ゲノム情報は体を作る設計図だろうか?

答えは大体はそうであるが正確には違う。

なぜなら設計図は体の外にある訳でなく体の中にあるからだ。体の中にある限り、設計図を処理する機構も設計図に書くべき情報の一部である。ところがその機構を記述するためには、自分自身の完璧な設計図が必要である。設計図の中に全く同値の設計図が必要になる。


これは三面鏡を使って、鏡の中の自分が持つ鏡の中に自分を映し出したのと同じである。鏡の中の自分は無限に入れ子になって映りだす。


ITでモデリングすれば再帰的な呼び出しである。プログラムの内部からプログラムを呼ぶ。


これは自己参照するシステムの宿命だ。自己参照の結果を持って、次の行動決めようとしても、その行動が、結果に影響を及ぼす。原因と結果が相即しているのだ。仏教でいう不生不滅の関係もこれである。


でも生き物は自己参照するしかない。それがモノとの違いだ。モノは環境からネゲントロピーを与えられないと秩序を産まない。そうでなければエントロピー増大の法則に身を任せるだけである。


生き物は環境からネゲントロピーを与えられなくとも、自己参照して、行動を決定し、自己組織化する。それは再帰的なプロセスを含むから、階層構造を作り出すのであろう。


その本質は自らの部分の情報を集めて、その情報を元に行動を決定する、そんな単純な仕組みに違いない。