Tord Gustavsen(トルド・グスタフセン)は,1970年ノルウェーに生まれたジャズピアニストです。
2003年にECMレーベルから,自身のピアノ・トリオで1stアルバム「Changing Places(チェンジング・プレイセズ)」を発表してから,トリオやカルテット,宗教音楽等,多彩な音楽活動をしています。
彼のピアノは,ECMからアルバムを出しているというだけで音の想像はつくと思いますが,加えて北欧系というだけでこれも想像がつく澄んだ音色,そして抑制のよく効いた叙情的な音の流れに,心が洗い流されるような感銘を受けさせてくれます。
ポスト・キース・ジャレットという声も聞きますが,そこで評価されては彼がかわいそうです。
確かにキースのような叙情性を感じる部分はありますが,それはキースのほんの一面でしかありません。
トルドはトルドでしか出せない表現力があり,音楽性の幅があります。
キースの,というより,むしろECMの音であり,求められる表現というべきなのかと思います。
と,急に勝手な話で熱くなってしまいました。
今日は,まず,Siri Gjære(なんて読むんだろう。。。)というノルウェーのジャズ・ボーカリストと”Aire & Angels”という名義で作ったアルバムの2作目,2002年発表の 「Aire & Angels II」から1曲「Treasure」をお聴き下さい。トルドの歌伴のうまさが光ります。
次に,トリオでの演奏から「Still There」。タイトルに見合った抑制のとれた中にも悲哀を感じさせる表現力がたまりません。
最後に彼のトリオ+1で,Tord Gustavsen Ensemble名義での演奏から「On Every Corner」を。バックの二人の,テーマやソロの内容に寄り添う音の選び方にセンスの良さを感じさせます。