狙いを定めたお魚さんを必ず仕留め得る、唯一無二の方法があります。それは、「絶対に諦めないこと」。しつこく、粘っこく、諦めず、釣れるまで釣ること。

 開高健さんは、釣りの妙諦は、「運根勘」の「ン」尽くしだとおっしゃっていますが、それに加えて「信」「念」「忍」「辛」「粘」の「ン」も加えたいものです。釣れると信じて、食ってこいと念じて、忍の一字で、ヒットの瞬間まで辛抱して、粘り抜く。本当に、ン尽くし。

 4回連続坊主の後、安和で寒グレと寒黒鯛(チヌ)を狙って、コモンフグ1匹の大貧果。須崎港奥では、15㌢のチンチン(チヌの幼魚)とニロギ(ヒイラギ)5匹。堤防外向き角でニロギを泳がせて、スズキを狙うもノーヒット。

 


 上ノ加江白灯台前に立て網が張られたことが2度あり、せっかく20㎞走りましたが泣く泣くUターン。1度は久礼新港でサビキ釣りで活きエサすらよう釣らず、もう1度は須崎魚市場前で、ゲンナイ(クロホシイシモチ)1匹でスズキ釣りに湾奥にいくことすら叶わず。

 合計8回連続坊主の大不振、坊主海道まっしぐらとなりました。ブログには、釣れた時のことだけ誇大広告的にお披露目するので、毎度毎度好漁のような印象を与えかねませんが、現実はこれほどまでに厳しいものがあるのです。

 こうなれば、どこまで坊主の回数を伸ばせられるかとやけっぱち気味になって、上ノ加江に舞い戻ると、堤防下のブロック群には人っ子一人いません。ブリやメジロが回遊しているので、ルアーマンがよく見えるのですが、今日はみなさん平日でお仕事なのでしょうね。

 


 釣り座に立つと、久しぶりに海面下でキラキラ輝くイワシの稚魚が見えました。これはラッキー。釣れるかもしれんという期待が高まります。呑ませ釣りで狙う場合、ベイトの小魚の存在が釣果を左右するのです。

 


 釣り開始から40分。第六感通り、ファーストヒットです。ウキが沈めば、99%本命のヒラスズキ。今シーズンは、ヒラ以外では、メジロ(ブリの若魚)しか釣っていません。これもヒラスズキだと思うのですが、2週間の間ファイトしていないため、左腕がすっかり鈍(なま)ってしまって、向こうに主導権を握られて、沖に向かって走りまくられます。ひょっとして、メジロ?

 ふた走りした後、ぬわーと上がってきて海面を割り、バシャと跳ねて首を振ります。やっぱり、ヒラスズキでした。稽古不足だとこんなことになってしまうんですね。大事な1枚なので、慎重にやり取りしますが、練習が足りていないともたもたして、ブロックの方に持ち込まれて、危うくハリスを切られるところでした。危ない、危ない。

 

 


 てんやわんやのファイトの末、やっとこさタモ入れに成功。ホッとしましたね。「抜けないトンネルは無い」「止まない雨は無い」「明けない夜は無い」、色んな言葉が頭に浮かびます。

 To be continued(=続く)