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2025年3月16日(日)@大阪市立美術館
久しくここを訪れていなかったと思ったら、2年5か月も休館していたそうだ。コロナの間に改修工事をすればよいものを、と思うけれど、それこそ後知恵というもので。改修後初の展覧会では8700件の収蔵品から選りすぐった名品を4つの巨大展示室のすべてを使って展示するという。
どうしても行かねばと思ったのは、このリニューアルを契機に美術館に生まれたキャラクターに会いたくなったからだ。なんとも魅力的なこのキャラクターには展示の最後にお会いできた。
美術館の外に置かれたパネル
真ん中より少し右で、もろ手を挙げて正座しているのが、キャラクターの羽人さん。
大阪市立美術館の建物のすごさは中央ホール(無料で入れる)。正面に張り出した玄関から入ると大きく開けた中央ホールに出る。2階まで吹き抜けの高い天井、装飾らしい装飾がなく、まっすぐ中央階段に通じている。写真を見比べると、以前は数基のシャンデリアがつるされ、両柱にも明かりがついていたが、それらが外されて、明かりが壁に埋め込まれてすっきりとし、戦前の豊かさの象徴から令和の機能美へと変わったような印象。
中央ホール(写真はパンフレットからスキャン)
両翼が展示室になっている。今後は1階が企画展、2階が特別展になるそうだが、今回は全ての展示室がお披露目の展示会に使われている。なので、作品点数は260点以上、見て回るだけで3時間くらいかかって、へとへとになった。
ちなみに、この美術館の収蔵品の多くは寄付だそうで、大阪人の心意気と町人パワーの表れだ。そして、チラシの裏面によると名品が並ぶ中にいくつもの珍品が含まれているのも大阪人気質の表れのようで、わたしは嬉しい。羽人さんは名品&珍品と書かれていた。
チラシと入館券
2025年3月7日(金)@あべのハルカスのハルカス美術館
前項で夢二の商業デザインとしてまとめてしまったが、美術展的には港屋の仕事とセノオ楽譜や婦人雑誌の仕事の間に洋画や江戸趣味の作品が紹介されている。現存する油彩画30点ほどのうち13点が展示され、その中には新発見された作品や洋行先で描いたものが含まれている。
撮影可だったので撮ったのだけれど、光ってしまって出来が悪い。
【女】大正7年(1918年)
新発見の【アマリリス】大正8年(1919年)
洋行中に描いたこれも新発見らしい【西海岸の裸婦】)昭和6~7年(1931~32年)
夢二は正規の美術教育を受けていないのだから、油彩は独学なのかしら?ともかく、洋行中は別として、油彩や商業デザインなど製作の幅を広げたことが日本画の世界に深みをもたらしたように思える。わたしは油彩画にはあまり魅力を感じなかったが、それを経て描かれた日本画はそれ以前よりぐっと抒情的で魅力的だと感じた。
【秋のいこい】大正9年(1920年)
【蛙】昭和初期
【星まつ里】昭和初期
【立田姫】昭和6年(1931年)
200数点の作品を見て回って疲れた足と目をはるかす内のカフェで癒した。美術館の半券で割引してもらい、YUMEJI入りカプチーノをいただいた。
2025年3月8日(土)@VENTRATA(イタリアン)
フランス語仲間のひとりKさんが来月から名古屋への異動に決まったので、扇町のVentrataで送別会をした。くじ引きで決めた席がKさんの前だったこともあって、この日初めてといってよいほどKさんとたくさんの話をしたと思う。そして大学が同窓であることも発覚した!年がだいぶ違うので、大学ですれちがったことはないけれど。
パスタの量が多くて、主菜が食べられないと嫌だから半分残した。あらかじめ「少なめに」と言っておけばよかった。
アンティパスト(前菜)
プリモ・ピアット(パスタ)
セコンドピアット(主菜)
ドルチェ(デザート)とコーヒー
河岸を変えて、喫茶店では別のメンバーと、やはり普段折り入って話さないような話もできてよかった。折り入って話すことによってしか人と人はほんとうにはつながらない気がする。
2025年3月7日(金)@あべのハルカスのハルカス美術館
夢二の年譜によれば、23歳で岸たまきと結婚し、長男が生まれるも離婚、その後、たまきとは同居と別居を繰り返して2児を設ける。その後、夢二にとって最愛の人、永遠のひととなる笠井彦乃と出会うが、数年後に彦乃は病没。その後に知り合ったお葉と所帯を持つが、最終的には彦乃への思いを断ち切れない夢二のもとを去ることになる。夢二の恋遍歴はまだ続くが、この3人がいわば夢二のミューズであり、美人画のモデルになっている。
たまきは夢二と離婚後、夢二がデザインした小間物を扱う港屋絵草紙店のオーナーになる。離婚後の暮らしを立てるべく夢二が持たせたのだが、皮肉なことに夢二はその港屋で彦乃と出会って恋に落ちてしまう。それはともかく、港屋のために夢二がデザインした封筒や千代紙などのデザインが素敵だった。紙ものだけでなく、半襟、浴衣、帯などの商品も並び、当時の女性たちはそれらを日常に取り入れることでおしゃれを楽しんだそうだ。また、港屋の2階は夢二を慕う若い芸術家たちのためのサロンやギャラリーとしても機能していた。
港屋開店の挨拶状(夢二が書いた)
夢二がデザインした千代紙、グラフィックデザイナーとしてのセンスがあふれてる。ラウル・デュフィのテキスタイルデザインを見た時のような(作品そのものは違うんだけど)、ときめきを感じた。
