でるトコ P384Q27


株主総会議事録の押印は不要?

会社法には、株主総会議事録に押印しなければならないという規定はありません。しかし株主総会議事録は重要な書類なので、真正の書類であることを明らかにするために押印することをおすすめします。これは定時株主総会だけでなく、臨時株主総会でも同様です。

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株主総会議事録の押印が必要な場合も

株主総会議事録に押印の義務はありませんが、例外的に必要になる場合があります。例えば、定款で定められている場合や、取締役会がない会社で代表取締役を選定する場合などです。

定款で定められている場合

例えば、定款に「株主総会議事録には、議長、出席取締役、出席監査役が記名押印する」との定めがある場合は、それらの者の押印が必要になります。定款は、会社の組織と運営に関する根本規則を定めたものです。

「定款自治」といわれるように、定款の内容は法令に違反しない限り、会社が自由に決めることができます。その代わり、決めた以上はそれに従わなければなりません。定款に押印することが規定されている場合、会社はその規定に従う必要があるのです。

取締役会がない会社で代表取締役を選定するとき

取締役会がある場合、代表取締役は取締役会で選定されますが、取締役会がない会社では取締役全員に代表権があるため、代表者を定める必要はありません。ただし、取締役が複数いる場合は、株主総会の決議によって代表者を決めることができます。この場合の株主総会議事録には、押印が必要です。

この場合の押印は、議長および出席取締役全員の実印による押印です。商業登記の手続上、代表取締役として選定されたことを証する書面としての真実性を担保するためです。ただし、代表取締役が重任する場合は、その代表取締役が株主総会に出席し、会社の実印を押印すれば、ほかの取締役の実印の押印と印鑑証明書の添付は不要です。

株主総会議事録の押印者は誰か

株主総会議事録には誰が押印するのでしょうか。会社法では株主総会議事録への押印義務は定められていないので、原則として誰の押印も必要ありません。ただし、定款で押印することが定められている場合や、取締役会がない会社で代表取締役を選定する場合は、前述のとおり押印が必要になります。

定款で押印することが定められている場合は、定款で誰が押印すべき者として規定されているかによります。取締役会がない会社で代表取締役を選定する場合は、議長および出席取締役全員の実印による押印が必要です。

押印する印鑑について

原則として、株主総会議事録への押印義務はないので、記名押印する場合は認印でも構いません。ただし、取締役会がない会社で代表取締役を選定する場合など、登記上実印での押印が求められる場合もあるので注意が必要です。「押印」と似た言葉に「捺印」がありますが、これは署名をしてハンコを押すことを指します。

株主総会議事録の押印について理解できましたか?

今回は、株主総会議事録の押印について解説しました。原則として、株主総会議事録には押印は不要です。ただし、定款で押印について定めた場合や、登記上押印が求められる場合は押印が必要になります。

多くの企業では定款で誰が押印すべきか規定しており、実務上も押印するケースが多いです。株主総会議事録は一定の者に閲覧・謄写が認められているため、押印することをおすすめします。