この碁盤が普及し始めたのは10年ほど前のことです。


「碁盤に碁石を置くなんて絶対にできるはずがない」

と思われていた視覚障害の人たちも、
視力低下のために囲碁をあきらめざるを得なかった人たちも、
この碁盤の存在によって囲碁を打つことができるようになったのです。


とは言っても、この碁盤にも改善すべき点がいくつか見えてきました。


①この碁盤は二つに折りたためますが、

 それでもかさ張るので持ち運びが大変なこと


②縦の中央のラインにある碁石が外れやすいこと


③1万2600円と販売価格が高いこと

 

などです。


そこで考え出されたのが、今回の携帯型の碁盤です。


この碁盤は、パズルのように4枚のピースを組み合わせれば、

42センチ四方の19路の碁盤になるというものです。


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それでは、この携帯型の碁盤が誕生するまでの経過

書かせていただきます。

 


4年ほど前のことでしょうか?

私が、初めてブラインド用の9路盤を手にした時のことです。


「とても使いやすく、何て軽い碁盤だろう!」と、
それはいい意味での衝撃であり、

心から感動したものです。

このブラインド用の9路盤を発案し、製作してくださったのは、
大磯在住の囲碁ボランティア、山口晴夫さん
協力していただいたのが神奈川大学の皆さんでした。

 


私は、早速山口さんにお会いし、感謝の気持ちを伝えると共に、
厚かましくも、9路盤の要望を伝えました。


それは第1線をすっきりさせるというものです。
さらに、これと同じ素材で、ぜひとも13路盤を作っていただけないか

お願いしたのです。


もちろん、どちらの願いも快く聞き入れていただきました。
試作品は、何人ものブラインドの皆さんにも使ってもらい、
とても打ちやすい13路盤が完成したのですキラキラ


私の望みは、これだけではとどまりませんでした。


「もしかしてこの9路盤のようなものを、

  4枚パズルのように組み合わせれば、
    19路の碁盤ができるのでは…?」

 

というアイディアが浮かんだのです。

 


この突飛な考えにも対応していただきました。
もちろん、ここに至るまで、何度も打合せをしました。


山口さんには大磯から東京まで来ていただいたり、
私が大磯まで伺ったりもしました。

 

組み合わせ部分をどうするのか、

ラインの太さはどうかなど、

0,1ミリ単位で調整してもらいました。

 


これが完成した時は、多くの皆さんから喜ばれ、注文が相次ぎました拍手

 

それでは、ここから山口晴夫さんから作成の様子をご説明いただきます。

 

 

 

****** 山口晴夫さんより ******

 


ブラインド囲碁入門者用9路盤作成の様子を説明します。

材料は、厚さ2.5mmのMDFと言われる木の粉と樹脂を混ぜたものを使用します。
近くのホームセンターで購入します。


 

縦横の線はレーザーカッターで加工します。

 

20mm x20mmの正方形を64個切り抜き、更に外側を切り抜きます。

下の写真は9路盤2枚を加工しているときのものです。

 

 

動画はこちらのリンクから見てください。



加工した格子に木工用のボンドを塗ります。

 


20cm x 20cmの台板に貼り付けて、はみ出したボンドを削り落として、完成品です。

 

 

 

(つづく)