沢真っ盛りの季節になり、報告も遅くなりましたが、残雪期縦走の報告を。。。

 

日程:2024/4/13~16
山域:上越国境線
参加者:小俣(報告)

 

大阪に移動してから雪山が遠くなってしまった。本格的雪山はダメでも残雪期登山ならまだ行けるのではという思いのもと、帰葉に合わせて、長年の縦走希望だった上越の山に出かける。清水峠~巻機山間は、夏は藪に覆われ積雪期限定の縦走路である。

 

【4月12日】

 前夜、千葉を立ち関越トンネルを抜けた土樽の PA で仮眠。

【4月13日】

塩沢石打 IC を出て、清水村へ向かう。最奥の清水峠へ向かう林道のゲート前に駐車 7:00。除雪はゲートまでのようでそこから先は雪道。久しぶりの雪山装備の単独行なのでなかなかの重荷である。当面は林道歩きなので、あまり苦にならず歩けたが、いよいよ登川を渡り(9:30)十五里尾根(謙信尾根・昔謙信が越後から関東に向かう時使ったと言われる)に取りつくと、急登に息があがり瞬く間にスピードダウン。おまけにコンスタントな雪道でなく雪のない所とある所の繰り返しで疲れる。12:00 ようやく鉄塔群のあるところまでたどり着く。展望は素晴らしい!右手には大源太山が黒々とそびえ、左手は明日からの縦走路の大展望、振り返れば六日町方面の平野が広がっている。「しかし時間がかかりすぎている!この調子だと今日はジャンクションピークまでたどり着けないなぁ」と思うがどうしようもない。遅々として進まないが、一歩一歩行くしかない。16:00 清水峠に着く。避難小屋が「暖かいよー」と手招きしている。春の陽気に温められた小屋中は暖かく、疲れもあり見境もなく今日のねぐらはここと決めてしまった。一日目の遅れはこのまま行動日の遅延になっていくのだが、幸い天気予報は 4 日ほど晴れ続き、計画書に予備日を付けなかったことが悔やまれる。「電波が無いので明日のピークで連絡を入れよう」前夜の寝不足と疲れで小屋泊はありがたく、熟睡させて頂く。 

黒々と大源太山          登ってきた謙信尾根と対面の柄沢山    清水峠の避難小屋・送電線監視所と鉄塔を望む

谷川岳稜線(清水峠から)                            国境稜線の柄沢山~檜倉山(清水峠から)

 

【4月14日】

5:00 出発。谷川岳方面の稜線が赤く染まっている。モルゲンロートになるのかな?と思って何度も振り返るが、普通に明けてしまった。雪の湯檜曾本谷が美しい!朝日岳に突き上げる源流あたりはたおやかで良い。8:00 ジャンクションピークに到着。今までも誰とも会わなかったが、ここからいよいよ一般登山道を離れて一人旅本番になる。遥か巻機を望む‼ 右手にナルミズ沢の源頭部を見ながら大烏帽子への稜線を快適に下る。所々笹が出ているが下りなので気にならず進める。大烏帽子の登りは右手東側にできた雪庇を拾って登る予定であったが、所々雪が切れており藪尾根に逃げざるをえない。快適な登高とは行かない。やたら時間がかかり 11:00 ようやく大烏帽子山に着く。電波が 1 本立っているので昨夜の天場変更の連絡を入れる。今日も予定時間越えの歩み・・・13:40 檜倉山到着。柄沢山を今日中に越えることはできないことが分かり、行程遅れの連絡を再度入れる。(山頂付近でしか電波が繋がらないのでつながる所で早めの LINE) なだらかな檜倉山の山頂を越え柄沢山の鞍部へと下る。細い稜線で立ち上がる柄沢山を見て手前で天場を見つけなければと思いつつギリギリまで進む。16:00 過ぎ笹の陰に良さそうな場所を見つけテントを張る。整地やなんやで小一時間かけてようやくテントでまったり。

17:50 干していたものを取り込み、夕陽を眺める。明日もお天気が続くのが心強い!

