独学で勉強するにせよ、予備校を利用するにせよ、資格試験において強く求められる能力は「自己分析能力」だろうと思います。
 
過去問の分析、出題傾向の分析は予備校が代わりにできます。受験生はその成果物である問題集や模試を利用すれば済みます。しかし自己分析だけは本人にしかできません。
 
表面に現れた成績で客観的な評価はできますが、限界もあります。現実に解答の過程でどんな思考プロセスを経て正解し、または間違えたのか。これは本人にしか知りようがありません。その後の勉強方針を決める上では、結果のみならず過程の部分に含まれる問題点が重要になります。
 
ちょっとした表現の違いによる引っかけにつまづいたのか、そもそも知識が不足していたのか、覚えたことを思い出せなかったのか、問題自体が悪問の類だったのか。間違い方にも様々あるわけです。
 
自分の間違い方がどんな種類のものか理解しないで、結果だけから方針を決めてしまえば、方向性が狂うのは当然です。
 
新しい問題にトライして出題パターンの多様さに慣れるべき時に、同じ問題を繰り返し演習するという記憶強化型の勉強をすれば、当然必要な力はつきません。もちろんその逆もあるわけです。
 
覚えたことを思い出せないとすれば、思い出しやすいように記憶を整理する作業が必要になります。とすると問題演習よりも、ノートや図表によって知識をまとめることが大切になる。
 
自己分析の手法そのものは多分に感覚的なものです。しかし、その必要性を認識していないと自己満足の勉強に終始してしまう恐れがあります。
 
必要なときに必要な勉強をしないと合格は遠のきます。何が必要か見極めるのは本人にしかできません。
 
「まず己を知れば百戦して危うからず」という兵法の基本ですね。