草木染の毛糸屋さん -2ページ目

トゥールーズ・ロングステイ2023(17日目・その10)

2023年9月21日(木)  カルカッソンヌへ一泊旅行

土産物屋が並ぶ通りを抜けると、大きな井戸のある広場に出た。広場に面した店でミシンに向かっている男の人に声をかけられた。ひたすら怪しんでいたが、紙にわたしの名前をミシンで刺繍してプレゼントしてくれた。服を売っているようだったが、見ていけとも言わず、にこにこして刺繍した紙をくれたので、ほんとうは良い人だったのかもしれないとか暇つぶしだったのかもしれないなどと思った。その店の先に博物館があった。

 

異端審問博物館(Musée de l'inquisition)

入口でinquisitionという語を見ても、英語のinquireという単語が浮かぶくらいでピンと来ていなかった。素敵な石組みの博物館に見えたのだ。入ってみると、おぞましい、というか、怖気をふるうような展示の数々だった。inquisitionというのは異端審問を意味していたのだ。そして、審問とは名ばかりの「言いがかりをつけて、人を拷問でなぶり殺す行為」にすぎなかった。

上のパンフレットに掲載された椅子だって、内面にとげとげがみっしり取り付けられた拷問道具なのだ。

パンフレットによると、ここには12世紀からフランス革命までの責め具を集めた一大収集施設で、建物の石組みは17世紀に修復されたもの。標的とされた異端グループはカタリ派で、彼らを迫害し粛清することが目的だったという。カタリ派は10世紀に生まれ、フランス南部やイタリア北部に勢力を拡大、教会制度を否定したことからバチカンににらまれて異端とされ、ルイ9世の1229年に殲滅された。そのことに大いに貢献した道具たちが、この博物館に陳列されている。

暑い日だったが、冷気が背筋を這い上がるような気がした。

パンフレットから

建物は素敵なのに…

実は、ここの入館券で、すぐ近所にある【お化け屋敷】にも入れたのだが、その気力はわたしたちには残っていなかった。

無宗教というか、強いて言えば「多神教がいい(神様が800万いて何が悪い)」と思っているわたしには、なぜ自分と違う神や違う方法で神を信仰しているからといってそこまで残虐になれるのかがわからないし、なぜ殺されるとわかっていて殉じてしまうのかもわからない。わからないから、今世界で起こっている紛争や極端な女性差別の根底にある宗教観も理解できない。ただ、一神教はほんとうに人を幸せにするのか?という疑問が募るばかりだ。

京都府立植物園のバラ2024(前)

2024年5月27日(月) 

今年3回目のバラ園は京都府立植物園だ。今年は中之島のバラ園にはいかずじまいだった(モネ展のとき雨だったからね)。

友人ふたりと北山の隠れ家フレンチ(住宅街の隅っこにある小さなお店)でランチをいただいてから、バラを見に行ったのだった。

まずはランチを。店の名前は【L'ourson Qui Boit(ルルソンキボア)】(飲んでる子熊ちゃん)、子熊だから飲むは呑むじゃないよね?知らんけど。京野菜を使ったフレンチということだった。テーブル席が4つくらいの、アットホームな店でした。しかも満席。

ショップカードとメニューカードのイラストがとても可愛い。

テーブルにセットされていたお皿も可愛い。

前菜

スープ(エンドウ豆)

主菜(とろけそうなお肉!)

デザートとコーヒー

 

着いたときには降っていた雨が、出るときには止んでいた。それで、この天気なら植物園もすいているに違いないと、バラ園に行くことにしたのだった。

トゥールーズ・ロングステイ2023(17日目・その9)

2023年9月21日(木)  カルカッソンヌへ一泊旅行

あらためてナルボンヌ門

ナルボンヌ門をくぐる。城塞の内壁に作られた門なので、厚み(奥行き)がある。

城塞都市の全体像はドローンで空撮しないと無理なので、代わりに、観光案内所でもらったイラストマップを載せる。

壁の全長は3㎞、53個の塔を有する。

歴史遺産データベースというところに全体の空撮写真があったので、もらってきた。雰囲気はわかると思う。

トレゾー塔(Tour de Tréseau)

ナルボンヌ門をくぐって、すぐ右手の石段を上ったところにある。

Tréseauはオック語で宝物の意味、フランス語だとtrésor。

シテ側から見るファサードは高くて平ら、フランダース様式というのだそうだ。窓の造りが人の顔のようにも見える。壁の外側は、観光列車で一周した時に見た他の塔のように円筒形の胴体に円錐形の屋根が載った形。13世紀の建物だそうだ。

