契約書で用いられる法令用語の用法解説シリーズ(「又は」と「若しくは」) | キャリア10年以上の法務部員がお伝えする「契約業務のあれこれ」

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大手企業の法務部に就職し、その後中堅企業の法務部に転職。

かれこれ10年以上法務畑です。

契約書作成業務を行う際の法律的・実務的な注意点などを書いていきたいと思います。

お役に立てれば幸いです。

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本日のお話をご覧になる前に、


前回のブログ(「及び」と「並びに」)をご確認いただくと、


より分かりやすいのではないかな、と思いますので、


よかったら、ご覧くださいね。



今日は、契約書によく出てくる接続詞


「又は」と「若しくは」の用法について、お話しさせて頂きますね。



両方とも、意味に違いはないのです。


英語で言うと、「or」の意味です。


そして、用法は、「及び」と「並びに」と同じように言葉を接続するのが


1段階か、2段階かに応じて、異なっているのです。



1段階のとき・・・又は


2段階のとき・・・又は>若しくは


という関係になっています。


またも、ややっこしいんですけど・・


どうか、お付き合いくださいね。



接続が1段階のとき


「又は」を使います


A又はB


or


この場合、AとBは同列で同格です


具体的な条文をみてみますと・・・


(民法96条)


詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。


この場合、「詐欺」と「脅迫」は、同列で同格です。


A(詐欺)or B(脅迫)という関係ですね。




接続が2段階になるとき


又は>若しくは


大きい接続に「又は」を使い、小さい接続に「若しくは」を使います。


A又は(B1若しくはB2)


or(B1or B2)

この場合、AとBという大きなくくりがあり、


さらに、Bの中にB1とB2があるという関係になります。


具体的な条文をみてみますと・・


(刑法199条)


人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。


この場合、


A(死刑)とB(懲役)、という大きなくくりがあり、


さらに


B(懲役)の中にB1(無期懲役)とB2(5年以上の有期懲役)、


という小さなくくりがあるという関係になります。


以上、ご説明させていただきましたが、


最初は「どっちがどっちだっけ・・?」って、分からなくなると思うんです。


私も、新人の頃は、よく、「どっち?」って、さまよっていました・・・。


で、そんな私は、出口をみつけるために、次の表を机に貼っていたのです。



A及びB


A並びに(B1及びB2)



A又はB


A又は(B1若しくはB2)



よかったら、ご参考にしてみてくださいね。


「又は」と「若しくは」の違いについて、わかった!という方は、


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