古代メキシコ展(その6・終) | 草木染の毛糸屋さん

古代メキシコ展(その6・終)

2024年4月20日(土)@国立国際美術館

アステカ文明ヘ

どんな展覧会でもそうだが、最初は丁寧に見ていくが、だんだんに雑になっていく。写真撮り放題だったので、最初はあれもこれもと撮っていたが、だんだんすごいと思った展示品でも撮らなくなっていく。正直、足も疲れてくるし。

そういうわけで、アステカ文明コーナーに来るころには、注意力がいささか散漫になっていて、ああ、この先が出口だななんて目の隅で確認していたりする。

このコーナーの目玉が高さ170㎝の鷲の戦士像だ。説明板によると、戦闘や宗教に重要な役を担った勇敢な軍人の像で、わしの頭飾りをかぶり、羽毛や鉤爪の着いた装束を身に着ける。戦死した戦士の魂であるとか太陽神の化身だという説もあるとのこと。

パンフレットに正面の図が載っていた。顔をアップで見ると、どこかこの世のものとは思えない恐ろしさを感じる。

上の写真の背後に写る骸骨(しゃれこうべ)の壁が恐ろし気である。ドクロの基壇と書かれているから、この上に神殿が建てられたのだろうか?

ちなみに、テンプル・マヨール(大神殿)

戦士が浮き彫りされた骨壺(骨が入っていた)

これは何だったか? 日本なら儀式用の油皿かと思うけれど、展示の流れからいうと、戦死者を悼むための儀礼的な道具のひとつだと思う。寄木ではないけれど寄木細工を思い出させる紋様が魅力的。

また、黄金に輝くアステカ文明の輝きは心に残っている。スペイン人たちもアステカの黄金が欲しかったらしい。ただ、愚かにも彼らは素材としての黄金を欲しただけで、アステカの黄金に彩られた工芸品の価値には目もくれなかった。スペイン人が奪った黄金の一部が回り巡ってバチカンの天井を飾っているという。バチカンの装飾に目を瞠った私としては複雑な気持ちだ。それでもすべてを奪われたわけではない。スペイン人が去ってから見つかった発掘品もあり、それらが往時の金属加工技術や芸術的センスを教えてくれる。

近年、石室などから発掘された金の装飾品

豊穣をもたらす雨の神・トラロク神をかたどった壺

 

質・量ともに盛り沢山すぎて消化不良を起こしそうなほど充実した素晴らしい展覧会だった。