宝の塔の名にふさわしく市のアーカイブを保管しているが、以前は長い間ワインセラーだったという。

中には入れなかった。

 

ナルボンヌ門に戻り、街歩きを始める。シテ中が石造りの建造物であふれている。地面というものはないのかと思ってしまった。そして、観光名所か観光客相手の店かのどちらかで街中が満たされている。観光客相手の店も風情があるので、街歩きも楽しい。

忘れないうちに孫娘たちに出す絵葉書を買っておこうと土産物店に入った。ロマンチックなシテの夜景の絵葉書もある。まだ幼い彼女たちが怖がらないように、いかにもヨーロッパのお城という感じの絵葉書にした。そして、マグネット!! トゥールーズの【家】の冷蔵庫に貼ってあるマグネットもあった。青地に鎧の騎士が馬にまたがっているやつだ。

トゥールーズ・ロングステイ2023(17日目・その8)

2023年9月21日(木)  カルカッソンヌへ一泊旅行

観光列車(petit train)で城塞を一周(2)

コンタル城(Château Comtal)を過ぎたところで、観光列車はいったん城塞を離れる。離れた道の先に古い教会がある。サン・ギマー教会(Église Saint Gimer)だ。列車はその教会の脇を通って、ポン・ヴィューのたもとを経由して、レストランやカフェが並ぶ観光城下町を通って、ナルボンヌ門へ戻るのだ。わたしたちが観光城下町を歩いていたときには観光列車が通らなかったので、こういうルートとは知らなかった。

それはともかく、サン・ジメール教会(Église Saint Gimer)。
いきなり古びた建物が現れて驚いた。

この時点では学校なのか教会なのか病院なのかわからなかったが、角を曲がったあたりで教会らしさが現れた。

正面は、そのまま絵になりそうな木立に囲まれた教会だ。

これがサン・ジメール教会で、ヴィオレ・ル・デュック(Viollet le Duc)が設計した三つの教会のひとつ。築は新しく1849~1859年。彼が得意とするゴシック様式。

ここもカルカッソンヌの城塞都市としてユネスコの世界遺産に登録されているうちに含まれているらしいのだが、城塞の外だし、古そうに見えるだけで新しいよね、19世紀半ばだもの。世界遺産といっても欧州世界の価値観が反映されがちなシステムだから、恣意的なんだろうね。

目の前にポン・ヴィューが見えてきた。

ナルボンヌ門へ戻る。

列車を降りたところに咲いていた花。グーグルさんに聞いたら【ゼニアオイ】だという。

いよいよ城塞都市に入る。

トゥールーズ・ロングステイ2023(17日目・その7)

2023年9月21日(木)  カルカッソンヌへ一泊旅行

観光列車(petit train)で城塞を一周(1)

ナルボンヌ門の前から城塞を一周する観光列車が出ている。所要25分。ナルボンヌ門に着いたとき、ちょうど門前の乗り場に停まっていたので、まずは城塞を外壁から見物しようと決めた。客車は3両編成の可愛い電車で、各座席の前にヘッドホンガイドが備わっている。10か国語以上に対応していたと思う。日本語もあった。切符売り場はなく、直接客車の座席に座る。出発前に係りの人が現金を徴収していた。わたしたちは現金で払ったので、各種ペイにも対応していたかどうかはわからない。7ユーロ。列車そのものの写真を撮ってないことに後で気が付いた。乗っている写真ならば、ある。雰囲気はわかると思う。

ナルボンヌ門の前から出発。二つの支塔の赤いとんがり屋根が見える。ここから時計周りに城壁を一周する。

日本語のガイドがあるので、各塔や砦について詳しい解説も聞けるのだが、うんうんとその時に頷いているだけで覚えていない(困ったものだ)。

城壁が二重になっていることがよくわかる。

カルカソンヌは古くはトランカヴェル家の公国で、十字軍による包囲を受けて当主が降伏したことにより、1226年にカペー王朝のフランス王領に組み込まれた。城壁を二重にしたのはルイ9世で、スペインとの国境紛争の際に籠城によって戦争を回避する作戦だったという。この二重城壁はイングランド王家との百年戦争にも耐え、その後も戦火を受けることなく、その結果、21世紀のわたしたちは13世紀の城塞都市を間近で見学できる。

