Keith Jarrett(キース・ジャレット)が好きで好きで,キースが音を出したという,あらゆる音源を集めようと凝っていた時期があります。
もちろん公式に残した音源でなんですけど。
さすがにブート盤までは枚数が多すぎて途中で諦めました。
だって,毎月のように新たな音源が何枚も出てくるんですもの(T^T)
マイルスでも懲りてるし(^^ゞ
そんな公式音源の中で,キースが歌物の伴奏をした音源って,すごく少ないんです。
1970年録音の Barbara & Ernie によるアルバム Prelude to...で1曲。
1971年録音の Marion Williams によるアルバム Standing Here Wondering WhichWay To Go で5曲。
1971年録音の Donal Leace によるアルバム Donal Leace で7曲。
そして,今日紹介するアルバムで2曲。
あ,そういえばリーダー作で,キースが自分で歌ってるのもありました!
歌以外もストリングス以外全て自分で演奏した,Restoration Ruin(レストレーション・ルーイン)というアルバムが1968年に出されています。
キースは,1945年に5人兄弟の長男として生まれましたが,兄弟のうち,3人が音楽活動をしています。
弟の一人,Chris Jarrett(クリス・ジャレット)もキースのようにジャズの枠にとどまらないピアニストとしてアルバムを発表しています。
そして,今日は,もう一人の弟,シンガー・ソング・ライターやプロデューサーとして活躍(?)するScott Jarret(スコット・ジャレット)のアルバムからの紹介です。
スコットは,長いキャリアにもかかわらず,アルバムはこれまで3枚だけ。
1980年に発表した,Without Rhyme Or Reason,
2006年に発表した,The Gift Of Thirst,
2009年に発表した,Apercu,
の3枚です。
後ろの2枚はほとんど話題になってませんね。
1枚目の Without Rhyme Or Reason は,とても良質のAORなのですが,残念ながら知名度が低いせいか,CDが再発されても販売枚数が少なく,いつも高値がついているようです。
他の2枚も似たようなものですが。
Without Rhyme Or Reason は,1980年に当時のGRPレコードから発売されました。
GRPレコードとは,Dave Grucin(デイヴ・グルーシン)とLarry Rosen(ラリー・ローゼン)が立ち上げたレーベルで,70年代後半から80年代前半までBob Jamesが立ち上げた Tappan Zee Records(タッパンジー・レコード)と当時のフュージョン界を二分するくらいの勢いがあったレーベルです。
そこから出されたアルバムなので悪くなるはずがない^^
Michael Franks(マイケル・フランクス)を思わせるようなけだるい,しかし,より艶やかで透明感のあるボーカルのバックを固めるのは,当時のGRPレコードのお抱えミュージシャン達。
フォークあり,ファンクあり,R&Bありと,それだけ聞くと散漫な感じに見えますが,スコットの歌とギターが全体の印象をマイルドな感じに包み込み,いかにも当時のAORを代表するような音に仕上がっています。
そして,そのアルバムの2曲に参加するお兄さんのキースのピアノがなんともいい感じ。
に聞こえるのはキース贔屓だから?
スコットのボーカルを盛り立てるように寄り添って弾いているのですが,音圧のあるサックスのバックだとこのくらい弾いてくれると存在感を出せるけど,スコットの儚げなボーカルだと,ちょっぴりキースの方が目立っちゃうのはご愛敬。
どちらにしても,兄弟の共演はこの2曲だけ。
キースがいなくても素敵なアルバムなんだけど,キースがいるというだけでも聴き応えがあるアルバムです。
それでは,そのキースが参加した2曲を。
スコット・ジャレットのWithout Rhyme Or Reasonから,Never My Faultと Pictures をお聴き下さい。