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ZEL's:写真とジオラマとプラネタリウム

趣味は写真、プラネタリウム巡り、科学施設巡り、ジオラマ初心者、フィギュアスケート観戦、かつてはゲーム音楽の作曲も。
2021/8月にこのブログを開設。

J-PARCのつづき。

今回は右の大きなピンクのおむすび。メインリング(MR)です。

 

 

小さなオレンジのおむすび RCSから来た陽子ビームを、さらにメインリングで光速の99.95%まで加速してニュートリノ実験施設やハドロン実験施設に送ります。

 

こちらも地下10mへ下ります。

 

 

 

RCSと同様の電磁石が並びます。

 

 

 

青いのが偏向電磁石、黄色が四極電磁石。こちらも日立製。

 

 

 

さて、よく見ると「50GeV」と書いてあります。

今はメインリングは 30GeVシンクロトロンと呼ばれていますが、2009年は違いました。50GeVシンクロトロンでした。

その後、50GeVではなく30GeVでよいことになり、名称が変わったようです。

 


加速器の心臓部とは、高周波加速装置のことを指します。

RCSと同じく、加速している本体はこれなんですね。

 

 

左の銀色の冷蔵庫のような箱が真空管増幅器、その右にある銀色の筒状の装置が加速空洞。東芝製。これもRCSと同様ですね。

 

 

これは陽子ビームが通る真空のパイプの中でしょうか?

 

 

ここは出射セクションですが、これはキッカー電磁石でしょうか?

陽子ビームの角度を曲げるもの。

 

 

こちらはセプタム電磁石。これもビームを曲げます。

こちらは三菱電機製。

 

 

 

出射セクションにはこのようなハシゴと陸橋が用意してあり、上から見ることができました。

 

 

上から見た景色がこちら。迫力があります。

このように3方向に分かれるのがよくわかります。

 

 

行き先は、左からニュートリノ実験施設、真ん中がメインリングの周回。一番右がダンプと呼ばれる、不要な陽子を捨てるための分岐です。

 

 

ニュートリノ実験施設へ行くルートは「速い取り出し」。

もう1つ「遅い取り出し」というルートがあります。ハドロン実験施設へ行くルートです。

 

 

遅い取り出しでは、陽子の塊(バンチというそうです)に強力な電場を掛け、陽子ビームを横に太らせます。

その横に太ったものの一部が装置の中のタングステンや銅の壁を越えて、カンナのように削りだされて分岐していくそうです。

 

陽子の1つのバンチは長さ50mほどあるそうです。私の想像では陽子1~2個を加速しているのかと思っていたので、全然違いました。なんか本当に塊っぽいものが真空パイプの中を飛んでいるんですね・・・不思議です。

 

メインリングは、加速器のメイン。しかも一周1567.5mあり、規模が大きいです。

ただ大きすぎるゆえに見学で全部を見ることはできません。

技術的なことがわからないと、ちょっと地味な感じがしました。

このブログを書くためにJ-PARCの説明をいろいろ読みましたが、紹介動画なども研究者の自作が多く、面白かったです。説明を読んでから見学に行くとまたよいなと思いました。

(つづく)

 

<訪問日:2009年8月>

J-PARCのつづき。

今回は真ん中のオレンジ色のおむすび、「3GeVシンクロトロン RCS」です。

RCS=Rapid-Cycling Synchrotron だそうです。一周 350m。

 

 

リニアックからの陽子ビームを 3 GeV(3ギガ・エレクトロン・ボルトですが、「さんじぇぶ」と読むそうです)まで加速。光速の97%。加速に要する時間は 0.02秒。

 

RCS も地下にあります。

通路が折れ曲がっているのはわざとで、何か事故が起こった際に外部に直接漏れ出さないようにとのこと(陽子ビーム?)。

 

 

 

 

さあ、いかにもなヤツです。

加速器!って感じの装置が並んでいます。

この赤、黄、青は電磁石です。

これで陽子がおむすびの円周をうまくぐるぐる回るようにするため、のようです。

 

 

赤色は四極電磁石。

黄色は六極電磁石。

青色は偏向電磁石。いずれも日立製。

しかしこのガンダムのようなカラフルな配色は何を意味しているのでしょうか。

研究者の趣味なんでしょうか?

 

 

 

わかりにくいですが、ここがリニアックから来た陽子が合流する入射部。

天井を見てもらうと、写真中央部にもう1つ通路が見えます。

 

 

これがRCS全体を示していて、入射部は Injection sectionです。

 

 

入射してきた負水素イオンは、電子を2個はぎ取って陽子に変換します(荷電変換)。

荷電変換できなかった負水素イオンを捨てるための入射ダンプが、たぶんこの写真の中央やや左・・・だと思います。

 

 

これは高周波加速装置と呼ばれるもので、この金属の箱が真空管増幅器。

その奥に少し見える筒状のものが加速空洞。

つまり、これが陽子を加速させるための装置本体なのでしょうか。

東芝製。

 

 

こちらはキッカー電磁石。

円周をぐるぐる回るだけでは陽子ビームを外に出せないので、鉄道のポイント切り替えのように、タイミングを見てこの電磁石でキックするようです。出力段にあります。

 

 

出射セクションへ向かう分岐。

 

 

わかりづらいですが、これが出射セクション。

3方向に分かれていて、一番左が物質生命科学実験施設行き、真ん中がMR(メインリング)行き、一番右がRCS内をぐるぐる回るルート。

 

 

正直、J-PARCの中でもこのRCSが加速器として一番見ごたえがあると思います。

電磁石の巨大なコイルがむき出しになっているメカメカしさが良い。

 

 

(つづく)

 

<訪問日:2009年8月>

J-PARCの続きの予定でしたが、今回は割り込みで。

 

話題の「紫金山・アトラス彗星」、ずっと天候が悪く撮れませんでした。

今日(10/20)ようやく晴れて、ラストチャンスと思って撮影。

 

データ:Nikon D3 + AiAF Nikkor 50mmf/1.8D、ISO1600、f2、13秒

(トリミングあり)

 

西の空が開けているところを探して行ってみると、先客が。

みなさん彗星を見に来たようでした。

しかし・・・

肝心の彗星が見えません!

予測ではへびつかい座付近にいるはずなのですが、何も見えず。

この日、3等星ぐらいになっていました。

今まで彗星を見たことがないので、尾が見えるはずと思い込んでいました。

でも、本体(コア)が3等じゃ、尾はもっと暗いですよね。見えないのも当然。

 

とりあえず、それらしき方向にカメラを向けて撮影。

背面液晶で確認してみると・・・おー、確かに尾のある星が!

しかしやはり肉眼ではさっぱり見えません。

仕方なく、液晶画面で確認しながら、位置や露出を調整。

デジカメだから撮れた写真です。

 

肉眼で見られなかったのは残念ですが、でも彗星を初めて写真に残せたのは満足です。

ありがとう紫金山・アトラス彗星!