[はじめに]

    「どこでもGo」を普及させる会代表 岡村晴朗

 

 

囲碁の聖地である 日本棋院関西棋院プロ棋士 の皆様

並びに 日本福祉囲碁協会 から推薦していただいた

この携帯型碁盤 「どこでもGo」 は、その名の通り

どこででも誰とでも囲碁を楽しむことができる

ユニバーサルデザインの碁盤です。

 

もちろん碁石が見えないまたは見えにくい私たちでも対局できる碁盤です。

これを機に、広く視覚障害のことを知っていただきたいという思いで、

10回に渡ってエッセーを掲載することにしました。

最後まで読んでいただけたら幸いです。

 

「視覚障害」 と聞くと、

多くの皆さんはおそらくまったく見えない人を

思い浮かべるのではないでしょうか?

視覚障害は、

まったく見えないあるいはほとんど見えない 全盲 と、

ある程度見えている 弱視 の二つに分けることができます。

一般的には、全盲のことを 「ブラインド」

弱視のことを 「ロービジョン」 と言います。

以下、ここではこの言葉で統一させていただきます。

実は視覚障害者の大多数はロービジョンです。

その見え方は 視力が弱い だけでなく、視野が狭かったり

色が分かりにくかったり明るさに影響されたりと

人によって見え方は様々ですので、

それを知ることはかなり大変なことです。

ましてやまったく見えない方のことを理解するのは

さらに難しいことです。

 

とは言え、このエッセーをお読みになって、

少しでも私たち視覚障害者の立場に立っていただけるだけでも

ありがたいことです。

 

まずは簡単ですが、

私自身の見え方などを紹介させていただきます。

私は生まれつきの ロービジョン でした。

子供の頃は漫画雑誌も好きでしたし、

若いころは自転車も乗り回していました。

しかし視野がかなり狭く、

夜盲症でしたので夜になるとまったく見えない状態でした。

青年期までの視力は0.1くらいでしたが、

それ以降は徐々に視力が下がりだし、

現在は明るさを感じる程度の ブラインド です。

使用文字は、ちょっとしたトラブルで小学3年生から

点字に切り替えざるを得ませんでした。

その後、卒業するまで点字を使っていましたが、

進路の関係で必要に迫られ、普通文字を独学することになりました。

なお、このエッセーは、

私自身の見え方に伴う体験談と、

平成元年から視覚障害教育に携わってきた実践を踏まえて

書かせていただきました。

 

   〈コンテンツ〉

 1 [私たちと接する際に]

 2 [日常的に気をつけていただきたいこと]

 3 [ロービジョンの人の見え方は?]

 4 [夜盲症の人って、夜は何も見えないの?]

 5 [点字があったからこそ!]

 6 [音声ガイドで広がる世界]

 7 [あらゆる困難を乗り越えて]

 8 [私たちをどこかで見かけたら?(Q&A)]

 9 [駅ホームからの転落事故]

10 [あきらめていた趣味が30年ぶりに復活]