(抜粋)
要するにそうした質的・量的な「使い出」を意味する「購買力平価」が通貨価値を決定する最大要因だということになる。つまりその国の実体経済が国内にどれだけ豊富な品物などをもっているかということこそが、すべてを決定する鍵だったのであり、現在でも極めて長期的に見る限りはやはり通貨価値を決めているのは基本的にはそれである。しかしもし現在、為替市場の真ん中へ出かけていって、今日の円相場の変動がそういう要因で動いたのかとでも質問しようものなら、あなたは一体何年前の時代から来た人ですかと呆れられるに違いない。

つまり現在の為替相場を支配しているのは、むしろ巨額の資金を動かす投資家たちであり、各国間の金利差だの政府高官の発言だのにそれが過剰に反応して一斉にドルや円を売り買いすることで、通貨の相場が決定されてしまうのである。

現在、毎日為替市場を飛び交ってそれを動かしている1 兆ドルを超える巨額の投機資金は、あたかも一個の意志をもった生き物の如く、ただ自分を太らせてくれるところだけを選んで嵐のように通過していく。

そしてそれらの資金が国境を越えていくのは、何もその国で何かを買うための購買力を期待していくわけではない。むしろ一泊限りの宿泊のつもりでホテルの入口から入口へ渡り歩くようにして、その一泊の間に0 .0 0 1 % でも余計に自分を太らせてくれる保証がありさえすれば、これらはそこへ向かっていく。

(コメント)
ものを買いたいからこの国の紙幣を持つということは昔の話のようである。
一泊の間に0 .0 0 1 % でも余計に自分を太らせてくれる保証のあるもの情報が重要のようだ。
移り変わりの背景はまず投資家有利の金融市場ができたことだが、その要因になったイギリスのビッグバンが気になる。線路全体を海外と直結して国際社会に開放するのだがそれに至った理由はなんだったけなぁ。
wikipediaみると「イギリス企業の姿は消えたまま、ロンドン市場は活況を呈す現象が生じた(テニスのウィンブルドン選手権ではイギリス人のプレイヤーは姿が見えず、イギリスは場所を貸しているだけである)。」とある。
要は企業をあきらめて投資家のための国にしたのだろう。恐らく日本などに経済で負けたので国として他の生き残り策を考えたということなのか?そうだとすると国民無視もいいところのような気がする。国として成立するのか?
イギリスが国としてビッグバンに踏み切った背景知りたいなぁ。
日本も適度にイギリスに負けていさえすれば三大金融市場のロンドン・ニューヨークのスーパーハイウエイ化にならなかったのかも。アメリカも日本に負けていたからちょうどイギリスと手を組むいい機会になったのだろう。