(弥生時代後期)

☆ 鴨都波遺跡

(かもつばいせき)

大和国葛上郡

奈良県御所市三室・御所宮前町小字掖上

(済生会御所病院は有料Pのみ、鴨都波神社はP有り)

葛城山麓東部の微丘陵地帯の東端に栄えた大規模集落跡。｢大和葛城山｣を源流とする｢柳田川｣が｢葛城川｣に合流する地点に面しています。

◎時代は弥生時代前期から中期・後期、古墳時代前期に至り、各々の時代の大量の遺物が出土しています。

◎大まかな範囲は、遺跡としては現在の済生会病院の敷地を中心に、鴨都波神社境内、県立青翔高校の北側辺りにまで及ぶ拠点的大集落。およそ南北400m東西300mほど。唐古・鍵遺跡に匹敵する規模。

◎鴨都波神社境内には発掘調査が及ばないため、実際のところはこちらが本当の中心地でしょうか。

現在は済生会御所病院が建ってしまい、往時の様子を描くことのできるのは鴨都波神社境内のみとなっています。

◎高床式建物と見られる柱列、竪穴住居跡、環濠と見られる大溝、柵列等が発見。石器・木器・土器等が大量に出土しています。

◎弥生前期には｢松菊里住居(ソングンニじゅうきょ)｣が見られます。これは朝鮮半島の円形の竪穴住居の一種で、無文土器時代(青銅器時代)のもの。住居中央部に両側に2本の柱穴が付随した土壙を伴います。

同じく前期の｢紀伊型甕｣が出土。紀伊で多く見られる甕。中期には見られなくなります。

◎土器については、前期は九州北部の｢遠賀川式土器｣に似たものが出土。ヘラ描き直線文を主体としたもの。

中期は直線文を中心に流水文、扇形文、廉状文等を伴う飾るものへと変化。大型化が進みました。

後期になると簡素化、小型化され、飾らないものも出てきました。

◎南西端の小丘陵には弥生末期と思われる孝昭天皇治定墓があります。ただし未調査であるため古墳であるのかどうかも不明、また孝昭天皇は欠史八代の一代。

◎古墳時代については鴨都波1号墳(一辺20mほどの方墳、前期中葉頃)があり(済生会病院建設により消滅)、三角縁神獣鏡等が出土(後ほど別記事にてUP)。また西端の小丘陵｢山本山｣には中期頃の巨大古墳があった可能性が考えられます。

■｢山本山｣について

鴨都波遺跡からは朝顔形円筒埴輪を棺として再利用したものが出土しました。これは遺跡の西端の小丘陵、｢山本山｣にあった可能性のある古墳のものだったのではないかという意見があるようです。埴輪棺は鴨都波1号墳より古い時代のものとみられています。

学芸員から直接伺ったなかでは、現在は｢山本山｣頂に貯水タンクが設けられ、また発掘調査も行われていないため詳細は不明。ただし多量の金属片が見受けられ、古墳があった可能性があるとのこと。

｢山本山｣をGoogle Mapの航空写真で見る限り、全長150mクラスの前方後円墳らしき跡形のようにも見えなくもないといったところ。つまり｢山本山｣そのものが古墳の墳丘ではないかと。

それを学芸員に問いかけてみたところ、それが裏付けできる発見は未だないとのこと。ただし否定はできないとも。

仮に丘陵が前方後円墳であるとすると、大和国葛上郡(概ね現在の御所市)では葛城襲津彦の墳墓と思われる室宮山古墳(全長238mの前方後円墳)に次ぐもの。もしそうだと仮定するなら地理的にみても葛城氏の首長墓でしょう。

遺跡の上に済生会御所病院が建ってしまい、今は見る影もありません。

弥生前期の土器

弥生中期の土器

弥生後期の土器は冒頭写真にて。

断面を剥ぎ取った実物

以下は｢山本山｣について。済生会御所病院の北側から撮影。

済生会御所病院の南側から見た｢山本山｣。

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☆史跡☆ 鴨都波遺跡