Richie Beirach(リッチー・バイラーク)は,1947年生まれのアメリカのジャズ・ピアニストです。

幼い頃より,クラシックとジャズのピアノを学び,デビュー当時から現在までに同じくアメリカのサックス奏者であるDavid Liebman(デイヴ・リーブマン)と継続して多数のアルバムを発表しています。


他の奏者やソロでの作品も多く,彼のリーダー作やサイドマンとしての作品を合わせると70枚前後の作品となるでしょうか。


どのアルバムでも(すべてを聴いているわけではありませんが),彼の演奏は大きく変わることなく常に美しい演奏を聴かせてくれます。


そんな中でも,ECMレーベルに残した初期の3枚1974年のトリオによる「Eon」,1977年のピアノ・ソロ「Hubris」,1979年のトリオによる「Elm」,中でも後者2枚のアルバムは,彼の代表作となっています。


私がリアルタイムで聴けたのは,1979年のベースにGeorge Mraz(ジョージ・ムラーツ),ドラムにJack Dejohnette(ジャック・デジョネット)を迎えた「Elm(エルム)」でした。


ECMレーベルの音はハズレがないものですが,特にこのアルバムは,こんなにもアコースティック楽器の音はきれいに録れる物なんだと,素人の耳でも感心させてくれるものです。


その音の良さは,もちろん3人の奏者がそれだけ良い音を実際に出しているということでしょう。


研ぎ澄まされたような硬質な美。


このアルバムで聴ける彼らの演奏を言い表すなら,これ以上の言葉は浮かびません。


どの曲も,計算され尽くしたように極限まで抑制された音数で,時には淡々と,時には激しく3人がぶつかり合っています。


アルバム全曲をご紹介したいところですが,今日は特にリッチー・バイラークの哀しいほどに優しいメロディーが聴けるアルバム・タイトル曲「Elm」をお聴き下さい。

 

 


と,1曲で終わろうと思ったのですが,哀しいほどに優しいなんて表現をしたら,やっぱりこの曲もどうしても外せないかな。

ということで,77年のソロ・アルバム「Hubris」より,「Sunday Song」をお聴き下さい。