小学生のころ陸上クラブに通っていた。
そこにいた元田コーチという人の教え方がいかにも昔ながらの指導法だった。
腹筋100回という「ただのスパルタじゃん」的な練習メニューがあり
そろそろ限界だと感じながら100回目の腹筋を終え背中を付けようとすると
「そこでとまれー!」と叫び声。
御存じのとおり、腹筋のトレーニングにおいて背中を付けるかつけないか
のあたりが一番しんどい。ましてや腹筋100回メニューをこなし乳酸がたまりきった
時だからなおさらである。
普段の僕だったら、その状況から20秒耐えるなんて絶対に無理だが鬼コーチに言われれば
筋肉の言い分も聞いてやれない。
もう限界じゃないのか?これ以上やって腹筋は無事か?そんなことを考えているうちに
20秒が経つ。
メニューを終え、死に絶える小学生たちに元田コーチはこう問う。
「何回目から限界やと思った?」
当てられた子供たちが50回とか80回とか答える。
「その回数を100から引け。それがお前らの練習量や」
今では非効率な練習はなるべく避けて科学的にトレーニングすることが重視されているが、
こういう昔ながらの根性論が教えてくれることは少なくない。
実際にこの時引き算を頭の中でしていたのを覚えている。
素直に「80回まで平気だったら、100回程度だと損だな…」なんて感じていたから
コーチの思うツボだったのだろう。
人が成長する瞬間というのはもう無理だと感じた時なのかもしれない。
成長したかったらまずは限界まで持っていく。そこからどれだけできるかが大切なのかもしれない。
「筋肉痛になったら喜べ。筋肉がついた証拠やぞ」とよく聞かされていたが
最近どこかが痛くなるほど努力しているだろうか。
