極楽金魚ビシャモン❼-①
「して、どこに行ってましたんかい」
「ローケーションに行っていました。突然社長に言われて、グラビアアイドルの沖縄ロケのアシスタントで行ってくれと言われて」
「ほう、グラビアアイドルね。今流行りの水着アイドルかい。それは楽しいじゃん。DVDで販売するんかい」
「それが楽しくもないよ。アイドルと言っても、そんなに若いアイドルではなくて少々年食っててさ。ポルノ映画に出てたりエロビデオに出ていたりエロアイドルさ。エロタレントとして売りだし始めているさ。水着の試着の時も見えちゃいけないところが隠れるなら紐さえあればいいというようなアイドルさ。エロいよね」
「まあタレントは居直って自分をさらけ出してファンをつかんでいくんじゃな。ファンの質もいろいろあらーな。おまんが気にしてもしょうがない。そのタレントの先行きをおまんが気にしてもしょうがないけんのう。まあ気にするな」
「そんなことはわかっているさ。AD が口挟めるところじゃないさ。承知してまんがな。ああ、また変な喋りになってしまった。反省」
「撮影はうまくいったんかいな」
「ああ、ディレクターがカメラマンも兼ねるディレクター&フォトグラファーで売ってる奴なのだけど。これがまたオネエな奴で、オネエ言葉で気持ち悪い奴なんだ。『ねえねえ、この水着何なのよー、お毛毛が見えちゃうんじゃないのー、あーら見えちゃったわ、あとでCGで消しといてねー』
ばか野郎と言いたかったけど、この女アップで撮るな、ロングだけにしろ、と言いたかったけど。
了解しました。
しかし帰ったら社長にお目玉食うな。CG修正編集代なんてないぞ。と、言われそうだなと思ったけど。帰ったらやっぱりお目玉食らった。あんたの目玉以上のでかいやつ。制作費がかさんだ。あーあー」
「DVDが売れればいいがな」
相変わらずの出目金大王極楽金魚との会話である。相変わらずのイナトミの落ち込みようである。しかしイナトミもアシスタントの状況には慣れてきたようである。居直っている。既に気は取り戻している。
「ところでお主の夢はなんじゃ。はっきりしとるんかい。それに向かって突き進んでいるんかいな」
「また問答かい。それはディレクターになって自分で映像を創っていきたい。とりあえずは、今はそうです」
「小さいのう」
「じゃあ、夢ってなんなのさ」
「我が極楽金魚プロジェクトで一人の男をプロジェクトしたんじゃ」
「またサムライの話かな」
「少し前の話じゃ。この男世界を変えるなという男が現れたんじゃ。アメリカのシリコンバレーというところじゃ」
「ITベンチャー企業がひしめくところですね」
「マッキントッシュというふざけた名前のコンピューターを開発し始めた頃じゃな。
まだコンピューターも一般じゃない頃、携帯電話も無い頃、ワープロも一般には無い頃じゃ。
彼は言うんじゃ。二十年後にはパソコンが胸ポケットに入るようになる。世界中の人が自由に通信を行えるようになる。必ず実現するとな。名前が何とかジョブスという人だった。如何にも仕事人と言う名じゃな」
電子書籍kindleでも販売中
YouTube動画小説もやっています。如何かなBGM流れます。
<アフィリエイトコーナー>ですたい。飲みながらでも。