トゥールーズ・ロングステイ2023(12日目・その5) | 草木染の毛糸屋さん

トゥールーズ・ロングステイ2023(12日目・その5)

2023年9月16日(土)世界遺産の日

エルサレムの聖ヨハネ騎士団の館の斜向かいに、わたしたちが目指していた館がある。

 

石の館 (L'Hôtel de Pierre)

幅が狭い通りに面した大きな石造りの建物、大きすぎて、ファサード全景を収めることができなかったが、それだと、この建物のすごさがまったくわからないので、Wikipediaから借りてきた。

ファサードのいたるところが男性像で覆われている。赤煉瓦の建物が多い中で、ひときわ目を引く。

太陽とライオンを模したと思える彫刻や風神のようなものが彫られた彫刻が施されている。軒下の浮彫は植物だろうか? 図象学に詳しい人がいたら教えていただきたい。人の顔からリボンが噴出していたり、遠くから見るとよくわからないのだけれど、近くからみるとけっこうグロテスクなデザインも多い。

入口。

中庭に通じる壁と石畳が古さを感じさせる。

壁に掛けられた銘板、1538年と書かれているが、最初の建築は建築家二コラ・バシュリエによって1537年に始まり、その時からファサードに巨人アトラスの彫刻はあった。館は1611年に建築家ピエール・スーフロンによって改修され、当時の大彫刻家たちの手を借りて、ファサード全体を石造りにして、全面に彫刻を施すことデザインになった。が、彫刻が完成するのは19世紀になってからだった。約300年!

石の館の見取り図の上の方にいくつかの四角が並んでいるが、そこには居住者の名前が刻まれている。住んでる人がいるのだ!

中庭からその居住区を見上げると、こちらは全面石造りではなく、トゥールーズらしいバラ色のレンガの土台に、石で彫刻や扉や窓枠などが作られている。石の浮彫はどこか中世的で繰り返しになるけどグロテスク。

中庭に面して作られている扉、締め切りになっている。いつもしまっているのか、今日は世界遺産の日で見学者が来るから閉めているのかはわからない。

門を入ってすぐの左手の扉は開いていたので、覗いてみると、階段があった。上っていく。

階段の踊り場の局面壁にも浮彫が施されている。日本だったら飛天と言いたくなるところ。

中庭の銘板を見たときは居住者がいるのかと思ったけれど、どうやら事務所のようだ。弁護士が多い(ほかの古い邸宅も、そこを事務所にしているのは弁護士が圧倒的に多かった。弁護士は儲かる仕事ということなのかな?)

緑色に塗られた腰壁と扉。中庭のレンガと石の意匠とは違ってモダン。

とある扉の前に敷かれた玄関マットは、クライアントが訪れるときはBonjour (こんにちは)、去るときはA bientot(またね)と読める。気が利いてる。

誰にも見とがめられることがなかったのを幸いに、わたしたちは石の館を辞した。