これはひときわ大きな(背の高い)支塔。その手前の壁と塔の下部が古い時代の石積みの姿を見せてくれている。塔の手前に外側城壁の入口がある。

城壁の上に並ぶ十字架、墓標かしら?説明があったはずだが、覚えていない。

南端近くは、外側城壁から塔ではなく半円形の見張り台が突き出している。見張り台の手前ににも入口があった。

壁面には黒ずんだレンガの層もあって、地層のようだ。崩れかけているところも。こういうところから築城法などがわかって学者は嬉しいに違いない。

南端部を回って、長い西側の壁面に入る。写真上部の黒い影は観光列車の屋根。

シテへの出入り口は2か所、ひとつは東側のナルボンヌ門、もうひとつは西側にあるオード門(Porte d’Aude)である。

オード門から出てくる観光客、その奥に見えるのがコンタル城(Château Comtal)だ。

壁面の巨大ブラシでこすったような円弧型の筋がなぜついたのかは、わたしには不明。

オード門のところで城塞の周囲の家並みを見下ろす。樹々の奥に見える街が新市街で、遠景の塔はサン・ヴァンサン教会(Église Saint Vincent)の塔。

そびえたつコンタル城、ここにも巨大ブラシのこすり痕がある。

さて、この後観光列車はいったん町中に出て、観光客が歩く道を走り抜けてナルボンヌ門前へ戻るのだ。

万博公園のバラ2024

2024年5月25日(土) 

今年はバラ園に3回行った。少し前にひらパーのバラ園の早朝散歩に行った記事を載せたけれど、これは2回目のバラ園。場所は万博公園。実は友人たちで万博公園でBBQをすることになり、その下見というか、予行練習をすることになって、BBQ経験者ふたりとBBQ未経験者ひとりで万博公園に行ったのだった。その帰り、バラ園に立ち寄った次第。

太陽の塔の後ろ姿が見える、たしかに万博公園だ!

 

トゥールーズ・ロングステイ2023(17日目・その6)

2023年9月21日(木)  カルカッソンヌへ一泊旅行

観光客の皆さんとともに観光城下町的にレストランが並ぶ通りを抜け、グスターヴ・ナドー通り(Rue Gustave Nadaud)へ入る。この道の先に城塞都市への入口ナルボンヌ門(Porte Narbonnaise)がある。

城塞都市を囲む壁とは反対側に、外壁に中世をイメージした壁画が描かれた気になる建物が現れた。表札にCité de Création(シテ・ド・クレアシオン)と書かれている。絵画や彫刻などの芸術作品を作っているセンターなのだろうか?

城塞が見えた

それからすぐ城塞が現れた。わたしたちが思い描くヨーロッパの中世のお城のイメージそのままの姿だ。円筒型の上に円錐形の屋根が載った砦、矩形波のようなぎざぎざの壁…

わたしたちが歩いてきた道と車で来る人たちのロータリー(すぐ近くに駐車場がある)、遠くに街並みが見える。

ナルボンヌ門はすぐそこだ。

ナルボンヌ門

1280年ごろ建てられた。二つの巨大な支塔 (下の写真)を備えている。フィリップ三世(勇敢王)の時代に都市が強化されたことを示している。当時は跳ね橋で、夜には鎖を張り巡らして封鎖していた。北の塔には深い水槽があり、南の塔には塩漬けの肉を保管していたというから、籠城に備えていたのだろう。

ユネスコの世界遺産に登録されたことを示すプレート。

曰く、「カルカッソンヌの歴史的城塞都市は、全人類の利益のために保護するべく、文化遺産および自然遺産を保護する国際協定の下で、世界遺産リストに登録された。1997年12月4日」

イタリア映画祭2021

2024年5月18日(土)~19日(日) 

今年もイタリア映画祭に行けた。箱根旅行と重なるのじゃないかと心配していたのだが、被らなくてラッキーだった。大阪で公開される 7本の内、今年も最終上映を除く5本を観た。5本がそれぞれ全く異なる趣向でありながら、さすがイタリア映画とうならせるだけの深みを備えている。他の国では撮れないだろう、と、毎回思うことを今年も思った。

初日の1本目は【潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断】、これは7月にロードショー公開されたから観た人もいると思うけれど、実話に基づくかっこいい映画。昨年のヴェネツィア国際映画祭のオープニング作品。

