前略 X様

この期に及んで不思議とか言い出しますか、溜め息が出ますなあ。
日本人が初めて中国で仕事を始めると、ビジネス常識が余りにも異なるのでよく切れるのだが、それを思い出した。
中国に限らず、世界の現場は日本人が考えているよりも遥かにいい加減に動いている。
ストライクゾーンも、また然りだ。

その現実を受け入れ、相手に調子を合わせつつ、自分のペースに相手を巻き込めるようになって、そして自分の目的も達成できるようになって、海外で働くビジネスマンとしてはやっと一人前であろう。
日本プロ野球が国際的に立ち遅れた内弁慶スポーツだということを、あのコメントで自ら曝け出したということで、同じ日本人としてまことに情けない。
ストライクゾーンは精密緻密に、ルールもがっちり安定、というのは日本の常識であっても世界の常識ではないのだろう。
その現実を踏まえたビジョンと戦略を立てられなかったのは、星野監督様、確かにあなた一人のせいではありませんし、戦略の失敗を現場の戦術で取り返せないのも自明のことです。

しかし緻密さが通用しない以上、勝負所はパワーと狡さだ。
緻密さは仕上げの付加価値で、前提としてパワーが互角で独自の戦略が有るというのが世界を舞台の戦いである。
それはビジネスでも、おそらくスポーツの世界でも多分同じなのではないかと思う。
だから監督や選手については、先ず国際試合に勝つ為にこういう国際的にオタクで世間知らずな状態を少しでも直す努力が必要だろう。

そして日本野球界を支配している年寄りや官僚達は、やはり日本の支配層の一種で、無為無策無能なリーダー達なのであろう。
短期決戦で負けた責任は現場の星野監督が負わなければならないのだろうが、これだけの惨敗は日本野球界全体が真剣に考えて建て直しを図らなければ取り返す事が難しいと思う。
戦犯探しも良いし、責任を明確にさせることも或る程度大事なのだが、日本マスコミはそういう事すらできない日本の組織の体質を批判することはできまい。
日本の支配層も、マスコミも、畢竟仲間で「お友達」なので、互いに本質的な批判ができず自縄自縛だ。

つまり革命でも起こらぬ限りは、この閉塞状況を打ち破れないのかも知れない。
日本は民主主義国家で政権交代というのも有り得るのだが、外国人の参政権とか到底賛成できない政策を抱えている民主党を支持する事は不可能だ。
これでは共産党が勢いを盛り返してしまうな。
不景気と、閉塞感と、共産党が目立つ時代状況で、もしも日本に文民統制が効かない軍隊が有ったら戦前に瓜二つ、という事か。

そうして組織的に自暴自棄になれない日本人は、個人的に自暴自棄になって、個人的なテロを起こし続けるということか。
しかし自暴自棄になる若者達よ、今一度「悪い奴ら」が誰なのか、日本の何が間違っているのか、標的を明確にする為に調査し、考えようではないか。
手当たり次第に当り散らして関係の無い人を傷つける前に、もっと我慢強く考えよう。
自分に近い仲間に対する義理を欠かない事が天下国家に優先するという「美徳」を持った人々が日本を支配しているという事が日本をおかしくしているのだとしたら、どうする?

早々