トゥールーズ・ロングステイ2023(8日目・その6) | 草木染の毛糸屋さん

トゥールーズ・ロングステイ2023(8日目・その6)

2023年9月12日(火)

サン・レイモン博物館(Musée Saint Raymond)

博物館は、日本の数え方だと地上3階、地下1階。1階はエントランスとミュージアムショップ、細い廊下に展示品が並んでいる。もともとが共同墓地だっただけに、地階は発掘された石棺が並び、墓地の様子や壁の一部が遺されている。

街歩き中に手に入れたパンフレットにわかりやすい写真が載っていた。

石棺の写真は撮らなかった。撮ればよかったと今なら思うけれど、棺だと思うと、二の足を踏みがち…

地上の2階と3階にガロ・ローマ時代までのこの地の出土品が展示されている。予想外だったのは、2階の展示室に入ると、ローマがこの地に来るよりはるか昔の先史時代の出土品から展示が始まっていること。素朴な彫刻や土器が並ぶ。そして、紀元前8世紀から紀元後1世紀ごろのギリシャやエトルリアの壺や彫刻…

紀元前5世紀とされる古代ギリシャのアテナの彫像。

アフロディテをこすると乳香の匂いがするらしい。古代ギリシャで人々を虜にしたらしい。これ、絵葉書なんだけど、困ったことに、もとはどんなだったか思い出せない。

ガロ・ローマと言われる時代、代々のローマ人を統治した属州総督(?)の胸像も並んでいる。ローマのコインの膨大なコレクションも。古代ギリシャやエトルリアの文物もローマ人によってもたらされたのだろうか?

古代ローマ人が古代ギリシャのモザイクに憧れていて、屋敷の床をモザイクで飾るのを自慢にしていたとローマで学んだ。そんなモザイクも残っている。

かけらとなったモザイクの破片をジグソーパズルのように並べ、不足を描き足して、壁画のように構成したのには、学芸員さんの努力に頭が下がった。

下の写真は床に再構成したもの

 

ガラスビーズや貴石を用いた宝飾品も多数展示されていたが、例えば現代的な若い女性のイラストにネックレスやイヤリングなどを置いて、こんな風に使ったのよと示すなど、実に展示がわかりやすい。上述のモザイクの壁画構成も全体像やそのサイズ感がよくわかる。日本の博物館が学んでいい点だと思う。

ローマ時代の大理石による浮彫も素晴らしかった。

薄いのに立体感が素晴らしい立体感があるというと、平等院の飛天を思い出してしまう(あれは木造だけど)のだが。

展示品の写真は撮らなかったが、2階の窓から見た景色は撮影した。21世紀とは思えない、中世にタイムスリップしたかと思うような景色。その奥の4~5階建ての建物は中世にはなかったと思うけれど。