展示されていなかったデザインだが、気に入ったので買ってしまった絵葉書:千代紙の【いちご】(美術展で実物を見ていない場合は買わない主義なのだけれど…)。
展覧会は続けて画集や表紙絵など出版された作品へと移る。時代は明治40年代から昭和の初めまでと長期にわたる。これがまた秀逸。様々な雑誌の表紙や挿絵などの仕事が並ぶ中で、わたしが「これ全部ほしい!」と思ったのが【セノオ楽譜】の表紙。展示されていたのは8点だったのだけれど、どれも歌の世界を表現しながら夢二なのだった。セノオ楽譜はいわゆる楽譜ピースの走りで、1000点くらいあるらしく、夢二は17年間にわたって200点以上の表紙絵を描いたとのこと。
そのうちの1枚
【婦人画報】【若草】【婦人グラフ】など女性向け雑誌の表紙に描かれた女性(洋装が多い)はいづれもさりげなく気品があって、読者として想定される女性たちがかくありたいと思うような一瞬が切り取られている。【それいゆ】の中原淳一とは違う世界だけど、どちらもニッポンのかわいい文化の基礎になっているんだろうな。
【雪の風】(婦人グラフ第一巻8号の表紙)
2025年3月7日(金)@あべのハルカスのハルカス美術館
友人3人と2月のうちに出かける予定だったが、2月はみな咳の風邪に悩まされ、気が付くと会期も終わりに近づいていた。
壁面に掲げられた大型パネル
竹下夢二と言えばわたしには和服の面長美人を描いた作品のイメージしかなく、西洋人の裸体や植物画は知らなかった。そもそも夢二の作品を年代を追ってきちんと観たことはなかった。今回は時系列で、多少は夢二の私生活についても知識を得ながらその仕事を鑑賞できて、竹久夢二という人がわたしの中で立体的に立ち上がっていくような気がした。
チラシ
片面:【アマリリス】新発見の幻の油彩画で、関西初公開
反対面:【西海岸の裸婦】夢二が2年ほど洋行している間に描いた油彩画
入場券
美術展では最近の流行にのっとって一部の絵は撮影OKになっている。撮影OKの作品は代表作ということなんだろうけれど、わたしなら違うのを選ぶのになという思いは常に付きまとう(鑑賞者のだれもが思うのだろう)。
ミュージアムショップではほしい絵ハガキがたくさんありすぎて選択に困った。和服の美人画以外に魅力的な作品がこれほど多数あるとは思っていなかったので。
展示はほぼ時系列で、大正時代から始まる。
【林檎】大正3年(1914年)
「夢二式美人」の初期代表作。さらっと描いてるように見えるのだけど、表情が可愛らしい。仕草も。みずみずしく清潔な色気を感じる。
【猫】大正2年(1913年)
和装美人と猫は相性が良いらしく、その組み合わせの絵は散見されたが、美人の引き立て役としてではなく2匹の猫が描かれたこの絵は猫好きには嬉しい。思わず撫でたくなる柔らかな毛並み。
2025年2月28日(金)@MOVIX京都
愛を耕す人(デンマーク、ドイツ、スウェーデン合作)
2025年2月22日(土)@アップリンク京都
2025年2月7日(金)@テアトル梅田
CROSSROADS クロスロード・ギター・フェスティバル2023(イギリス)
HIPGNOSIS ヒプノシス レコードジャケットの美学(イギリス)
レコードを衝動的にジャケ買いしたことのある世代の一員であるわたしにとって、この地味なチラシは磁石のようなものだ。【原子心母】や【聖なる館】のジャケットは印象的で一度見たら忘れがたい。それをデザインしたのがヒプノシスというアート集団だなんてことは、この映画を見るまで知らなかったし、興味もなかった。
ミュージシャンもアーティストもありあまった才能を持て余していたはちゃめちゃな時代(アメリカ的商業主義に毒される前のイギリスのサブカルが面白かった時代)、まだデジタル技術が登場していなかったから思いつく限りのとんでもないアイデアをひたすら手探りで実現していく秘話というか裏話というか、LPのサイズだからこそのジャケット文化を開花させた天才たちの物語、きっとまだまだネタはあるのだろうな。
2025年2月1日(土)@テアトル梅田
ブラザー 富都のふたり(マレーシア、台湾合作)
クアラルンプールの荒廃したスラムで身分証を待たないまま必死に日々を生き延びる兄弟の物語。兄弟といっても血のつながりはなく、兄は聾唖だ。兄を台湾の俳優、弟をマレーシアの俳優が演じている。これ以上は書くのがしんどい… ちらしには「二人の未来に暗い影が忍び寄る」と書いてあるが、もともと過酷だった兄の人生を、さらに身動きが取れなくしていくような周囲の状況、弟への複雑な愛情… 出口が見つからない。こうなるしかなかったのだと思う一方で、【ダンサー・イン・ザ・ダーク】を見た時のようなやりきれなさを感じる。あの映画のような怒りは感じないが、切なすぎる。兄を演じたウー・カンレンの声にならない叫びがいつまでもわたしの頭の中でこだまする。
【マレーシア・ボレ】で昼食を取り、長めの休憩をはさんで気持ちを立て直して、2本目の映画を見た。
映画を愛する君へ(フランス)
こちらはホッとする映画だった。映画へのオマージュというかフィルムでつないだ監督の自分史。監督アルノー・デプレシャンが自分の幼少期、学生時代、成人期に影響を受けた映画とともに、当時の風俗を主人公の物語に乗せて描く。50本以上の名作映画が映し出され、自分が映画館で観たときの状況がよみがえったりもした。これを作っている監督は幸せであったろう。幸せな映画。