朝日に染まる清水峠を望む                           ジャンクションピークから巻機山方面を望む

大烏帽子山から巻機山越後三山方面の展望                柄沢山手前の鞍部にて

 

【4月15日】

行く手にそびえる柄沢山を超えて「何としても巻機山までたどり着かねば」と気合を入れて起きる。少しでも雪の締まっている午前中にたくさん歩きたいものだ。4:40 歩き始めて直ぐに日の出を迎える 5:17。柄沢山がモルゲンロートに染まり、なかなか素晴らしい!東の空が朱く染まり、上州武尊や尾瀬燧ケ岳と思われる山々から太陽が昇る。

柄沢山は下から見ていると結構雪が繋がっていそうなので登りやすさを期待。それでも所々雪割れがあり迂回。7:20 頂上に着く。いよいよ巻機山が正面に捉えられる。しかし、なんと藪がたくさん出ていることか!今年の降雪量の少なさを感じる。おまけに 2 月に積もらず 3 月に降った雪は固く締まらず、午前中にもかかわらず雪が固くない。ワカンも持参しているので履きたいところだが雪割れのシュルンド部分の登りにはアイゼンが都合良く履き替えの決心がつかない。結局、ワカンは使うことなく荷物になってしまった。8:30 1809m ピークを越え、12:50 米子頭山に着く。巻機山が近づいてきた。ニセ巻機の真っ白な三角錐が巻機山のだらりとした平らな頂上と良い対比で望める。このあたりから縦走路中最も藪が出ており、雪庇のつながりも悪く進路に苦労する。何度かの踏み抜きと腰まで埋まり脱出に時間を費やす。最後は藪漕ぎでリッジを登る。苦労の末ようやく巻機本峰登りの斜面に取りつける。この登りは、なだらかな斜面なのだが雪の付きは悪く笹と灌木が露出している。16:10 牛ヶ岳との分岐に到着。ここで、会に連絡「無事巻機山に到着。

明日下山予定」と LINE。後は一般登山道になり安全地帯に入ったことを伝える。

山頂まで一投足となるも時間的にそろそろ泊にしたいところである。巻機山頂から牛ヶ岳にかけて樹林が広がっており良い風よけになるのでここでテントを張ることにする。少し西側(清水側) に下った斜面を整地して設営。夕陽の色が悪く日没は拝めなかった。

柄沢山から来し方を振り返る(大烏帽子・谷川)        ニセ巻機・巻機山を望む      シュルンドの向こう

巻機山から越後三山に繋がる国境稜線

 

【4月16日】

今日は下山のみということもあり、朝はのんびり朝食を取り 6:30 出発。どんよりとした空模様、さすがに長く続いた晴れも終わりか・・・

7:10 巻機山頂山稜に出ると北からの強風にまともに迎えられ、ちょっと恐怖を感じる。チビの自分はかぜにめっぽう弱いので、ストックとピッケルの二本使いで安定を確保。7:30 頂上。巻機からの下りも風強く用心深く歩く。避難小屋のある鞍部に着くと樹林もあり風は一旦収まる。7:50 避難小屋は思いの外雪に埋まっており屋根のみ出ている状態であった。2 階の入り口が掘り出されていたが入るにはもう少し掘らねばならないようだ。8:10 ニセ巻機に登り返すと、またも強風が。ここから、井戸尾根の下りに入り、眼下に広がる魚沼の平野と山々を眺めながらひたすら下る。夏道の迂回を無視して一気に下降。下から登ってくる登山者と出会う。曇天の中の登山者の方から「こんな時間に下山は避難小屋泊りですか?」と声を掛けられる。縦走してきたことや頂上付近は結構強風であることなどを伝え、最新の天気予報を教えてもらったりする。天気はまだ崩れないとのこと。白樺林になり傾斜が緩くなったところで大休止 9:10。越後のマッターホルン・大源太山の黒々とした雄姿が美しい。また登山者と出会う。さすが百名山、平日の曇天でも登山者あり!

越後三山へ続く稜線 越後駒の朝焼け                    巻機山の頂上山稜を望む

 

ニセ巻機(八合目)から見る割引岳                       越後の山々

巻機山を振り返って               大源太山‣背後は谷川稜線      遠く越後米山に日が射す‣手前はスキー場

 

11:00 登山口着。下山連絡を入れる。しばらく雪道を歩き桜坂駐車場に至る。ここにリュックをデポして清水村林道に駐車した車回収に向かう。

12:20 全てを回収、温泉へ。この方面の山に来るといつもお世話になる「金城の里」へ。

 

<おまけの写真>

温泉前の魚沼川の河原から望む巻機山・谷川連峰          六日町の観光街並み「ガンギ通り」