前回勝つメンタリティを捨てる話をした。しかしながらそれは簡単ではない。競争に打ち勝つのは本能的な行動だからだ。大谷翔平は勝つためにドジャーズへ移籍した。普通の人でもゲームやスポーツをして勝負を楽しみ、サッカー日本代表の勇姿に歓喜する。殺し合ってでも戦争を起こすのは、憎しみからかもしれないが、勝つメンタリティなしでは、成り立たないだろう。

他人に向けられる勝利のメンタリティを、自分に向けたらどうか?

よくスポーツ選手でも自分に打ち勝つのが大事だとされる。でもその最終目的は、他人に勝つことだ。より自分に打ち勝ち、精進し鍛えた者が勝負に勝つ、それはその通りだ。しかしそのようなスポーツ選手でも、体力の限界が来る。勝つメンタリティを他人に向けられなくなる。つまり最終目的は変化を余儀なくされる。最終目的が、自分に勝つことになる。特に武道ではその点が重視されるであろう。


自分に勝つことを克己という。それは単純に自分に勝つことではなく、自分に勝つために自分に勝つことと言える。そうすれば弱って行く自分に勝つメンタリティを向ける事が出来る。

負ける自分が、負けるメンタリティを持つのではなく、負ける自分を受け入れたうえで、負ける自分に勝つメンタリティを持って臨み続けるのが、本当に強い自分であると言える。そこが目指すべき目標となる。