トゥールーズ・ロングステイ2023(13日目・その13) | 草木染の毛糸屋さん

トゥールーズ・ロングステイ2023(13日目・その13)

2023年9月17日(日)イングランド戦

ラグビー・ビレッジ(Rugby Village)にて

試合がないときは入口が封鎖されていて人気もないのだが、この時は入口で警察のボディ&荷物チェックがあった。わたしは婦警からボディ&荷物チェックを受けた。今にも雨が降りそうな空だったので、夫は折り畳み傘を持っていたのだが、それは取り上げられて(試合会場でなくても傘の持ち込みはだめなのね、傘は凶器になるという判断なのかな)通路の隅に置かれた。わたしが持っていたのは携帯用のレインコートだったので、大丈夫だった。

パブリック・ビューイングというから、所狭しと椅子やテーブルが並んでいるさまを想像していたのだけれど、フランス戦じゃないからね、ただっぴろい空き地にデッキチェアがぽつぽつと並んでいる。前方にステージがしつらえられて、大型スクリーンや音響機器がセットされてはいたし、奥の方には飲食の屋台も出ている。けれど、全体の雰囲気は熱気というにはほど遠く、キャンプ場でビール片手に星空を見あげたくなるような雰囲気。日の丸のかつらにレプリカを着ている日本人グループもいるけれど、かえって悪目立ちして、恥ずかしかった。

【ようこそ トゥールーズ ラグビー・ビレッジへ】と書いてある。

それでもキックオフの時間が近づくにつれて、椅子取り合戦になるくらいには人が入ってきた。ニースの中継も始まった。こちらは不穏な天気だが、向こうは天気は悪くないらしい。

そうしてゆったり構えていると、試合開始10分前くらいからぽつぽつと雨が降り出した。小雨くらいなら我慢しようと思っていると、次第に雨脚が強くなって、しまいには本降りになった。遠雷も聞こえる。

皆が一斉に避難を始めた。わたしたちも女子トイレの建物の中に避難した。先に避難していた女子たちはアフリカ系でイングランドを応援していると言っていた。どう見ても日本人のわたしたちは「ピッチでは敵だけど、今は雨宿り友だちね、今は男子もOKよ」と言って、夫も歓迎してもらえた。

フランス人の家族もいた。5歳くらいの女の子がワールドカップのエンブレムがついた無地の紺色のベレー帽を被っていて、それがめちゃめちゃ可愛かった。おしゃまな感じも似合っていたし。記念グッズにベレー帽があるのもフランスっぽいけれど、それを着こなす幼児もフランスっぽいなと思った。

「もう試合始まったよね…」と誰ともなく言う。

雨はいつしか小降りになっていて、じきに上がりそうだった。

と、そこへ放送。今の雨で機材が使えなくなったからパブリック・ビューイングは中止だという。

みな避難場所から出て、三々五々、帰路についた。

わたしたちは帰りがけに、夫の傘を置いたらしい場所をチェックしてみたけれど、傘を見つけることはできなかった。雨でぬかるんでるし、真っ暗だし、明日、探しに来ようと決めて、わたしたちも帰ることにした。