【觀邪見品第二十七】

「誤った見解の考察」と名付けられる第27章

 

27-15 若天即是人 則墮於常邊 天則為無生 常法不生故

もし、人間が神であるならば、すなわち永遠が存在することになる。神は永遠に存在するから、生まれない

 

27-16 若天異於人 是即為無常 若天異人者 是則無相續
もし神が人間と異なるのであれば、無常(永遠でないもの)が存在することになる。すなわち、輪廻転生して、自我が相続されることはなくなる。

 

人間は神ではない。神と動物の間にある生物である。不完全な神とも言える。そういう意味で神と人間は異なるが、神(ここでは天)は永遠にあり、そこから人が生まれる。生まれた人は無常である。自我は、全く相続されないとは言わないが、完全には相続されない。

例えば祖母が言った言葉は、祖母が死んでも、私の心の中に相続されている。それはたまに想い出すような不完全なものではあるが、確かに自分の中にある。ブッダが2000年以上前に考えたことが、私の心にも、様々な人の心に相続されているではないか?

業のように無意識界で受け継がれるモノだけが、我を構成しているわけではない。そうやって相続されるもの、自分で作り出すものがあって、今の自分が構成されている。

 

確かに人間にとって完全に確かなものはなにもないかもしれない。でも完全に確かでなくても比較的確かなものはたくさんある。また生きるヒントを持ってすれば、確かだとみなせるものを増やすこともできる。

 

自分にとって比較的確かなものを見つける、これこそが人生の目的ではないか? それは身近なところからやっていけば、そんなに難しいことではない。それが状況に応じて変わっていっても構わない。