ここ数年行われている長良川のサツキマス遡上調査。
どんな感じでサンプリングが行われているのかまとめてみようと思います。
まず、方法は2つ。
①ウロコと鰭の一部の採取
②頭部の冷凍保存
①は採取したサンプルを無水エタノールで保管する必要がある為、事前に専用のキットをに事前に入手する必要があります。手元に無い場合は冷凍すれば短期間であれば問題ないようです。体の一部を頂くだけなので魚はリリースする事が可能です。
②こちらはシンプルに頭部を冷凍。食される方は是非。
今回は少し難しそうに思える①ウロコと鰭の採取にフォーカスします。
配布せれているキットはこんな感じ。
紙と樹脂容器が大小2つ。
容器(大)は鰭の一部、DNA分析用の容器。
容器(小)はウロコを入れます。
紙は調査票、捕獲した魚の情報を記入。
ちなみに容器に入っている液体は無水エタノール(濃度99%)
手で触れたり、漏れてしまっても害はありません。
また、サンプル採取にはハサミとピンセットがあると便利です。
これらのキットは京都大学生態学研究センター佐藤拓哉准教授に問い合わせると送付して頂けます。
自分はハサミとピンセットは自前でコンパクトなものにしました。
次に調査票の説明に入ります。
氏名(任意)、釣獲日、時間、場所等の基本情報。
他に尾叉長、写真番号、ヒレ番号、ウロコ番号、頭番号、これらについても少し説明します。
尾叉長(びさちょう)とは
上の画像にあるように尾びれのV字の最も深い箇所の延長で計測した体調を尾叉長と言います。
尾びれの損傷等による測定誤差を避けるために用いられる基準で、全体長より体重等を把握する精度が高く、水産分野で多様される基準のようです。
写真番号
釣れた魚の写真を識別できるよう、番号を記載します。
番号は撮影者の自由に記載してよいので加工アプリで書くなど方法は自由です。
この写真は投稿フォームより投稿して頂く必要がありますが、ガラケーの方は写真印刷をしたものを同封して頂いています。
投稿フォームは下記のQRコードもしくは下記のURLより投稿可能です。
ヒレとウロコの採取について
ヒレはハサミ、ウロコはピンセットを使って採取します。
ウロコについては10枚程度が目安、採取しやすい場所からで構いません。
ヒレは尾びれの上端が魚への影響が少ないそうで5mm程度切って採取します。
通常は脂鰭が良いのですが、今年は放流魚の脂鰭が切除してあり、再捕獲があった際の混同を避ける為、尾鰭上端が推奨されています。(仮に採捕で混同されてもDNA解析で重複は判明します。)
標識個体だった場合はメモ欄に脂鰭が無い旨、記載すると良いです。
年度によっては〇×欄がある調査票もあります。
採取が終わるとこんな感じ。
採取後の保管に当たっては冷蔵又は冷凍庫で保管。
シーズンが終わったら京都大学の研究室へクール便、着払いで送付します。
頭部も同様です。
常温保管だとDNA同士の結合が脆くなり、解析が上手くできない場合があります。