ロードショー用のチラシがおいてあった。

実話の重みと映画としての面白さを堪能した後で観る2本目はどうかと思ったが、【僕はキャプテン】という映画で、二人の青年がセネガルからサハラ砂漠を超えて地中海を渡る物語で、ファンタジックなシーンや残酷なシーン(多くはない)を交えながら、他人をカモにすることしか考えない大人たちに囲まれながら正直にひたむきに乗り越えていく。主人公の瞳が美しく、その演技が素晴らしかった。昨年のヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)受賞。

2日目は【人生の最初の日】、【まだ明日がある】【別の世界】の3本。タイトルから内容が想像できない3本。1本目は哲学だ、生とは死とはを考えさせる。2本目は暴力亭主に虐げられながら娘の幸せだけを願う主婦デリアに一通の封書が届き、彼女の人生を変えるという話。この封書が何なのかは映画の最後の最後にわかる。それは投票券(正確な名前はわからない)で、この時初めてイタリアで婦人参政権が与えられたのだった。ラストシーン、投票所から出てきたデリアを、投票所の階段の下からにらみつける夫、デリアをかばうように囲む女たちの意志的な瞳… 忘れがたい。3本目は北イタリアの雪深い奥地の物語、これが一番ベタというか展開もわかりやすくて気楽に観れる。地元の村人たちが多く参加していて、朝ドラっぽい雰囲気もある。

2日目の2本目のとき、たまたま隣に座ったのがイタリア人女性ふたり組で、イタリア語の先生たちだった。イタリア語講座の課題にしていたのか、生徒さんたちも来ていた。座る時に目が合ったのでBuon giornoと挨拶。上映後も目が会ったのでEra buono e interessanteというと、Si, buonissimoと応えてくれた。

ところで、2日目の朝、京橋のPain Karatoというカフェで豪華朝食をいただいた。席数が少ないためか、1時間くらいは平気で並ぶ店なので、映画の上映開始時間をにらみながらではあったけれど、この日は朝雨模様だったためか食べることができた。実は前の日は時間切れで断念していたのだった。

トゥールーズ・ロングステイ2023(17日目・その5)

2023年9月21日(木)  カルカッソンヌへ一泊旅行

シテヘ

ポン・ヌフというのは訳せば新橋になり、その先は国道で郊外へと延びる。観光バスなどはこちらからシテの駐車場に入る。それに対して古橋を意味するポン・ヴィュー(Pont Vieux)があり、これを渡るのが19世紀まで新市街とシテを結ぶ唯一のルートだった。今でも徒歩の観光客はこの道を行く。

ガンベッタ広場からポン・ヴィュー通り(Rue du Pont Vieux)ヘ

観光客が通り抜けるだけだからか、書割のような不思議な雰囲気。ポン・ヴィュー通りがジョルジュ・ブラッサンス通り( Rue George Brassens)と交わって道幅が広がると視界が開け、すぐ先にオード川が現れる。

何の建物かはわかならいけれど、古そうだ。

目の前の石橋がポン・ヴィュー

オード川の岸から見たポン・ヴィュー

橋のたもとから見たオード川

橋の真ん中に見晴台みたいなスペースが飛び出している。

そこから、ポン・ヌフを見る。左に移る建物は四つ星ホテル。

反対側も見る。オード川は橋のそばで本流から支流というか疎水のような細い流れに分かれる。本流と支流の間は緑地や公園、養蜂場や牧場になっている。これは支流。

 

ポン・ヴィューを渡ったらすぐに中世の城塞都市がお出迎えなのかと思ったら、それは甘い考え。レストランやカフェが並ぶ通りを歩きすぎなければならない。城塞は見えないが、観光客がどっと増えるので後をついていくだけだ。

2024年8月と9月のニットカフェ

ようやくお盆が終わり、日常が戻ってまいりました。

ふとカレンダーを見たら、明後日がニットカフェだったので驚きました。

なんという体たらくでしょう。

 

8月21日(水)午後1時から

   @サンマルクカフェ(枚方駅前)

 

8月は予定通りニットカフェを行います。

9月はどうしても外せない家族の用事が重なってしまい、ニットカフェはお休みします。

 

急な連絡になりましたが、明後日ご都合がつく方はぜひサンマルクカフェにいらしてくださいませ。お盆疲れの慰労会になればと思います。