トゥールーズ・ロングステイ2023(8日目・その4) | 草木染の毛糸屋さん

トゥールーズ・ロングステイ2023(8日目・その4)

2023年9月12日(火)

サン・ピエール・ド・シャルトル教会(Église Saint Pierre de Chartreux)

サン・ピエール・ド・キュイジーヌ教会に入れなかったことが思った以上にがっかりで、気が抜けなあという感じでバラド通り(Rue Valade)に入っていった。道路工事中だった。そのまま通り沿いにサン・セルナン教会まで行ってみるかというくらいの気持ちで歩いて行った。

すると工事中の道路の一部に渡り板が渡されていて、内部に入れるようになっている。ファサードから察するに教会だ。観光案内所でもらった地図には描かれていないけど、ちょっと覗いてみようかという気持ちになった。

扉に貼られたパネルによると、平日は毎日、午後6時から礼拝と告解、7時からミサが行われている。

この教会は1602年に建築が始まったが、1609年に丸屋根が落ちて、その上に建物を建て、1612年にフランソワ・ド・スールディス枢機卿により聖別された。正面扉の豪華な彫刻はアントワーヌ・バシュリエによるもの。名前に聞き覚えがあると思ったら、キャピトルの彫刻に関わったニコラ・バシュリエの息子だ。

内部はとてもロマンチック。ロココから下品な金ぴかを取り払って、豪華さを失わずにシックにまとめた感じ。

身廊

主祭壇、この上がドームになっている。

白大理石の彫刻は、2人の天使が聖体秘跡(Saint Sacrement)に冠をかぶせているところで、18世紀後半のフランソワ・ルーカスの作品。聖体秘跡というのは、聖餐を通して、キリストの命をいただき、永遠の命の交わりを先取りするという神の恵みを表しているというのだけど、わたしには正直言って???。芸術作品としての彫刻は素晴らしいと思うけれども。彫刻の奥の階段や柱には赤や緑の大理石が惜しげなく使われていて、豪華。

腰壁のある側壁にはキリストの一生が浮き彫りで提示されている。浮彫の立体感がすごい。

この瀟洒なデザインとはちょっと違うコンセプトみたいだけど、色使いが可愛らしいステンドグラス。(信仰心がないので感想がひたすらミーハーで申し訳ない)

聖母子

フランス革命の後、先ほど訪れたサン・ピエール・ド・キュイジーヌ教会が接収されたために、この教会に小教区の仕事が回ってきて、その時に、キュイジーヌ教会から彫刻なども一部移されたとか。宗教改革のときも、迫りくるプロテスタント勢力に押されて苦労したようだし。

周囲が工事中でなければ、じっくり見学していたかもしれない。

修道院の回廊は、現在はトゥールーズ第一大学の緑地になっている。わたしたちはこの後トゥールーズ第一大学の前を通ってサン・レイモン博物館に行くのだが、その時にこの緑地の前も通っていて、学生たちが憩っているいいところやなと思いながらちらっと中に入ってもいたのだが、まさかそこがこの教会の修道院の回廊とは思わず、写真も撮らずに通り過ぎてしまった。惜しいことをした。兼好さんだって言ってるよね、げに先達はあらまほしきものなり。まったくその通り。