1978年,当時としてはまだ,多忙な時期を迎えてはいなかったメンバー。

しかし,後に考えると,とんでもないメンツによるライブが日本で行われました。


日本のキーボード・プレイヤー深町純が1978年,ニューヨークに渡って制作,発表したアルバム On The Moveでの共演がきっかけで実現したライブです。


深町純は,1948年生まれ,3歳でピアノを始め,東京芸大を卒業直前に中退。劇団四季の「白痴」の音楽を担当したことがきっかけで音楽業界に入り,1971年に「ある若者の肖像」でレコード・デビュー。

以降は,作曲家として,フュージョン界でのキーボード奏者として活動しますが,2010年に亡くなっています。


さてさて,そのライブ・アルバムのタイトルはずばり,


『深町純& The New York All Stars Live』


と,名前通り,当時のそしてこれ以降のフュージョン界を代表し,リードする若手NYミュージシャンが集ったライブです。

フュージョン界はもちろん,AORの名盤の数々にもしょっちゅうクレジットされるミュージシャン達。

そのメンバーとは,

Jun Fukamachi (Keyboard):深町純
Randy Brecker (Trumpet):ランディ・ブレッカー
David Sanborn (Alto Sax):デヴィッド・サンボーン
Michael Brecker (Tenor Sax):マイケル・ブレッカー
Steve Khan (Electric Guitar):スティーブ・カーン
Richard Tee (Acoustic Piano , Keyboard):リチャード・ティー
Anthony Jackson (Electric Bass):アンソニー・ジャクソン
Steve Gadd (Drums):スティーヴ・ガッド
Mike Mainieri (Vibraphon & Percussion):マイク・マイニエリ


そして,収録曲は,

01. Rocks(Randy Brecker ) (6:44)
02. Sara Smile(Hall & Oates) (12:18)
03. Virginia Sunday(Richard Tee) (4:45)
04. Inside Out(Randy Brecker) (6:00)
05. I'm Sorry(Mike Mainieri) (10:50)
06. Dance Of Paranoia Op.2(Jun Fukamachi) (8:49)
07. Gypsy Jello(Richard Tee) (5:58)
08. Jack Knife(Randy Brecker) (5:33)
09. Love Play(Mike Mainieri) (15:31)

となっています。( )内は,作曲者と演奏時間です。


よくもまぁ,こんなメンバーが一緒にライブをしたものです。


その演奏はと言うと,それぞれのメンバーが持ち寄った馴染みの曲といっても,よくもまぁこの一度きり(二日あったのですが^^)のライブでこうも一糸乱れずのアンサンブルを含めた演奏ができるものだなというものです。

そして,各メンバーのソロが,めちゃくちゃ熱い!


それぞれに,この曲でのベストなソロじゃないかってくらい素晴らしいソロが聴けます。

もう,スタジオ・バージョンはつまらなくなってしまうくらい。


それでは,アルバムのオープニング,Rocks(ロックス)の爽快な演奏をお聴き下さい。

 



先日のSaraの記事を読んでいただいた方は,もうお気づきのことと思いますが,ここでも,ホール&オーツのサラ・スマイルが演奏されています。


マイクのアルバムと同じで,ブレッカー兄弟はお休みで,ここでもデヴィッド・サンボーンの出番。


彼はこの曲が好きで,ライブでよく演奏しているようですが,ここでのアルト・サックス・ソロは,彼のベスト・プレイとも言えるものではないでしょうか。それはそれは感動ものなのです。

マイクのソロも美しい。

言葉では表現しきれないこの感動は,ちょっと長いけどぜひ音を聴いて確認してください。

 

 



この音を聴いて気に入っていただけた方は,ぜひ他の音源も聴いてみてくださいね。

フュージョン界の歴史の中で,絶対に落とせない大傑作アルバムです。

って,褒め言葉がしつこいですかね^^;

最後に,どうしても,ここで紹介しておきたいのが,アルバム最後の収録曲,マイクのアルバム・タイトルで,同作にも収録されていた Love Play(ラヴ・プレイ)。

管楽器はお休み。

ここでの圧巻は,川口千里の紹介記事でも取り上げた,スティーヴ・ガッドの歌心あふれるドラム・ソロです。

ソロ前半は,タメをたっぷり使って音の空間を楽しむかのような入り方。

しっかりと,この曲のメロディーが聞こえてくるようです。

そして後半の怒濤の盛り上がり。

ソロだけでなく,曲全体でのバッキング,特に終盤の演奏に,彼のすごさのすべてが表れているようです。

もちろん他のメンバーもいい演奏なんですけど^^;