見渡す。自分が入ったことのない、秘密の地下室。
遥か後方に地上へと続く梯子が小さく見えた。
頭をぽりぽりと掻きながら、ライナがぼやいた。
「・・・・にしても、嫌な夢見たなぁ・・・・・」
「夢?」
「うん、そう。イルダが学校にきてさ、みーんなぶっ壊していっちまうんだよ。あぁ、嫌な夢だった。」
「ライナ、夢じゃないぞ、それ。」
父のセリフに思わず動揺した。
「は?夢に決まってんじゃん!!」
「自分の着てる服を見てもそんなことが言えるか?」
父に言われ、自分の衣服を確認した。
全身に赤い汚れがあり、右腕にあたる部分は肩の部分からなくなり、肌が露出していた。
夢じゃない―― そう断言するのにそう時間はかからなかった。
『この赤い汚れは血で、右腕の部分がないのは・・・・思い出せない・・・・』
「全て、話そう・・・」父が俯きながら言った。
「馬鹿にしないで聞いてくれ。」
その父の眼差しを見る限り、これから冗談を言う人間の眼には見えなかった。
父は一冊の古ぼけた資料を取り出し、話し始めた。
「話は100年前に遡るぞ。
地球外から突如謎の生命体が4体飛来した。その4体は同時ではなかったが短い期間に断続的に現れた。この資料は、そのとき描かれたものだ。4体の化け物は地球上で残虐の限りを尽くした。その被害は甚大で、地球人口の5分の1が犠牲になった。人々はそれらを、『魔獣を超えた存在』ということで『魔神』と命名した。人々は人種や地位を越えて協力し、これら4体の化け物を辛くも4枚の石板に封印することに成功したんだ。しかしその石板が壊されれば、再び化け物が出てきてしまう。それを恐れた者が、石板を人の目の届かぬところに封印したんだ。
そして、それから85年後、つまり今から15年前、ある砂漠地帯の爆破実験の最中、地盤の隆起で地上に顔を出した石板が砕かれた。100年前に飛来した『魔神』の中ではNo.2の実力を持った、『ケルベロス』と呼ばれていた奴が目覚めてしまった。なんとか世界政府直属の軍事機関が捕獲に成功し、マスコミへの情報流出は避けることができたが、魔法を使って一時的に力を抑えているだけで、時間が経てば暴れだす。そんな焦りの中、立ち上がった魔法学者がいた。お前の祖父、つまり俺の父、シャルル・ウェルドだ。親父は当時最も危険とされていた、人体封印魔法を提案した。
人体封印魔法とは、魔獣や生き物などを人間の体内に圧縮封印し、人間の持っていた身体能力と融合させ、超人的な力を引き出すのを目的に研究が進められていた魔法だ。しかし、術者に対する絶大的なダメージや、媒体となる者の精神力、それらを総合すると、成功率は0,000001%以下だった。
術者への問題はクリアーできても、問題は媒体にあった。人体と他の生物の間接的な融合には、長期間に渡って、その人間の体と融合させる生物との周波数を合わせなければならない。しかも、術者と媒体は近しい関係であったほうが、封印時のダメージが減ることが、研究の末明らかになった。
しかしもうそれしか手はなく、あれこれ悩んでいるときに・・・・・・ライナ、お前が生まれた。親父は、幼少期から同調(シンクロ)させれば上手くいくのではないか、そう考え、俺とマリーナを説得し、お前に対しての、人体封印魔法が適用されることになった。
お前を連れ、捕獲されたケルベロスのもとへ向かった親父は、そのまま帰らぬ人となった・・・・。
しかし、封印は完璧に成功した。お前の精神とケルベロスの精神は完璧に融合し、今に至っては、同調率(シンクロ率)は60%を超え、安全かと思われたんだ・・・・・・。
しかし、ケルベロスの力は俺達の想像を絶していた。お前の怒りや祈りが引き金になってお前の精神を乗っ取ろうとすることが度々あった。お前の右手の『文様』はその証だよ。
そして今日、奴は一時的にではあるが、お前の精神を完全に乗っ取った。記憶が部分的にないだろう?それはケルベロスが全てを支配していたからだ。
お前の体内に『魔神』が封印されていることは、世界政府の中でも上層部の人間しか知らないし、トップシークレットだ。しかし、今日の事件だ。少しずつ、漏れ出すぞ。一部の人間たちは人体封印魔法で超人的な力を手に入れた人達を総称して『鬼人』と呼ぶようになった。悪名だよ・・・・・。
ちなみにな、他の『魔神』が封印された石板も、ケルベロスの一件があってから世界中の名だたる魔法術士が動いてな。現在全ての『魔神』は石板から人間の体内に移された。お前と同じ境遇の奴が、まだ3人いるんだよ。
俺から話せることはこれで終わりだ。気になることがあったらその資料を見るといい。」
一気に話し、疲れたのか、父は喉を押さえ、数回咳ばらいした。
「ケルベロス・・・・・ク―エリア・・・・・・グラン・・・・・パルド・・・・・」
意識の中で交した会話の中で聞いた言葉を復唱した。
「ライナ・・・・・知ってるのか?」
「――知ってるっていうか、今日聞かされた。ケルベロスから・・・・・」
「そうか・・・・・・・黙っているつもりはなかったし、このことはお前が20歳(はたち)になったときに話そうと思っていたんだ・・・・・・・。スマン・・・・・」
俯いていた父は不意に顔を上げ、ライナに尋ねた。
「学校・・・・・・どうする・・・・・?今日、お前が犯した罪に関しては、全て不問だそうだ。さっき世界政府のお偉いさん方がやってきてそう言った。」
「学校?・・・・・・1か月くらい休ませてくれ・・・・・・もっぺん自分の中で整理したいから・・・・」
「わかった・・・・・お前が行きたくなるまで、俺もマリーナも何も言わん。ゆっくり休め。」
その言葉を聞き、胸のつかえがとれたような気がした。
最後に「わかった」とだけ言い、地下室を後にした。
第1章 第6話 完
どーでしたか!?遂に明らかになったライナの力!!
やっと動きだした物語!!!
つーかぶっちゃけ、この話は友達に急かされて書いたもんです!
構想は全部頭ン中にあるんですけど、時間がなくって・・・・・・(汗)
特に父さんの説明のところ、長くて読む気がしないと思うんですけど、気合入れて読んで下さいなヾ(@°▽°@)ノ
あっ、あと、マリーナってのはライナの母さんのことです!!
ちなみに、マリーナには双子の姉、アリーナって人がいます!!
ではо(ж>▽<)y ☆