【觀邪見品第二十七】

「誤った見解の考察」と名付けられる第27章

 

27-9 過去我不作 是事則不然 過去世中我 異今亦不然

過去に私が存在しなかったということは容認できることではない。過去の世にいる我が、今と異なるということは言えない。

 

27-10 若謂有異者 離彼應有今 我住過去世 而今我自生

もし過去の世にいる我が、今の我と異なる者であれば、その過去にいる我が存在しないとしても、今の我は存在することがあり得ることになる。過去世の我がいないのに、現世の我が生まれることになる。

 

アートマンはないとは言えないということを言っている。なければ、過去の自分がいないことになる。これは輪廻を考えてもそうであるし、輪廻はなく、現世だけで考えても、1年前の自分と今の自分は同じであるというのは、当たり前に認識する事実である。ただ、過去の自分と今の自分は、異なるとは言えないが、同じとも言えないのである。無自性である。